スターキー星の「月刊 GUITAR TALKING」第2回
Gibson Memphis Rusty Anderson 1959 ES-335 VOS Dark Vintage Natural
みなさん、こんにちは。スターキー星です!
今回は、今最もタイムリーなギターを紹介しましょう。ギブソン・メンフィスから新発売されたラスティ・アンダーソンのシグネチャーモデル1959 ES-335です。
いよいよポール・マッカトニーの11年ぶりとなる奇跡の来日公演「アウトゼアー・ジャパンツアー」が来月に差し迫ってまいりました。ラスティは、2001年より、そのポール・マッカートニーのバックバンドでリードギターを任せられているセッションミュージシャン。リトル・リチャード、キャロル・キング、エルトン・ジョン、ウィリー・ネルソン、サンタナ、ジョー・コッカー、グウェン・ステファニーら錚々たる大御所とのレコーディング/ライブに参加しています。
ラスティは1959年アメリカ生まれのギタリスト/シンガーソングライターですが、こちらのギターは彼が実際に所有する1959年のES-335(何と生まれ年と同じ!!)をモチーフに製作されています。ES-335はストラトキャスターやレスポールなどと並んで人気・知名度が高いギターでしょう。ギブソンから1958年頃に発表されたモデルで、メイプル材によるセンターブロックを持つセミホロウ構造に最大の特徴があります。センターブロックによりボディの強度を高めるとともに、ハウリングや不要なフィードバックを軽減しており、芯のある明瞭で粘り強いサウンドと、ふくよかでアコースティックな鳴りが両立されています。まさにギブソンの伝統的なアーチトップの技術をベースにしながら、レスポールに代表されるソリッド・エレクトリックギター開発のノウハウも多分に加味されてデザインされたギターで、ジャズ/ブルース/ロック/ファンク/フュージョンと様々なジャンルで多くのプレイヤーを魅了し続けています。
本器は2013年にギブソン・カスタムショップGibson Custom Shopから独立した「ギブソン・メンフィス」ブランドよりリリース。以前は「メンフィス」というとナッシュビルの廉価版という印象を持つ方も多かったと思いますが、最先端設備の充実、またギタービルトのノウハウも年々蓄積され、新たなブランドとして独立した今日、十分なプライオリティを確立したといえるでしょう。
こちらのモデルの開発に尽力したメンフィスのR&D責任者マイク・ヴォルツ氏は、もともとグルーンギターズの工房スタッフとしてのキャリアを持つヴィンテージギターのスペシャリスト。彼にインタビューしたところ、このモデルは何とラスティ本人がファクトリーで板材選定を行ったそうです。1959年のスペックですと、センターブロックの体積が大きい分、トータルのウエイトも重くなりやすい傾向があるのですが、こちらのモデルはネック材やそのセンターブロックに良質で軽量な材をハンドセレクトすることで上手くバランスを取っています。
指板も同じくカスタムショップの良質なストックの中から更にハンドセレクトされたダークなローズウッド・フィンガーボードが使用され、ピックアップにはスペシャルデザインのカスタムバッカー・ピックアップをマウント。42AWGワイヤーでわずかにミスマッチされたコイルで、ポッティングを施していないため非常にピュアなヴィンテージサウンドが満喫できます。従来の57クラシックやバーストバッカーと比較してもより鮮明でナチュラルなトーンに感じられますね。
キャパシターにはバンブルビータイプのコンデンサが使用されており、アッセンブリに関してもCTSから納品された550Kポットを更にギブソンメンフィスの熟練工が選別している拘りようです。ノーワイヤーのABR-1ブリッジに軽量なアルミニウムのテイルピースを使用しているのはもちろんのこと、ナッシュビルで先行導入されたオールドスタイルのロングスタッドアンカーやチューブレスのトラスロッドなどもフィーチャーしているという意欲作です。
335フリークの方にブロンドと呼ばれる美しいナチュラルカラー。個性的な杢のライトリーフィギュアドメイプルトップが飴色に焼けたオリジナルカラーのダークヴィンテージナチュラルでフィニッシュされています。本モデルではネックも1950年代当時と同様のアニリン・パウダーを使用したレッドフィラーを摺り込むことで、とても雰囲気のある色合いにアップデートされています。トーンレゾナンスを重視した薄いラッカーフィニッシュで、全体をくすませて各種パーツにも経年変化を再現したヴィンテージオリジナルスペック(VOS)仕上げで、新品ながらも既にオールドギターのような貫禄が漂っています。
ボディ厚は、以前のリイシューモデルよりもわずかに薄くなっており、更にヴィンテージに肉薄したシェイプです。ハイドグルージョイント(ニカワ接着)されたロングテノンネックは接地面がよりタイトになる傾向があり、また当時の1959年製のネックシェイプを基本にしながらややスモールにアレンジされたグリップは、長時間の演奏でもストレスを感じにくく手が小さめの方にも嬉しい演奏性能の高さを確保しています。こちらのモデル、今のところ店頭在庫の一本のみで、次回入荷の目処は立っておりませんのでお早めにご検討下さいませ。
さぁ、ギターヘブンの扉をノッキンオン!!

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<お問い合わせ> 石橋楽器 渋谷店 TEL 03-3770-1484 shibuya@ishibashi.co.jp
<スターキー星:プロフィール> プロフェッサー岸本の愛弟子であるデューク工藤に師事、池袋店〜御茶ノ水本店を経て、現在は渋谷店にてインポートギターを担当している。日本国内最高レベルのノウハウを持ったスタッフとしてフェンダーのプロダクトスペシャリストに認定されている他、ギブソン・ファクトリーも定期的に訪問して選定買付け等を行っている。彼自身のフェイバリットミュージックはブルースやブルースロックが中心で主に60〜70年代ロックを愛聴。 皆様がますます充実したミュージックライフを送れるよう、アップトゥデイトな情報のご案内、そして一生愛用できるギター捜しを親切丁寧にお手伝いたします。
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