Ishibashi Mail Magazine

Ishibashi Mail Magazine Vol.113

スターキー星のフェンダリアン 〜Talking Of Fender〜 第22回

Fender Custom Shop MBS ken Signature Stratocaster Galaxy Red built by Greg Fessler




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  みなさん、こんにちは。スターキー星です!

 今回はフェンダーカスタムショップ・マスタービルト・kenシグネチャーストラトキャスター・ギャラクシーレッドをご紹介しましょう。おかげさまで大盛況を頂きましたご予約分のご案内が完了しまして、ようやく店頭でお求めいただける一本が先日入荷しました。

 同じ日本人アーティストで言うと、2013年1月15日にシグネチャーモデル第二段となるINORAN JAZZMASTER #2 LTD Olympic Whiteが発表されたのがLUNA SEAのINORAN氏。2010年の12月、彼と同じタイミングでフェンダー社とのエンドースメント契約が発表されたのが、L'Arc〜en〜Cielのken氏です。当時メーカーの担当者から最初にその話を聞いたときは非常にセンセーショナルな印象を受けました。

 実際にken氏とINORAN氏のシグネチャーモデルがオフィシャルリリースされたのは少し遅れて2011年の5月のこと。こちらのギャラクシーレッドに関しましてはチームビルトが30本、マスタービルトがベテラン職人グレッグ・フェスラー(写真10)の手による完全受注生産で製作されることとなりました。

 私もその発表の際に東京ギターショウで行われたトークショーを観覧していたのですが、そこで聞いた情報によるとken氏とフェンダーカスタムショップとの出会いのきっかけとなったのは1998年製のストラトキャスターだそうです。本人やスタッフ達からコッパーキャスターと呼ばれているコッパー(銅)色のストラトキャスターです。その後、グレッグ・フェスラーが2006年に限定製作したブラジリアン・ローズウッド(ハカランダ)指板のモデルに出会い、心底ストラトの魅力にとりつかれることなったそうです。

 他にもトッド・クラウスが製作したレッドスパークル・フィニッシュのストラトキャスターやデニス・ガルスカが製作した1966年スタイルのアイスブルーメタリック・ストラトキャスター、20th L' Anniversary Liveで使用されたフレイムメイプル・トップのストラトキャスター(こちらもグレッグ・フェスラー作)もファンには見覚えがあるでしょう。それら多くのフェンダーカスタムショップを愛用してきたken氏のアイデアが大きくフィードバックされデザインされたのが、何といっても彼のメインギターの座を射止める愛器、こちのギャラクシーレッドと言えるでしょう。

 グレッグ・フェスラーはフェンダー・カスタムショップの礎を築いた当時の総責任者ジョン・ペイジによって、その実力と才能を見出されマスタービルダーとなった人物です。2008年に亡くなってしまった盲目の超絶ギタリスト、ジェフ・ヒーリーのギター製作を担当していた事や、元マスタービルダーのジーン・ベイカーの仕事を後継する形でロベン・フォードの専属ビルダーを務めたことが有名です。常に演奏する人の側に立ち、最高のクラフトマンシップを注ぎこむことに労を厭わない姿勢から、日本国内でも大変人気が高いビルダーですね。実際にken氏の愛器を製作したビルダーが厳選のマテリアルを使用して、同様の工程で製作したギターが手に入るというのはファンならずとも生唾ものでしょう。

 「ギター選びの条件は、まずストラトであること」というほどストラトキャスターに関して強いこだわりを持つken氏。こちらのギターは、ふくよかな中音域を生み出すアルダー材によるボディに伝統的なメイプルワンピースネックを配した仕様。わずかにラメが反射するような風合いの美しいレッドサンバーストフィニッシュに、爪やピックが削れにくいように特殊加工されたオリジナルのアノダイズドピックガードが特徴的です。ネックは太すぎず細すぎず演奏性を熟慮したスペック。ミドルとリアがホットでパンチのある音色のFat50sピックアップ、フロントは適度にボトムをシェイプアップしたブライトなサウンドが際立つ69ピックアップをマウント。いずれもアビゲイル・イバラ(写真11)という1956年当時からフェンダー社に従事している伝説的人物によって手巻きされた最上級のものです。これもken氏自身の言葉ですが、「音色の幅が広く、強弱がつけやすい、また自分の気分に応じた反応をしてくれる」ストラトとして入念に作り上げられております。

 余談ながら、私が高校生の頃、同級生がフェルナンデス製のオールレッドのkenシグネチャーモデルLA-85KKを弾いていた記憶が今でも強く残っています。もう十数年前のことですが、自分の世代だとラルクをきっかけにギターを始めたという友人も多く、長年に渡りその影響力は凄まじいと思います。ここ数年で春畑氏、高中氏、ken氏、INORAN氏、Char氏と、日本人ギタリストとフェンダー社のエンドースメントがますます活発になってきましたが、次はどのミュージシャンのモデルが発売されるのか期待が高まります。既にUSAの公式サイトに掲載済みですが、NAMMショウでは2013年限定モデルとして御大リッチー・ブラックモアのトリビュートモデルも出展される予定ですし、方々からは気になる噂がチラホラ。フェンダーは今年もニュース盛りだくさんで見逃せない一年となりそうです。

 コレだけおさえておけば、今日から貴方もフェンダリアン!!




<お問い合わせ>


石橋楽器 御茶ノ水本店
TEL 03-3233-1484
ochanomizu@ishibashi.co.jp

<スターキー星:プロフィール>
 プロフェッサー岸本の愛弟子であるデューク工藤に師事、御茶ノ水本店にてインポートギターを担当している。特にフェンダー・ギターへの造詣が深く、日本国内最高レベルのノウハウを持ったスタッフとしてプロダクトスペシャリストに認定されている。彼自身のフェイバリットミュージックはブルースやブルースロックが中心で主に60〜70年代ロックを愛聴。
 皆様がますます充実したミュージックライフを送れるよう、一生愛用できるギター捜しを親切丁寧にお手伝いたします。