Ishibashi Mail Magazine

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スターキー星のフェンダリアン 〜Talking Of Fender〜 第23回

Fender USA Custom Shop Team Built Custom Japan Limited 69 Stratocaster NOS Black




 みなさん、こんにちは。スターキー星です!

 フェンダリアンのコラム過去22回分のバックナンバーをチェックしていてふと気づいたのですが、実は今までアーティスト・シグネチャーモデル以外にラージヘッドのストラトを一本もご紹介しておりませんでした(笑)。ヴィンテージリイシューとしてのデカヘッドは今回が連載開始以来初登場となります。

 ご覧頂いているのはフェンダーカスタムショップの1969ストラトキャスターNOSブラック。1969年スタイルといえば、2009年まではタイムマシーンシリーズとしてカタログにもレギュラーラインナップされており市場に比較的多く流通していましたが、ディスコンティニューとなって久しく、多くのカスタマー/ディーラーからリイシューを望む声が聞かれていました。そこで今回代理店オーダーの稀少なジャパンリミテッドモデルとして、当時のモデルのプレイアビリティを更に向上して限定復刻されることになったわけです。

 ラージヘッドでラウンドラミネイト・メイプルキャップ指板、通称「貼りメイプル指板」といえば言わずもがなギターレジェンド、ジミ・ヘンドリクスの代名詞です。1969年モデルのストラトはフェンダーカスタムショップのスタッフが、ジミヘンへの深いリスペクトをきっかけに当時のストラトキャスターの仕様を情熱的に精査・再検証し生み出しました。

 アルダーボディに4点止めボルトオンジョイント、黒い太字のモダンロゴデカール、F-keyチューナーというのがこの年式の際立った特徴です。1965年にCBS(Columbia Broadcasting System)傘下に入ったフェンダーがその広告効果を高めるために従来より目立つ大きなヘッドストック形状・ロゴに変更したというのが通説ですね。ネックグリップはプレイスタイルによって細いと感じる方も太いと感じる方もいらっしゃると思いますが、手に良く馴染むUシェイプを採用しており、全体の音像はがっつり暴れるサウンドとタイトに引き締まったシルキーなトーンが共存した心地良い響きを持つギターです。

 実際にプリCBS時代からフェンダーのピックアップをハンドワウンドしてきた超ヴェテラン、アビゲイル・イバラ女史のサインが入った”グレイボビン69ピックアップ”をマウント。ボトムを適度にシェイプアップしたサウンドで、歪ませると倍音がきらびやかに響き、一音一音がピッキングに粘り強く食いついてきます。指板Rやフレットワイヤーなどもコンテンポラリーブランドに劣らない快適な演奏性能を確保できるようにデザインされています。また本器はクォーターソウン(柾目)で木取りされたネックが選定されており、端正でかつラージヘッドならはのロックフィーリングがあふれるジューシーで濃厚なサウンドが格別です。

 私がジミヘンを初めて聴いたのはギターをかじり始めた中学生のときだったでしょうか。当初は「ゴッチャゴチャした音楽だなー」ぐらいの印象で、まるでその良さが分からなかったのですが、数年後にもう少し音楽を聴きなれた耳で再び聴いたときには衝撃を受けました。むき出しの感情がそのままギターの音になり、魂の歌声と絡みつく様相に心底痺れました。まるで彼自身の理不尽な憤りというか、行き場のない鬱憤を発散させたような…。単純にかっこいい音楽なのですがちょっとムシャクシャしたときなど、大きな音量でジミを聴くとすっきりするんですよね。

モンタレーポップ、ワイト島の映像などでもおなじみのパフォーマンス、背面弾き、歯弾き、爆撃音、ギター燃やし…センセーショナルなパフォーマンスについ目が行きがちではありますが、もちろんそういったアグレッシブな側面とともに非常に繊細で美しい曲が多いです。ジェフ・ヒーリーやゲイリー・ムーア、ロッド・スチュワートのカバーも有名なエンジェルなどいつ聴いても最高ですね!

 エリック・クラプトンもジェフ・ベックもリッチー・ブラックモアもストラトをメインで使うようになったきっかけは、ジミヘンの壮絶なプレイの影響であったと公言しています。エレキギターを弾く人間であれば、直接的にであれ間接的にであれ彼の影響を少なからず受けているのは間違いないでしょう。ジミがストラトを愛用していた時期というのは決してフェンダーストラトの人気が高く、セールスが好調だった時期ではありません。タラレバですが、彼の存在がなければフェンダーストラトの運命は大きく変わっていたことでしょうし、果てはエレキギターの歴史は全く違ったものになっていたでしょう。

 月並みですが「69」だけに、どこまでも”ロック”な一本です。1969年のウッドストック・ミュージックフェスティバルにて、ジミがプレイしていたラージヘッドストックのストラトは今もなお「ロックの象徴」であり続けています。ちなみに2013年限定モデルとしてフェンダーカスタムショップで受注生産にて製作されるリッチー・ブラックモアのトリビュートモデルも1968年スタイル・貼りメイプル指板です。どちらを選ぶか悩んでしまいますが、それもまた一興でしょう。

 コレだけおさえておけば、今日から貴方もフェンダリアン!!




<お問い合わせ>


石橋楽器 御茶ノ水本店
TEL 03-3233-1484
ochanomizu@ishibashi.co.jp

<スターキー星:プロフィール>
 プロフェッサー岸本の愛弟子であるデューク工藤に師事、御茶ノ水本店にてインポートギターを担当している。特にフェンダー・ギターへの造詣が深く、日本国内最高レベルのノウハウを持ったスタッフとしてプロダクトスペシャリストに認定されている。彼自身のフェイバリットミュージックはブルースやブルースロックが中心で主に60〜70年代ロックを愛聴。
 皆様がますます充実したミュージックライフを送れるよう、一生愛用できるギター捜しを親切丁寧にお手伝いたします。