Ishibashi Mail Magazine

Ishibashi Mail Magazine Vol.108

スターキー星のフェンダリアン 〜Talking Of Fender〜 第17回

Fender USA Custom Shop Eric Clapton Style Custom Stratocastaer Flip Flop built by Todd Krause




 みなさん、こんにちは。スターキー星です!

 今回はフェンダーUSAカスタムショップ、シニアマスタービルダーのトッド・クラウスが製作したエリック・クラプトンスタイル・カスタムストラトキャスター・フリップフラップをご紹介しましょう。代理店オーダーにて8本のみ製作のリミテッドモデルとなっております。

 まず、こちらのギターを製作したトッド・クラウスですが、カスタムショップの現役ビルダーの中で知名度ナンバーワンではないでしょうか。2006年にハローキティのデザインが施されたギター(当時税込252万円)が製作されたときには一般の新聞にも記事が載って話題になっていましたね。彼は1981年にシャーベル/ジャクソン社でそのキャリアをスタートし、1991年からフェンダーカスタムショップに加わった大ヴェテラン。マスタービルダーJ.W.ブラックの仕事を後継する形でエリック・クラプトンやジェフ・ベックが使用するギターを手がけるようになった他、ボブ・ディランやリッチー・サンボラ、デヴィッド・ギルモアらスター御用達のビルダーとして大活躍しています。「シニア・マスタービルダー」というフェンダーカスタムショップ・ビルダー究極の称号を与えられ、自分自身でマスタービルダーとしての役割をこなしつつ、将来のマスタービルダーとなるべき人材の育成及び指導にもあたっています。

 トッド・クラウスは超人気ビルダーでオーダーの納期が2〜3年以上かかることもザラです。特に近年はバックオーダーがどんどん増え続けているようで、私が数年前にファクトリーでオーダーしたモデルも一向に仕上がってくる兆しがありません(笑)。このメルマガの執筆を開始してから約1年半となりますが、ようやく今回が初めてトッドの作品をご紹介できる機会となりました。日本人何人分? というぐらいのかなりの巨漢なのですが、彼の製作したギターは組み込みもセッティングも驚くほど細やかで繊細にきっちりと仕上げられています。

 こちらのカスタムストラトキャスターはECが2001年のレプタイルツアーの頃から2003年頃までサブギターとして使用していたマジョーラカラー(フリップ・フラップ)のストラトキャスターの待望復刻。それほどメディア露出の高いギターではなかったので、「知る人ぞ知る」という通好みなモデルでありながらも、ECファンかどうかを問わず非常に人気の高いフィニッシュ。2006年頃に市販されたことがありますが、あっという間に市場からなくなってしまったので熱心に捜している方は多いと思います。車などにはこのような偏光塗料が使用されることがしばしばありますが、光にあたる角度や見る角度によって、パープル〜ブルー〜グリーンと美しくグラデーションしてくれます。ステージのライティングによって表情豊かにギターの顔付きが変わるのは何とも幻惑的な演出でしょう。

 本器は「カスタムストラトキャスター」名義での製作ですので、ヘッド裏にクラプトンのサインは貼られていません。シグネチャーモデルだとアーティストのサインが入っているのが気恥ずかしく敬遠される方も多いですが、今回はトッド・クラウスの名前が入ったデカールのみです。塗装以外のスペックは通常のエリック・クラプトン・ストラトキャスター同様で、シングルコイル特有のトラディショナルな音色をスタック構造によりクリアーで力強く実現したヴィンテージ・ノイズレスピックアップをマウント。トレモロキャビティ内の9Vバッテリーにより駆動する25dbアクティブミッドブーストを搭載していますので、エフェクターいらずで幅広いサウンドメイキングが可能です。EC本人の仕様に基づき近年はTBXトーンが排除されており、通常のハイカット・マスタートーン。チューナーは段差のついたスタッガードタイプペグをセレクトした最新仕様です。

 マスタービルトならでは、最良のプレミアムなマテリアルで、ヴェテラン職人のこだわりのもと綿密に仕上げられた至極の一品。トッド・クラウスによって丹念に仕上げられたスペシャルVシェイプネックは、ぜひ一度握ってもらいたいですが絶妙に左手に吸い付いて離れないグリップ感があります。非常に感度の高い自然なタッチレスポンスと透明感のあるサウンドが何よりも魅力的なところで、ダイナミックで力強いトーン。極上のヴァイブレーションがエモーショナルなインプロヴァイズに貢献してくれます。

 クラプトンモデルについての諸々は、 2011年6月23日号のバックナンバーにマーク・ケンドリック製作の一本を紹介しているコラムがありますのでご興味のある方はチェックしてみてください。繰り返しにはなりますが、数年前と比べてもトッド・クラウスが製作したギターは市場流通が少なくなってしまいました。こういった限定モデルは特に中古市場に出ることも少ないので、見つけたときに買っておかないと後悔するかもしれませんね。トッド作のジェフ・ベックモデルも近日中には数年ぶりに入荷予定ですので捜していた方は御予約をおすすめします!!

 コレだけおさえておけば、今日から貴方もフェンダリアン!!




<お問い合わせ>


石橋楽器 御茶ノ水本店
TEL 03-3233-1484
ochanomizu@ishibashi.co.jp

<スターキー星:プロフィール>
 プロフェッサー岸本の愛弟子であるデューク工藤に師事、御茶ノ水本店にてインポートギターを担当している。特にフェンダー・ギターへの造詣が深く、日本国内最高レベルのノウハウを持ったスタッフとしてプロダクトスペシャリストに認定されている。彼自身のフェイバリットミュージックはブルースやブルースロックが中心で主に60〜70年代ロックを愛聴。
 皆様がますます充実したミュージックライフを送れるよう、一生愛用できるギター捜しを親切丁寧にお手伝いたします。