スターキー星の「月刊 GUITAR TALKING」第5回

Gibson Custom Shop Japan Limited Run 1959 Les Paul Standard Reissue Tom Murphy Burst Green Lemon



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 みなさん、こんにちは。スターキー星です!

ギブソンカスタムショップで日本市場向けに限定50本製作された59レスポールで、巨匠トム・マーフィーがグリーンレモン・サンバーストのハンドペイントを手がけたギターをご紹介しましょう。

 ギブソンフリークの方には既に耳タコだと思いますが、2013年はギブソンカスタムショップにとっての設立20周年を記念する節目の年で、大きな仕様変更が行われました。5年ほど前のことですが、2009年に1959レスポールの50周年を記念して、様々な改良が施されたのはみなさん覚えていらっしゃいますでしょうか。ナイロンナットや、マイナスネジのピックガードスクリュー、リテイナー無しのABR-1ブリッジの採用。そしてネックヒール形状やコントロール・ノブの位置変更、それ以前よりも若干スリムになったネックシェイプ等が実現されたのは大変話題となり、ヒストリック・コレクションの評価が一層高まりました。

 昨年はそれから数年ぶりに大々的なアップデートが行われたことになります。各種アーティストモデルやコレクターズ・チョイス・シリーズの継続展開などを通して、ギブソンカスタムに蓄積されたヴィンテージ・リイシューのノウハウが惜しげもなく注ぎ込まれており、今回はチューブレスのオールドスタイル・トラスロッドや、ロングスタッド・ブリッジアンカー、ハイドグルー(ニカワ)・ネックジョイント、アニリンダイパウダーによる着色のチェリーバック、新素材のチューナーやインレイ/バインディング、ヴィンテージPAFを忠実に復刻したカスタムバッカーの標準搭載等がフィーチャーされ、未だかつてないほどオリジナルバーストに肉薄した至高のラインナップに生まれ変わりました。

 そんな一年の中でハイライトとなったコメモラティブなモデルが「トム・マーフィー・バースト」。何と1993年当時にギブソンカスタムにて、ヒストリック・プログラム立ち上げに尽力したエドウィン・ウィルソンとトム・マーフィーが再びドリームタッグを組むことになったのです。今回ご覧いただいているのは、その20th Anniversary 1959 Les Paul Standard Reissueとしてリリースされたモデルから派生したグリーンレモン・バージョンとなります。実は、2013年11月のギブソン出張時に日本市場向け限定としてオファーし、快諾された試験的な企画です。ギブソンカスタムと長年にわたり緊密なリレーションを持つジャパンディーラーだからこそ、なしえたプロジェクトと言えるでしょう。

 トム・マーフィーは、ギブソンカスタム立ち上げ当時のオリジナルペインター(塗装工)ですが、その飽くなき研究熱心な姿勢から生まれたエイジド加工のパイオニアでもあり、その道のスペシャリストとして世間に広く認知されております。数年前に来日した際に、実際レスポールにエイジド処理を施す工程のレクチャーを受けましたが、鍵やバックル、カミソリなどの日常的なツールで精巧なダメージ処理を施す様は圧巻でした。彼は、既にギブソンから独立しておりますので、こうして彼がサンバーストのペイントを手がけることは非常にレアケースです。しかも、トム・マーフィー独自の研究に基づく特別手が込んだペイントとなっております。

 エドウィン・ウィルソンもご存知の方は多いでしょう。プロダクト管理のマネージャーを長年務めており、職人肌の妥協することのないこだわりを強くもっている人物です。彼の目利きなしにギブソンカスタムの現在はなかったといえるでしょう。木材の仕入れ業務や、ヴィンテージギターのプロファイルにも精通しており、本器の製作にあたっては、エドウィン・ウィルソンと綿密なディスカッションを行い、カスタムショップで使用される良質のマテリアルの中から、更に手作業で極上のトップ材のフィガード・メイプルトップを厳選してもらいました。

 また、今回はトップ材だけでなくボディバックのマホガニー材も選定しています。ジャパンディーラーが共同でヒストリック・コレクション用に選定された材のうちから、更に軽量でかつクオリティの高いものをハンドピックすることができました。通常では、板材の状態で9ポンドというのが基準になりますが、今回は7.9ポンド以下のライトウエイトのものに絞り選定をしました。1950年代当時と同様のアニリン・パウダーを使用したレッドフィラーを摺り込む、とても雰囲気のあるバックカラーですが、こちらはエドウィンのレコメンドによりコレクターズ・チョイスCollector's Choice #13 Gordon Kennedy 9-1352で開発されたアニリンダイの配合を採用して、とことんリアルバーストを追及しています。

 グリーンレモンのサンバーストと絶妙なマッチングで、エドウィン・ウィルソンが太鼓判を押す均整が取れた極上ワイドフレイム。それがトム・マーフィーの熟達したテクニックで更に深みと立体感を増し、ひときわプレミアムな存在感を放っています。瞬時にプレイヤーを虜にしてしまうような、美しい倍音で彩られた豊潤で瑞々しいサウンド。クリーントーンでの粒立ち、艶感はもちろん、アンプでドライブさせたときのパンチの効いた饒舌なサウンドが五感をガンガンと刺激します。原点回帰とともに、新たな歴史を刻むドリームギター。数年後、数十年後にも語り継がれるレジェンダリーなレスポールとなるのではないでしょうか。

 さて、来月は三ヶ月ぶりにギブソン・ファクトリーに出張してきます。成田空港を出発してから、ナッシュビル空港に到着するまでは順調にいっても15~16時間。現地でも終始ハードスケジュールが続きますので体力勝負です…。2014年のホットな最新情報は、facebookなどで随時情報をアップロードしていきますので、くれぐれもお見逃しないようお願いします。

 さぁ、ギターヘブンの扉をノッキンオン!!





<お問い合わせ>


石橋楽器 渋谷店
TEL 03-3770-1484
shibuya@ishibashi.co.jp

<スターキー星:プロフィール>
 プロフェッサー岸本の愛弟子であるデューク工藤に師事、池袋店~御茶ノ水本店を経て、現在は渋谷店にてインポートギターを担当している。日本国内最高レベルのノウハウを持ったスタッフとしてフェンダーのプロダクトスペシャリストに認定されている他、ギブソン・ファクトリーも定期的に訪問して選定買付け等を行っている。彼自身のフェイバリットミュージックはブルースやブルースロックが中心で主に60~70年代ロックを愛聴。
 皆様がますます充実したミュージックライフを送れるよう、アップトゥデイトな情報のご案内、そして一生愛用できるギター捜しを親切丁寧にお手伝いたします。