Ishibashi Mail Magazine

Ishibashi Mail Magazine Vol.103

スターキー星のフェンダリアン 〜Talking Of Fender〜 第12回

Fender USA Custom Shop Masterbuilt Series Painter's Stratocaster built by Dennis Galuszka




 みなさん、こんにちは。スターキー星です!

 今月末に約1年ぶりとなるフェンダーUSAカリフォルニア・コロナ工場への出張が決まりました。今回はフェンダーのラインナップ強化を行っている横浜店のスタッフと同行してのファクトリーツアーとなります。スケジュール的にはマスタービルトやチームビルトカスタムのオーダー打ち合わせがメインになりますが、ファクトリーでの買い付けもある予定ですし、最新情報もたくさんGETしてきますのでお楽しみに。

 さて、今回はフェンダーUSAカスタムショップのマスタービルダーであるデニス・ガルスカ(ガルズカ、ガルツカとも表記されます)が製作したペインターズ・ストラトキャスターをご紹介しましょう。デニス・ガルスカと言えば、今年のNAMM SHOWで発表されたバディ・ホリー・トリビュート・1955ストラトキャスターを手がけたことで注目を浴びていますが、こちらのストラトは先日開催されたNAMM SHOW展示用に組み上げられたスペックピースです。一本限り製作された稀少なショウモデルということになります。

 1967年生まれのデニスは、同じバンドでプレイしていた元マスタービルダーのフレッド・スチュワート氏の推薦で1999年にカスタムショップの一員となりました。彼は元々13年間も家具職人として木工技術を学んでいたキャリアを持っています。カスタムショップに入った後、多くのマスタービルダーに師事して技術を洗練させていったデニスですが、本人、実はドラム奏者。バンドアンサンブルを重視した立場から、ギターやベースを客観的に分析して楽器製作することに秀でている印象を受けます。とりわけ、アンディ・サマーズやエリック・ジョンソン、高中正義らのモデルを製作するプロジェクトで高い評価を得ており、スタンダードなスペックのモデルはもちろんですが、かなり斬新でイマジネーション溢れる独創的なギターを製作することも多いビルダーです。(カスタムショップのビルダーの中でもちょっと独特な性格で、ファクトリーでミーティングをしているときにも時々ぶっとんだキャラクターが発揮されて、「あぁ、なるほど」と思わされることがあります 笑。)

 本器はアルダー2ピースボディ、メイプルワンピースネックというオーソドックスな1950sスタイルを基調とするストラトでありながら、とてもアーティスティックなフリーペイントが施されています。これはショウモデルのスペックピースならでは。通例、私たちショウケースディーラーのプロダクトスペシャリストがマスタービルダーにオーダーする特注モデルというのは、木材の種類、木取り、ウエイト、ネックシェイプ、フレット、塗装の色味、電装パーツ等々、その他かなり細かな部分までスペック指定を行います。そのため、どうしても概して鉄板な仕様になりがちですが、スペックピースの場合はそういった縛りがない分、各々のマスタービルダーの感性、本来得意とするところが遺憾なく存分に発揮されます。アクアブルーのアノダイズドピックガードにドットマーカーを排したネック、ブラックのプラスティックパーツなど、日本人にはなかなか考え付かない配色で美しいですね。

 今も昔も「ギターを1本だけ選ぶ」というときにはストラトをセレクトする方が多いでしょう。長時間のプレイでもストレスを感じずに弾きやすく、サウンドメイクのバリエーションがフレキシブルで、タッチダイナミクスの追従性もきわめて良好。しかし、その反面で「みんなが使っているのと同じようなルックスのギターは嫌」と考える方も多いのは事実。そんな方には、思い切ってこういったストラトを選んでしまうというアプローチを1つ選択肢に入れていただければと思います。

 まさに、言葉そのまま「イロモノ」な奇抜なルックスではありますが、音色のほうはとてもバランスが取れていて、かなりご機嫌なサウンドでおすすめです。しっかりとしたグリップ感のある肉厚なラージCシェイプネックに、指板はややフラットな9.5”R、フレットは21のミディアムジャンボフレットを配しておりますので、ヴィンテージフィールを保ちながらもプレイアビリティの高さを実現しております。Fat50'sピックアップによるグルーヴィなトーンは、ハイファイ過ぎず、ローファイ過ぎず、アコースティックで良質なサウンドをアウトプットしてくれますし、カスタムショップの中でも最上位のラインに位置するモデルだけあって、全体の質感がまさに格別です。見て楽しむも良し、弾いて楽しむも良し。ステージ映え間違い無しなのが嬉しいですね。

 コレだけおさえておけば、今日から貴方もフェンダリアン!!




<お問い合わせ>


石橋楽器 御茶ノ水本店
TEL 03-3233-1484
ochanomizu@ishibashi.co.jp

<スターキー星:プロフィール>
 プロフェッサー岸本の愛弟子であるデューク工藤に師事、御茶ノ水本店にてインポートギターを担当している。特にフェンダー・ギターへの造詣が深く、日本国内最高レベルのノウハウを持ったスタッフとしてプロダクトスペシャリストに認定されている。彼自身のフェイバリットミュージックはブルースやブルースロックが中心で主に60〜70年代ロックを愛聴。
 皆様がますます充実したミュージックライフを送れるよう、一生愛用できるギター捜しを親切丁寧にお手伝いたします。