Ishibashi Mail Magazine

Ishibashi Mail Magazine Vol.

スターキー星のフェンダリアン 〜Talking Of Fender〜 第27回

Fender USA 1964年製 Blackface Vibroverb



1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

13

14

15

 みなさん、こんにちは。スターキー星です!

 ヴィンテージのアンプが入荷しましたのでご紹介しましょう。フェンダーで初めてビルトインタイプのスプリングリバーブを搭載したアンプとして有名なヴァイブロヴァーブです。こちらのアンプが1963年2月にフェンダーのプライスリストに登場した当初は、ブラウントーレックスカバーで、同じくブラウンのバレルノブ、ウィートグリルクロス、ホワイトスクリーンロゴエンブレムが特徴的な外観で2発の10インチスピーカー(主にオクスフォード製)を搭載したモデルでした。その後、間もなく他モデル同様ブラックトーレックス/シルバーグリルクロス、テールロゴエンブレム、15インチスピーカー仕様に変更されます。主にJBL D-130、ジェンセンC15Nなどのスピーカーがマウントされていたそうです。

 ブラックフェイスのアンプはプリCBS最終期、オリジナルフェンダーアンプの完成形としてヴィンテージ市場で高い需要があります。アンプもギター同様、それぞれの時期のミュージックシーンに応じた仕様変更が行われてきた経緯があり、これもプレイヤーによる好みですが、例えば一般にツイードアンプだとイナたすぎると感じる方、シルバーフェイスだとギラつきすぎると感じる方にとって、ブラックフェイスの色気のある甘いサウンドというのはとてもバランスが良く聴こえるでしょう。多くのフェンダーアンプフリークが認める美しいトーンです。

 本器のキャビネット内部に貼られたチューブチャートには「AB763」と記載がありますが、ブラックフェイス・ヴァイブロヴァーブの回路は1963年7月に設計されたAA763回路がリバイズされた回路で、6L6GCパワーチューブ2本のプッシュプル回路による約40W程度の出力になっています。プリチューブには2本の7025管、フェイズインバーターに12AT7、トレモロに12AX7、リバーブに12AT7・12AX7、レクチファイアにGZ34が使用されています。同じくチャートには「NA」とコード表記があるのがご覧いただけると思います。1桁目のアルファベットは製造年を表わしており、1951年が「A」、1952年が「B」と続き、「N」の文字は1964年製であることを示しています。2桁目のアルファベットは製造月を表わしており、「A」ですと1月になります。2月だと「B」です。フェンダーアンプの場合はポットコードやスピーカーコード等の他にこのアルファベットも製造年式判定手段の一つに用いられています。

 どちらかと言うと、12インチスピーカーもしくは10インチスピーカー搭載が主流のフェンダーアンプのラインナップの中で、当時わずか2年足らずで生産完了となってしまったヴァイブロヴァーブですが、その稀少性と、更にはストラトキャスター使いなら誰しもが一度は憧れるホワイトブルース界を代表するギターリスト、スティーヴィー・レイ・ヴォーンに愛用されていたという影響もあり、かなり高値で取引されることの多いアンプです。

 MTV全盛の産業ロックの時代、1983年に「Texas Flood」で鮮烈なデビューを飾り、まさにその名の通り時代にブルースの洪水を巻き起こしたSRVの存在感は現在でもとても色濃いものがあります。最近ではジョン・メイヤーのルーツを遡る形で彼のレコードに行き着く方も多いと思いますが、私自身が中学生の頃に最初に聴いたの1986年発売の「Live Alive」というオースティンでのライブアルバムで、初期3作品「Texas Flood」、「Couldn't Stand the Weather」、「Soul to Soul」からの選曲を中心にしたものです。そのアグレッシブでスポンティニアスなギタープレイと歌声は、テキサスブルースのかっこよさを非常に分かりやすく体現してくれています。私にとってもSRVはブルースへの入り口となったミュージシャンの一人で、ここからテキサスブルース、シカゴブルース、アーバンブルース、カントリーブルースと辿っていきました。

 今回ご覧頂いているヴァイブロヴァーブはJBLのE-130にスピーカーが交換されていますが、これも前オーナーの方がレイヴォーンを意識しての改造でしょう。諸説あるのですが、当時SRVのテクニシャンであったプエルトリコ出身のシーザー・ディアス(ボブ・ディランやエリック・クラプトン、キース・リチャーズらのアンプドクターも務めていた)によるとSRVが愛用していた実機のスピーカーはJBLのE-130、後年はエレクトロボイスに交換されていたそうです。フェライトマグネットの鮮明な音像感が気持ちの良いサウンドに感じます。ヴァイブロバーブならではの、この豊潤でかつ切れ味のあるサウンドというのはぜひ一度体験していただきたいと思います。

 リイシューモデルに関しましては、多くのカスタマーのニーズに応える形で59ベースマンなどのヴィンテージアンプが復刻された1990年、10インチスピーカー2発の初期型Brown Tolex 63 Vibroverbがラインナップされましたが、1995年には惜しまれながらもディスコンになってしまいました。2003年には前述のシーザー・ディアス監修でチューンナップが施されたSRVのヴァイブロヴァーブを基にデザインした64 Vibroverb Customが発売され、こちらは整流管にダイオードが選択できる仕様でしたが2008年には生産完了となってしまい、中古市場でもなかなか流通していないようですね。来年は2014年、このタイミングで60周年のコメモラティブモデルとして1964 Vibroverbの復刻がラインナップされないか期待してしまいますね。

 コレだけおさえておけば、今日から貴方もフェンダリアン!!




<お問い合わせ>


石橋楽器 渋谷店
TEL 03-3770-1484
shibuya@ishibashi.co.jp

<スターキー星:プロフィール>
 プロフェッサー岸本の愛弟子であるデューク工藤に師事、池袋店〜御茶ノ水本店を経て、現在は渋谷店にてインポートギターを担当している。特にフェンダー・ギターへの造詣が深く、日本国内最高レベルのノウハウを持ったスタッフとしてプロダクトスペシャリストに認定されている。彼自身のフェイバリットミュージックはブルースやブルースロックが中心で主に60〜70年代ロックを愛聴。
 皆様がますます充実したミュージックライフを送れるよう、一生愛用できるギター捜しを親切丁寧にお手伝いたします。