Ishibashi Mail Magazine Vol.0
ギブソン初のスクエアー・ショルダーのアコースティックギターとしてハミングバードが登場したのは1960年。マーチンのドレッドノートを意識したモデルでギブソンならではのデザインがロックミュージシャンにも支持されています。 最初に目に付くのがボディートップに貼られた派手で大きなピックガード。それにはハチドリが蜜を吸う光景が絵柄デザインに採用され、今でもその斬新さは色褪せません。実は現在でもギブソン社はこのピックガードの鋳型を所有しており、トゥルー・ヴィンテージモデルでは昔ながらの鋳型製法で作られております。現物を触って見ますとデザインされたラインはプリントではなくピックガードの表面が窪んでおり、その溝にペイントが施されています。 ブリッジは”アジャスタブル・サドル”でブリッジの土台はハカランダが使用されていましたが中には今回のハミングバードのようにプラスティックのブリッジが採用されることもあり、ボディートップとはボルトとナットで固定されています。これはJ-45等にも多く見られます。サウンドはギブソンならではの迫力のある力強いアタック感、アジャスタブルサドルとプラスティックブリッジのパーカッシブな響きがこれぞ60年代のギブソンサウンド!!を生み出します。 スケールは発売当初24.75インチとJ-45と同じでしたが、1964年頃より”25.5インチスケール”のものが多くなり、今回のモデルも25.5インチスケールとテンション感のある響きで、よりロックテイストが入ったサウンドです。1962年頃もこのようなロングスケールのハミングバードが存在しましたが、これは1962年に登場したDOVEの影響で生産ラインの読み違いでDOVEの余ったネックをハミングバードに流用したとも言われております。 60年代後半からはネック角度は17度から14度に変更される時期ですが今回の1964年製は16度位と不思議なスペックで過渡期ならではのポイントでしょう。 ペグはゴールドパーツのクルーソン・キーストーン・ツマミで1960年代ですとダブルリングのツマミのイメージですが、よく見るとリングがひとつ切り取られた跡が有ります。これはハミングバードのヘッドは大きくツマミのこぶがヘッドに当る為だと言われております。 ラフな感じだけど丈夫な構造がギブソンらしく、ギブソンのサウンド出る秘訣なのでしょう。ギブソンファクトリーならではのこの雰囲気が現在でもアメリカモンタナ州ボーズマンの工場で製作され続けています。オ〜アメリカン! 今回でAmerican Sound Historyは最終回となります。長い間ご愛読ありがとうございました。 2010年2月号からはニューコーナー、「デューク工藤のギブソンエレキ座談」が始まります! ご期待下さい!! <お問い合わせ> 石橋楽器 池袋店 TEL 03-3980-1484 ikebukuro@ishibashi.co.jp
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