Ishibashi Mail Magazine

Ishibashi Mail Magazine Vol.105

スターキー星のフェンダリアン 〜Talking Of Fender〜 第14回

Fender USA 2012 American Standard Stratocaster HSS Jade Pearl Metallic Maple




 みなさん、こんにちは。スターキー星です!

 今回は先月末から徐々に出荷が始まった新商品、2012年にアップグレードされた最新仕様のアメリカンスタンダード・ストラトキャスターをご紹介します。

 歴史を一瞥すると、オリジナルのストラトキャスターは1954年頃にリリースされ、1982年頃には生産が完了します。それに替わる形で同時期、いわゆる復刻版としてのストラトモデル、通称スミス・ストラトキャスターDan Smith Straratocasterが発表されることになります。それまでのラージヘッドストック・3ボルトジョイントを特徴とする1970'sスペックではなく、スモールヘッドストック・4ボルトジョイントというプリCBS期を彷彿させるデザインが採用されています。そのスミス・ストラトの後継モデルとして、1983〜1985年頃にかけて、ごく短期間だけ生産されたフリーフライト・トレモロFreeflyte Tremolo搭載のスタンダード・ストラトキャスターの系譜を継いで、1986年に発表されたのが今日でもおなじみのアメリカンスタンダード・シリーズです。ちょうどCBSフェンダーの終焉からヤマハ出身のビル・シュルツによる建て直しの時代へ変遷していく時代のことになります。

 スミス・ストラトが、いわゆるフェンダーの伝統に則った意味合いでの「スタンダード」なスタイルであったのに対して、アメリカンスタンダード・ストラトは、より今日的な時流に適合したワールド「スタンダード」なスタイルをコンセプトに開発されたモデルといえるのではないでしょうか。現在のラインナップではアメリカンヴィンテージ・シリーズとアメリカンスタンダード・シリーズが展開されていますので、演奏するジャンルやプレイヤーの好みに合わせてチョイスをすることができます。

 さて、1986年にリリースされたアメリカンスタンダード・シリーズは、2000年にアメリカン・シリーズと改称され、さらに2008年にNEWアメリカンスタンダード・シリーズとしてアップデートされます。それこそ、同じ名称であっても数年おきにアッセンブリや配線、キャビティ・ルーティング、チューナー、ネックシェイプ、デカール、塗装等々、様々にマイナーチェンジが施され、改良が続けられています。特に直近では2008年のアップグレードによって、木部本来のヴァイブレーションを活かすために塗装のアンダーコートが薄くなり、ブリッジのイナーシャブロックの材質が変更され、またサドルがそれまでのブロックタイプに代わり、ヴィンテージスタイルのベントスティール・プレスサドルに変更されたのは特筆すべきところでしょう。楽器としての更なる良質な鳴りを追求してきたアメスタ、2008年当時、店頭入荷した個体を検品した際にそのクオリティの高さに感動した記憶があります。そして、今回はその2008年モデルをベースにしつつも、贅沢にもカスタムショップ製のPUがマウントされるという驚きのアップデートが実現されました。

 今回の2012 American Standard Seriesでは、ストラトの場合、ピックアップにカスタムショップのマスタービルダーにも定評があるFat50'sピックアップがセレクトされています(HSSモデルの場合はリアにDiamondback Humbucking Pickup搭載)。音の芯はファットなのですが、タッチニュアンス次第でエッジの効いた音も出せる抜けの良いサウンドで、ダイナミックで艶とハリのある音色に貢献しています。以前のモデルがどちらかといえば、コンテンポラリーなシャキっとしたサウンドだったのに比較すると、幾分甘みのあるヴィンテージテイストが強まった印象を受けます。ピックアップカバーも、エイジドカラーになりましたので雰囲気と貫禄のある渋いルックスを演出しています。ヘッドストックは高級感のある艶ありのグロスフィニッシュで、ネックバックはスムーズなフィンガリングを可能にするためサテン仕上げが採用。演奏ジャンルやプレイスタイルを選ばず握りやすいモダンCシェイプネックで、9.5インチRの比較的フラットな指板ですのでハイポジションでの音詰まりも起きにくい構造になっていますし、ヴィンテージリイシューモデルより半音高い音までプレイできる22フレット仕様(ミディアムジャンボフレット)というのも嬉しいところです。

 まさに「Make History」の名に相応しく、最新テクノロジーにより、プレイアビリティや、様々な音楽ジャンルへの適応性を追及しながらも、オリジナル・フェンダーへのリスペクトがしっかりと随所に感じられるラインナップ。「ストラト選びで迷ったならこれがおすすめ」と自信を持っておすすめできる、コストパフォーマンス抜群のよくできた仕上がりのギターです。画像では新色のジェイド・パール・メタリックをご紹介していますが、アメスタはフレットボードもローズウッドとメイプルから選べますし、とてもカラーバリエーションが豊富なのが魅力的ですね。今回はストラトキャスターのご紹介でしたが、テレキャスターの方も仕様変更が行われております。アメリカンデラックス・シリーズ同様ボディバックにコンター加工が施され、長時間のプレイ時に肋骨が痛くなる感じがありません。ピックアップもTwisted TeleピックアップとBroadcasterピックアップを搭載しており、洗練されたヴィンテージトーンでかなりゴキゲンな音色。テレキャスに不慣れな方にもサウンドメイクがしやすいのではないでしょうか。

 以上、簡単ではありましたが、ご不明な点等ありましたら、お電話・メール・店頭にてお気軽にご相談下さいませ。御茶ノ水本店にてアメリカンスタンダード・シリーズをお買い上げのお客様で「フェンダリアンを読んだ」とお伝えいただいた方には、ささやかながら特別プレゼントをご用意しておりますので、ご参考までにご検討頂ければと思います。

 コレだけおさえておけば、今日から貴方もフェンダリアン!!




<お問い合わせ>


石橋楽器 御茶ノ水本店
TEL 03-3233-1484
ochanomizu@ishibashi.co.jp

<スターキー星:プロフィール>
 プロフェッサー岸本の愛弟子であるデューク工藤に師事、御茶ノ水本店にてインポートギターを担当している。特にフェンダー・ギターへの造詣が深く、日本国内最高レベルのノウハウを持ったスタッフとしてプロダクトスペシャリストに認定されている。彼自身のフェイバリットミュージックはブルースやブルースロックが中心で主に60〜70年代ロックを愛聴。
 皆様がますます充実したミュージックライフを送れるよう、一生愛用できるギター捜しを親切丁寧にお手伝いたします。