この一枚を聞け! [PAT TRAVERS BAND...LIVE! GO FOR WHAT YOU KNOW / PAT TRAVERS]

PAT TRAVERS BAND...LIVE! GO FOR WHAT YOU KNOW / PAT TRAVERS
 今回紹介するアルバムはカナディアン・ギタリスト、パット・トラヴァースが1979年にリリースしたライブアルバム「PAT TRAVERS BAND...LIVE! GO FOR WHAT YOU KNOW(邦題:パット・トラヴァース・ライブ!)」です。英タイトルが長いわりには邦題が実にコンパクトなのが笑えます!

 日本ではほぼ無名と言ってもいいくらいのカナダ出身のギタリスト、パット・トラヴァース。カナダ出身といえばRUSHとかBACHMAN TURNER OVERDRIVEとかが有名ではありますが、いやいやパット師匠を忘れてはいけません! デビューは1976年で現在でも現役のギタリストであります。

 70年代、多くのギタリストが世に出てきた時代でありますが、基本となる音楽スタイルはブルースであり、ハードに弾きこなすところのなどはロビン・トロワーやフランク・マリノ等が、同じスタイルのギタリストと言えるでしょう。サウンド的にはこの時代には珍しく多くのエフェクトを駆使しており、独創的なサウンドはBOSTONのトム・シュルツや前記のフランク・マリノなどとよく比べられたものです。と言ってもギミック系のエフェクトと言えばアナログディレイ、フランジャー、ワウくらいしか無い時代ですから、よくここまで音作り出来るなと感心したものです。また、無名時代の2名のドラマーを世に送り出している事からも有名なのであります。

 そのドラマーですが、まず1名はこのライブアルバムでプレイしているトミー・アルドリッジです。BLACK OAK ARKANSASからこのバンドに入り、大きなフェス等の出演も経験し、その後にGARY MOORE BAND 〜 OZZY OSBOURNE 〜 WHITESNAKEと、ハードロックには無くてはならないドラマーへと成長していきます。このアルバムでももちろん素晴らしい2バス・ワークを披露しています。そしてもう一人が1977年に発売さえた2作目「PUTTING IT STRAIGHT」に参加している、ニコ・マクブレインです。ご存知、IRON MAIDENの現ドラマーであります。この2作目では無名時代のニコのプレイが聞けるのです!

 また、バンドにはもう一人のギタリストがいます。どちらかというと日本ではこのギタリストの方が有名であります。そのギタリストこそが弟のパット・スロールです。このライブアルバムを発売した3年後に元DEEP PURPLEのスーパー・ベーシスト、グレンヒューズと共にHUGHES/THRALLという幻のバンドを結成するのです。プロモーションの為、来日したこともあるのです。もちろん若かりし私はその時、ヒューズ師匠と共に、LPジャケットにサインを頂いております(笑)また、90年初頭にはASIAにも参加し、今は亡きジョン・ウェットン師匠と共に来日公演も行っているのです。兄のパット・トラヴァースとは大きな違いなのであるが、私は断然トラヴァース派なのであります(笑)

 このアルバムではそのトラヴァース・サウンドがいきなり炸裂します。1曲目の“Hooked On Music”ではいきなりフランジャー・サウンドが全開で、ファンキーなリズムがたまりません。7曲目の“Heat In The Street”でのアルドリッジのドラム・フレーズは素晴らしいの一言。この時代よくあったエゲツないオープニングMCや明らかに後乗せしている観客の声は、ご愛嬌とさせていただきます(笑)

 実は今回、原稿を書くにあたって久しぶりにいろいろ調べていたら、なんとパット・トラヴァースが2000年初頭(2002年?)に来日していたという事が...。全く知りませんでした!! どこか小さなライブハウスかなんかで演っていたのでしょうか?! 知ってたら観に行ってたのに.....(悲)。最近はレジェンダリーなアーティストは必ず観に行くようにしているのです。ホント何があるか解らないので、皆さんも思い立ったらライブ会場に足を運びましょうネ。とにかくこの1枚を聞け!!