スターキー星の「月刊 GUITAR TALKING」第8回

Gibson Vintage 1969 Les Paul Custom Ebony Left Handed



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 みなさん、こんにちは。スターキー星です!

 最近になって渋谷店に大変稀少なレフティのヴィンテージギターが多数入荷しましたので、その中から1969年製レスポールカスタムのご紹介をしましょう。

 レスポール・カスタムは1954年に発表されましたが、みなさんご存知の通り、ゴールドトップ~サンバーストフィニッシュのレスポール・スタンダードの上位機種です。ヘッドストックにはスプリット・ダイヤモンドインレイが埋め込まれ、マザー・オブ・パール(白蝶貝)によるブロックポジションマーカーが輝かしいゴールドハードウェアのゴージャスなデザイン。手の込んだマルチプライのセルバインディングやエボニー材のフレットボードがフィーチャーされています

 ABR-1チューン・オー・マチックのブリッジの他に、オプションのビグスビー・トレモロが搭載された仕様がよく知られており、発売当初はP-90とPU-480(アルニコ5ピックアップ)をマウントしたスペックでした。アルニコ5ピックアップはL-5CESやバードランドなどのソリッドアーチトップ・ジャズギターにも搭載されていたギブソン社の自信作で、この当時のレスポール・カスタムですとジミ・ヘンドリクスの使用が有名ですが、ふくよかなサウンドでメロウなバッキングなどよくはまりますね。

 1957年頃からはレスポール・スタンダード同様、ギブソン社の技師であったセス・ラバーにより開発されたオリジナルハムバッキングピックアップPU-490、通称PAF(「特許出願中」-PATENT APPLIED FOR-の略)が配されるようになり、3マイク仕様にアップデートされます。このフレットレスワンダー・ブラックビューティは若き日のエリック・クラプトン、ジミー・ペイジの愛器としても有名でオプションで2マイクのものも存在します。

 オリジナルのレスポール・カスタムは1960年代の前半になると、レス・ポール氏とのシグネチャー契約満了にともない、ダブルカッタウェイ・デザインのSGカスタムへとフルモデルチェンジされることになり、一旦生産終了となりますが、その後のブルースロックの興隆、ミュージックシーンの中でレスポールの人気が再燃したことにより、数年のブランクを経て1968年になると新たに復刻されました。前述のオール・マホガニーボディのカスタムとは異なり、メイプルトップをラミネイトしたモデルとして再生産されるようになっています。

 1970年代以降となると、同じレスポール・カスタムでも少しバリエーションが増えますが、本器は再生産された比較的初期の時期のものでして、とても貴重です。ネックはオリジナルのブラックビューティよりも若干細身で、再生産当初は1ピース・マホガニーネックでしたが、こちらは既に3ピース・マホガニーネックに変更されています。またボディバックも通称パンケーキと呼ばれるマホガニー/メイプル/マホガニーの3プライ構造に変更されています。

 画像では少し分かりにくいかもしれませんが、ネックとヘッドの付け根部分には、ボリュートと呼ばれるコブがあります。これが年を追うにつれ次第に大きくなっていくのですが、強度面でのアドバンテージが図られています。1970年代でも中盤のノーリン時代になるとメイプル製の硬質なネックが採用され、再びマホガニーのワンピースネックが再登場するのは、ヴィンテージ・レスポールへの一般市場評価が高まる1980年代の中盤となります。

 ギブソンでは各種モデルで一般に1965年頃を境に17度のヘッドアングルが14度程度まで浅くなりますが、それはこちらの個体でも確認できますね。ヘッドロゴでGibsonのiドットがなくなっているのは1969年頃から1970年代にかけての大きな特徴です。こちらの個体のフェイズスイッチが前オーナーの方より増設されたものですが、クルーソン製の501VX、通称ワッフルバックといわれるチューナー、そしてノブもトップハットではなく、再生産初期のソンブレロタイプがまた良い味を出しています。

 ピックアップの裏にはパテントナンバーデカール(Pat.2,737,842)が貼られた通称ステッカー・ナンバードのPAFを搭載。長きに渡りジャズギタリストにもロックギタリストにも、普遍的な人気を博している精悍なルックスと濃厚なサウンド、この漆黒の美しきカスタムの左利き仕様を目にする機会はなかなかないと思います。是非店頭で一度手にとってご覧くださいませ。

 ちなみにレフティのギターですが、先日ギブソンカスタム・ファクトリーでの現地選定材オーダー品がゾクゾク入荷しておりまして、ヒストリックコレクションの1959レスポールもレフトハンドモデルが数年ぶりに待望入荷しておりますので、お問い合わせお待ちしております。

 さぁ、ギターヘブンの扉をノッキンオン!!





<お問い合わせ>


石橋楽器 渋谷店
TEL 03-3770-1484
shibuya@ishibashi.co.jp

<スターキー星:プロフィール>
 プロフェッサー岸本の愛弟子であるデューク工藤に師事、池袋店~御茶ノ水本店を経て、現在は渋谷店にてインポートギターを担当している。日本国内最高レベルのノウハウを持ったスタッフとしてフェンダーのプロダクトスペシャリストに認定されている他、ギブソン・ファクトリーも定期的に訪問して選定買付け等を行っている。彼自身のフェイバリットミュージックはブルースやブルースロックが中心で主に60~70年代ロックを愛聴。
 皆様がますます充実したミュージックライフを送れるよう、アップトゥデイトな情報のご案内、そして一生愛用できるギター捜しを親切丁寧にお手伝いたします。