スターキー星の「月刊 GUITAR TALKING」第14回

Gibson Vintage 1948-1951年製 L-5 Sunburst



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 みなさん、こんにちは。スターキー星です!

 ヴィンテージギターとして大変貴重な40年代後半~50年代前半のL-5が入荷しましたのでご紹介しましょう。こちらはノンカッタウェイ/アコースティック仕様のL-5にピックガードマウントのベネディット・ピックアップが後付けされています。現行のリー・リトナーモデルやLE GRANDのようにコントロールはピックガード上に増設され、トップ板の振動を妨げないように工夫が施されています。

 L-5はもともと1922年に発表されたとても長い歴史をもつモデルです。F5マンドリンの製作で有名なカラマズー時代の伝説的マスタールシアー、ロイド・ロアーの監修によって設計されたギターで、今日のありとあらゆるジャズギターの礎となった製品です。ヴァイオリンのようなf字孔を配した最初のギターであったとも言われており、発売当初は16インチ幅ボディでしたが、インレイやペグヘッド形状、バインディング仕様等々のマイナーチェンジを経て、1934年頃にはXブレーシングの17インチ幅ボディにアドヴァンスされております。ジャズミュージックのビッグバンド化などの影響もあり、より豊かなボリューム感の鳴りを得る必要があったのでしょう。

 その後も何回かのアップデートがあり、1951年にはL-5にカッタウェイ付きエレクトリック・スパニッシュ・バージョンのL-5CESが発売されます。発売当初はローズウッド製のブリッジとドッグイヤータイプのP-90ピックアップが搭載されていました。その後、1958年頃になるとレスポールモデル同様にブリッジがオクターブチューニング可能なABR-1へと変更、ピックアップもセス・ラヴァーの開発したオリジナル・PAF・ハムバッキングをマウントしたモデルとなります。一般に「エルゴ」、「エルファイヴ」と言えば、この仕様が現在では最も代表的な仕様といえるでしょう。

 本器はノンカッタウェイのアコースティック仕様ですので、1982年頃まで製作されていたL-5Cと異なり、1958年頃には生産完了となってしまったモデルです。美しいフラワーポットインレイに冠されたロゴはポストウォー直後まではスクリプト字体でしたが、こちらの個体は既にブロック字体になっています。この時期ですとゴールドプレートでセルロイドボタンのシールファスト・クルーソンチューナーが搭載されています。L-5CESへと生産体制が移行するなかで、こちらのアコースティックモデルではエボニー材の供給難に伴い、指板にローズウッドが使用されているのもひとつ特徴的なところ。ローズウッド指板ならではの甘く力強いサウンドが楽しめます。

 サウンドホール内のオーバル形状ホワイトラベルは1947年から1955年頃にかけて見られるもので、もう少し後になるとオレンジ色に変わります。ラベル上のシリアルナンバーは6807と読み取れます。形式的には頭にAがつくのが一般的ですが、仮にA6807と考えると1951年前後の製作であることになります。反対側のfホールから確認できるインクスタンプのファクトリー・オーダー・ナンバー(FON)は「197X-4」で、おおよそ1948年頃の製作と読み取れますので、ここではその二点を考慮し便宜的に1948-1951年製という表記にしております。

 本器はフレットやナット、ブリッジが交換されておりますが、その際に丁寧な指板修正がされており、とても弾きやすい状態を保っております。ポジションマーカーは埋め直しされている可能性もありますが、プレイヤー向けに即戦力のコンディションでおすすめです。エンドピンジャック仕様でストラップピンが後付済み。ピックガードはリプロパーツ、ハードケースはノーリン時代のものが付属します。セイモア・ダンカンによりライセンス製作されているベネディット・ピックアップは大変評価が高く、実に生々しいサウンドをアウトプットしてくれるおすすめのマイクです。

 18インチのSuper 400に比べるとやや小ぶりなデザインで取り回しが良く、単板を削り出したソリッド・カーブド・スプルース材によるボディトップ、また同様にカーヴド・プレスされたメイプルによるサイド/バックというスタイルからは、熟達したヴェテラン職人の手の温もりがヒシヒシと伝わってきます。この繊細でクリアーな音像はタッチのニュアンスによって様々な彩りのトーンを奏でてくれるので、一度手にしたら思わず虜になってしまうと思います。

 さぁ、ギターヘブンの扉をノッキンオン!!




<お問い合わせ>


石橋楽器 渋谷店
TEL 03-3770-1484
shibuya@ishibashi.co.jp

<スターキー星:プロフィール>
 プロフェッサー岸本の愛弟子であるデューク工藤に師事、池袋店~御茶ノ水本店を経て、現在は渋谷店にてインポートギターを担当している。日本国内最高レベルのノウハウを持ったスタッフとしてフェンダーのプロダクトスペシャリストに認定されている他、ギブソン・ファクトリーも定期的に訪問して選定買付け等を行っている。彼自身のフェイバリットミュージックはブルースやブルースロックが中心で主に60~70年代ロックを愛聴。
 皆様がますます充実したミュージックライフを送れるよう、アップトゥデイトな情報のご案内、そして一生愛用できるギター捜しを親切丁寧にお手伝いたします。