スターキー星の「月刊 GUITAR TALKING」第21回

Gibson Memphis 2015 ES-335 Figured Antique Natural



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 みなさん、こんにちは。スターキー星です!

 今回はギブソン・メンフィスの2015年モデルES-335のご紹介をしましょう。「ギブソン・メンフィス」に関してはこれまでも何度か取り上げてきましたが、もともと2000年に稼動した工場で、ESシリーズなどの箱モノが主力製品です。2013年にはナッシュビルのギブソン・カスタムショップから独立した新ブランドとなり、近年ますます注目度が高まっています。

 ギブソンのES-335といえば、セミアコの代名詞そのもの。その中で最もスタンダードなリイシューモデルというと、長きに渡り「ES-335DOT」という型番のモデルがベストセラーでした。その名前の通り、ポジションマークが1950年代風の丸いドット仕様のモデルで、スペック的にも汎用性の高いオーソドックスなもの、プレイスタイルを問わず不動の人気を得ているギターです。そのモデルが2015年にアップデートされたのがこちらの一本です。

 まず、最初に目を引くのは、ポジションマークが1960年代中盤を彷彿させるスモールブロックインレイに変更されているということ。当然型番から「DOT」の表記はなくなっております。これだけで全体のバランスが引き締まり、とてもゴージャスな印象となってきます。また以前から好評なスリムテーパーネックですが、今年のモデルはロールド・ネックバインディング仕上げが施されております。ネックエッジの角張った部分が滑らかになっており、とても握り心地の良いシェイプとなっております。これは、親指で握りこむようなブルース系のプレイスタイル、親指をネック裏に回すようなテクニカルなプレイスタイルのいずれでも快適な演奏性能を実現しています。

 また見えない部分にも改良が施されています。音色に大きな影響を与える部分では、何よりヒストリック・トラスロッドの採用が挙げられます。これは2013年頃からギブソン・カスタムのヒストリック・コレクションHistoric Collectionで使用されるようになったもので、トラスロッド周りに装着されていたゴムチューブを排除し、一回り太めのスチールロッドを埋め込んでおります。メンフィス製品でも、昨年よりヒストリック・シリーズや一部それに準じるアーティストモデルに先行して採用されていましたが、生音の時点で、より豊かな鳴りが実感できるアップデートとなっております。

 fホール・モチーフのエンブレムがついたトラスロッドカバーで、一目でそれが2015年最新のモデルであることが分かるようになっています。ブリッジも良く見るとロッキングタイプのテイルピースを採用しており、弦振動のロスが少なくダイレクトな響きに貢献しております。ピックアップは従来の57クラシックではなくバーストバッカー1&2を搭載していて、ヴィンテージPAFをモチーフにしながらもコシのある力強いサウンドが楽しめるようになっていますね。そして、こだわりのアップデートはパーツ細部にも及んでいます。ナットは牛骨製に変更され、ペグもグローバーのミルクボトルチューナーを採用。チューナーそのもののギア比が向上しており、チューニング作業がより快適に行えるようになっております。

 フレットも若干ですが低めに仕上げられており、ベンドやスライド時も指先に嫌な引っかかり方をしないのでストレスのないプレイアビリティを実現しています。このあたりは画像や言葉ではなかなか伝わりにくい部分ですので、是非実際に店頭でお試しいただければと思います。

 さぁ、ギターヘブンの扉をノッキンオン!!





<お問い合わせ>


石橋楽器 渋谷店
TEL 03-3770-1484
shibuya@ishibashi.co.jp

<スターキー星:プロフィール>
 プロフェッサー岸本の愛弟子であるデューク工藤に師事、池袋店〜御茶ノ水本店を経て、現在は渋谷店にてインポートギターを担当している。日本国内最高レベルのノウハウを持ったスタッフとしてフェンダーのプロダクトスペシャリストに認定されている他、ギブソン・ファクトリーも定期的に訪問して選定買付け等を行っている。彼自身のフェイバリットミュージックはブルースやブルースロックが中心で主に60〜70年代ロックを愛聴。
 皆様がますます充実したミュージックライフを送れるよう、アップトゥデイトな情報のご案内、そして一生愛用できるギター捜しを親切丁寧にお手伝いたします。