Ishibashi Mail Magazine

Ishibashi Mail Magazine Vol.109

スターキー星のフェンダリアン 〜Talking Of Fender〜 第18回

Fender USA Custom Shop 2012 Custom Collection 56 Stratocaster Heavy Relic Faded 2-Color Sunburst




 みなさん、こんにちは。スターキー星です!

 いよいよ残暑も終盤戦、そして文化祭シーズン到来ですね。近日中にはトミー・エマニュエル、リー・リトナー、ジョン・スコフィールドなどギタージャイアントの来日公演も立て続けに予定されておりますので、みなさん今年も音楽の秋を存分に満喫してくださいね。

 今回はカスタムコレクション2012年限定のカスタムコレクション・タイムマシンシリーズでリリースされたモデルの中で当店一番人気のモデルをご紹介しましょう。1956年スタイル・ストラトキャスター・ヘヴィレリック・フェイデッド・2カラーサンバーストです。これまでも往々にして言及してきましたが、現行のタイムマシンシリーズは一年ごとにラインナップが刷新されるスポット商品で、ほぼ受注生産に近い扱いになっているため市場流通が極めて少なくなっています。日本国内を代表する特約店(ショウケースディーラー)認定を受けている御茶ノ水本店でも、本モデルの初回入荷分は全て即日完売してしまいましたので、メルマガでご紹介することができませんでしたが、今回ようやく数ヶ月ぶりにバックオーダー分が入荷いたしました。

 こちらのモデル、型番こそ1956年仕様ですが、2009年以前のタイムマシンシリーズにラインナップされていたようなヴィンテージスペックでアルダーボディ・メイプルワンピースネックの所謂エリック・クラプトン・ブラウニースタイルとは異なります。カスタムショップのヴェテラン職人によって選定されたプレミアムなアッシュボディの美しい木目がまず目を惹きますが、またヘッドストックのストリングスガイドがウィング型ではなくラウンド・リテイナーになっているところからは、1954〜1955年頃のストラトキャスターがイメージされますね。

 これはカスタムショップに限ったことではなく、レギュラーファクトリーでも同様なのですが、近年アッシュボディ・メイプルワンピースネックの「オリジナル」ストラトキャスタースタイルというのは、どこか神格化されている節があり(というと大袈裟かもしれませんが 笑)滅多に製作されません。そもそも、特定の少ロットモデルのために、他の年式のリイシューモデルに対して汎用性のないショートスカートノブ、フットボールノブ、ショートG(トールD)・ポールピースピックアップ、その深いコンター形状等々のユニークスペックをフィーチャーするとなるとコスト的に見合わないという部分もあるのでしょうか。

 みなさんご存知の通り1954年は一般的に言われるところのストラト生産初年度のため、プレミアム性も高く、そのオールドは近年ますます目にする機会が少なくなってきております。著名なギタリストも秘蔵こそしていても、さすがにステージでプレイすることは稀ですね。 1994年頃から、そのアニバーサリーイヤーには周年企画として1954ストラトのリイシューが限定リリースされることが恒例になっていますが、2004年には50周年記念でフェンダー社を代表するヴィンテージギターのスペシャリストであったクリス・フレミング(何と1954年生まれ、現在はR&D部門に従事)を中心にマスタービルダーの面々が54年レプリカを製作したのは記憶に新しいでしょう。、それぞれのビルダーのこだわり・キャラクターがよく反映された素晴らしいギターばかりでしたが、そのときに発売されたモデルはレギュラーファクトリー製も含め、比較的高値で取引され、時おり中古市場に出てもすぐに売切れてしまうことが多いです。今回ご覧いただいているストラトはいわゆる1954年リイシューではありませんが、2014年にまたこれまで同様にアニバーサリーモデルが発売されるかは定かでありませんし、どちらにしろ「それまで待てない!!」という方には、今回ご覧いただいている一本が非常におすすめです。

 「鈴鳴り」「ベルトーン」とは良く言ったものですが、アッシュストラト特有の音像のはっきりしたアコースティックなトーン。何と言ってもサウンドに奥行きと広がりがあり、ブリリアントでかつコシのある表情豊かな音色がセールスポイントです。今回のモデルでは1956年スタイルをモチーフにした雰囲気の良いラージVシェイプネックをコンビネーション。プレイアビリティ面では現代的ニーズ/プレイスタイルにも適合するように、指板はオールドよりフラット気味な9.5”R、フレットは高さのあるダンロップの6105ナロージャンボフレットを配することで、音詰まりしにくく、スムーズな運指がしやすいようにデザインされたプロスペックです。ピックアップはマスタービルダーにも定評のあるCustom Fat '50s Strat Pickupがセレクトされており、芯があってグイグイ引っ張ってくれるグルーヴィなトーンが秀逸。3.18kgと超フェザーウェイトながら、腰砕けにならず存在感のある音色はさすがです。ヘヴィレリック・フィニッシュならではの極薄のニトロセルロースラッカーフィニッシュにより、ウッディでナチュラルに枯れた音色に仕上がっていますし、ファクトリーオリジナルで5wayセレクター採用(しかもリアピックアップにもトーンが効く配線)ですのでライブユースでも使い勝手が良いでしょう。
 
 先日のことですが、メーカーからは原材料費などの高騰を理由に価格改定が発表されており、次回入荷以降は販売価格にして数万円の値上がりが想定されています。この機会をお見逃しのないようお早めにご検討下さい。

 コレだけおさえておけば、今日から貴方もフェンダリアン!!




<お問い合わせ>


石橋楽器 御茶ノ水本店
TEL 03-3233-1484
ochanomizu@ishibashi.co.jp

<スターキー星:プロフィール>
 プロフェッサー岸本の愛弟子であるデューク工藤に師事、御茶ノ水本店にてインポートギターを担当している。特にフェンダー・ギターへの造詣が深く、日本国内最高レベルのノウハウを持ったスタッフとしてプロダクトスペシャリストに認定されている。彼自身のフェイバリットミュージックはブルースやブルースロックが中心で主に60〜70年代ロックを愛聴。
 皆様がますます充実したミュージックライフを送れるよう、一生愛用できるギター捜しを親切丁寧にお手伝いたします。