スターキー星の「月刊 GUITAR TALKING」第17回

Gibson USA Les Paul Traditional 2015 Heritage Cherry Sunburst



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 みなさん、こんにちは。スターキー星です!

 ギブソンUSAから2015年の新製品となるレスポール・トラディショナルをご紹介しましょう。ギブソンから、セルフチューナー搭載のロボットギターが発売され一大センセーションが巻き起こったのは2008年のことですが、2015年のNEWラインナップでは、ついにデレク・トラックスモデル、ファイアーバード(ギアレスチューナー)、エレキベースを除く全機種にthe new Gibson G Forceシステムが搭載されることとなりました。

 Gフォースは、8年間もの長い歳月をかけてアップデートされたオートチューニングシステムです。リミテッドランなどで従来のペグを搭載されたモデルも少数製作はされますが、本器のようにウエイトリリーフと言われる肉抜きを施さないボディ/やや厚みのあるラウンデッドシェイプネックと1959トリビュート・ハムバッカーをフィーチャーして、ヴィンテージ志向をコンセプトとしたモデルまで含めて、ほぼ全てのカタログモデルにGフォースが搭載されるようになったのは未曾有のビッグニュースです。

 ロボットギターというと、古くはジミー・ペイジの使用していたトランスパフォーマンスDTS-1が有名です。これは、ボディ本体を大きくザグる大掛かりな改造が必要で、大変高価だったため一般のギタリストにはあまり馴染みがなかったと思いますが、2008年にギブソンから発売されたのはレスポール・スタジオをベースにしたモデルで、30万円を切るお手頃価格でした。当初はシルバー/ブルーバーストのレスポールのみでしたが、後に、カラーバリエーションモデルが限定発売され、SGやフライングV、エクスプローラーなど他機種への展開も行われました。当時のオートチューニングシステムはブリッジでピッチを検出し、ペグに信号を伝えてモーターで巻き上げるという仕組み。その後、次の世代のロボットギターとして、2008年末にはモデリングサウンド機構「カメレオン・トーン」を搭載したダークファイアDark Fireが発表。2009年末にはダスクタイガーDusk Tiger、2010年にはファイアーバードXと新しいテクノロジーを貪欲に取り入れ、DAWとの連携を高めたモデルが限定製作されてきました。

 こういった流れの中で、アップデートされたMin-ETune(読:ミニチューン)システムがラインナップされたのは2012年末のこと。原点回帰というべきか、非常にシンプルな構造となっており、通常モデルと異なるのはヘッド周りのみというユーザーフレンドリーなデザインが特徴的です。ドイツに本社を置く、トロニカルTronical社のType-Aという型番のチューナーがマウントされており、ペグシャフト下部のセンサーがピッチを検出。ヘッド裏に取り付けられたコントロールプレートで操作を行い、直接小型モーターでペグを稼動させるというミニマムな構造です。コストパフォーマンスに優れ、よりカジュアルなオートチューニングが実現されることになりました。こちらを踏襲した最新版が今年のG-FORCEという位置付けです。

 ギブソンUSAディビジョンの意欲的な試みはそれだけでに留まらず、今年からは特許出願中の新開発ゼロフレットナット、そして何と.050インチ(1.27cm)も幅広となったネック/フィンガーボードを採用しており、全くもって新感覚のギターに仕上げられています。六角レンチでの上下調節機能付きチューンOマチックブリッジや、モデルによってはボディにネジ穴を開けずに着脱可能なピン留めの新ピックガードなど、グレードアップされた各種パーツの最新スペックはいずれも衝撃的なものでしょう。

 他にも、配線材がより伝導性の高い素材に変更され、新設計アウトプットジャックが配されています。レスポール氏の生誕100周年を記念したアニバーサリーイヤーにあたる本年はシルクスクリーンも「LesPaul100」というロゴに変更、ヘッドの裏には塗装下にレス・ポール氏のホログラムシールが貼り付けられており、意匠面でも違いが見受けられます。更には半艶、艶消しの仕上げはディスコンとなり、全てグロス・ラッカー・フィニッシュとなったNEWカラーバリエーションで、ハードケースも可搬性に富む角形ゴールドタイプが付属するようになりました。またUSオフィシャルサイトをご覧いただくと分かるのですが、ボディ材や指板材、トップカーヴィングなどもグレード別に細分化して管理されたカタログスペックとなっているのが特筆すべき興味深いところです。

 あまりに大きな変貌を遂げたギブソンUSAの最新ラインナップ。音楽や楽器の世界で「昔は良かった」という言い回しは常套句ですので、往々にして斬新な商品というのは何かと敬遠されることも多いと思います。ただ、その一方でエレキギターの歴史そのものが常にそういった葛藤の元に成り立ってきたというのは周知のとおりです。

 かつて発売当時のフェンダー・テレキャスターが「便器の蓋」と揶揄されていたエピソードは有名ですが、伝統と革新の間に新しい音楽の時代、レジェンドが刻まれてきたというのは疑いようのない事実。ひとつのメルクマール、私たちは歴史的な転換期に立ち会っているのかもしれません。ギブソン社の伝統的理念に基づいた「究極の音楽体験を生み出す」楽器が勢揃いしました。みなさん自身のセンスをフル活用して存分に体感していただければと思います。

 さぁ、ギターヘブンの扉をノッキンオン!!




<お問い合わせ>


石橋楽器 渋谷店
TEL 03-3770-1484
shibuya@ishibashi.co.jp

<スターキー星:プロフィール>
 プロフェッサー岸本の愛弟子であるデューク工藤に師事、池袋店~御茶ノ水本店を経て、現在は渋谷店にてインポートギターを担当している。日本国内最高レベルのノウハウを持ったスタッフとしてフェンダーのプロダクトスペシャリストに認定されている他、ギブソン・ファクトリーも定期的に訪問して選定買付け等を行っている。彼自身のフェイバリットミュージックはブルースやブルースロックが中心で主に60~70年代ロックを愛聴。
 皆様がますます充実したミュージックライフを送れるよう、アップトゥデイトな情報のご案内、そして一生愛用できるギター捜しを親切丁寧にお手伝いたします。