この一枚を聞け! [HEAVY PETTING ZOO / NOFX]
今回紹介するアルバムはアメリカを代表するパンクバンド、NOFXが1996年に発売した「HEAVY PETTING ZOO (邦題:ヘヴィ・ペッティング・ズー)」です。
パンクロックと言うとやはりSEX PISTOLS、STRANGLERS、DAMMNED、CLASHと言ったイギリス出身のバンドが多く耳にすると思うのですが、パンクロックそのモノをよりポピュラーにしたのはアメリカ出身のバンドの影響とわたしは思うのです。1970年代中期、ロンドンを震撼させたSEX PISTOLSのデビューは今でもロックの歴史にしっかりと刻まれています。そのピストルズから多くのパンクが分裂を続け、NOFXがもつ“メロコア(メロディック・ハードコア)”が誕生しました。
また、アーティストそのものが“危険度全開”なのはイギリス出身バンドであると思うのですが、バンドの攻撃的なサウンドはアメリカ出身のバンドも負けてはいません。メロコアバンドの多くの特徴はまず「BPMが速い」、そして「曲が短い」、最後に「わかりやすいメロディーライン」です。そして、スカなどの違うリズムの曲を盛り込んだりと自由にやってるのが、メロコアの楽しいところでもあります。
NOFXの中心人物はベーシストのファット・マイク。NOFXのデビューは1983年であるが、バンドが鋭く脚光を浴びるのは1991年、自身でインディーズ・レコードレーベル「Fat Wreck Chords」を立ち上げてからであります。NOFXを筆頭にLAGWAGONやRANCIDなどがこのレーベルからリリースしていますが、日本でも多くのレコード店でこのレーベルを目にしたのは、日本のメロコアバンドの頂点、Hi-STANDARDがこのレーベルからアルバムを発売していたからなのです。
このアルバムはまず、ジャケットがエゲツない! そして“Hobophobic(Scared of burns)”という曲から始まります。いきなり疾走感あふれる2ビートの曲なのですが、演奏時間は50秒足らず! 潔いではないですか!! 13曲収録されている中、4分以上の曲はありません。最長でも3曲目の“Freedom Lika Shopping Cart”で3分43秒です! 簡潔に言いたいことを言いまくっている歌詞も最高であります。なかなか対訳を載せられるような内容でないことをご了承ください(笑)
そしてこのバンドは、ここ十数年日本盤のCDをリリースしていません。バンド側の主張としては「日本はCDの価格が高い」だからだそうです。たしかにどの国と比べても海外のミュージシャンの日本盤CDは価格が高いですよね。アメリカではパンクを聞く若年層に買いやすくする環境をバンド側が作っていると言うのもスゴイと思いますが、全世界的にCDが売れなくなってきているのも皮肉ですよね。
また、このバンドは政治的にも過激な発言やイラク戦争への政策を激しく批判などしていたことから、私の大好きなバンド、ディクシー・チックスやレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンと同様、政府にだいぶチェックを入れられているバンドと言われています。ここも実にパンクですよね!!
2015年11月に幕張メッセで行われた「FAT WRECKED FOR 25 YEARS」で初めてNOFXのライブを体感しました。実に気持ち良かった! 1977年に初めてピストルズのアルバム「NEVER MIND THE BOLLOCKS」を聞いてから30数年後、新たなパンクをまた耳にしているかと思うと実に楽しかったです。パンクの祭典であった「PUNKSPRING」も今年で終了してしまって寂しいけど、パンクは生き続けるのです。なんといっても“Punk Is Not Dead”ですから!
とりあえずこの1枚を聞け!!