Ishibashi Mail Magazine

Ishibashi Mail Magazine Vol.0

映像の中の楽器たち [Chapter:48 CALIFORNIA JAM / DEEP PURPLE]


 こんなに長い間このコーナーを続けていてこの映像を紹介しなかったのに訳がある。それはあまりにメジャーな映像であって誰もが知っていると思っていたからあえて紹介しなかったのだ。しかし、ある時若いスタッフにこの映像のことを話したら”何ですかソレ?”と言われてしまいました。すでにこの映像から35年もの日が流れているのだから当然なことなんです。

 この映像は70年代を代表するロック・フェスティバル「カルフォルニア・ジャム」に出演した時の映像だ。4月6日、カリフォルニア州オンタリオ・モーター・スピードウェイで行われたこのフェスには他にもイーグルス、ブラックサバス、アース・ウインド&ファイヤーなどジャンルを超えたアーティストが多数出ていた。そのヘッドライナーをつとめたのがエマーソン・レイク&パーマーとこのディープ・パープルである。観客は20万人を動員したとも言われ、映像でもその人の多さは体感できるほどである。

 間際までどちらがトリを務めるかもめた末、照明を多数使うエマーソン・レイク&パーマーが大トリをつとめた。この時のELPの演奏も後に語り継がれる演奏になったことは言うまでもない。そしてまだ明るさが残る夕方にディープ・パープルは登場する。イアン・ギランとロジャー・グローバー脱退後に加入した二人のメンバー、デビッド・カヴァーデイルとグレン・ヒューズにとってはの初アメリカ公演だったと思う。

 1曲目は名曲”BURN”からスタート。御大リッチーはこの時期非常によく使っていたナチュラルのストラトキャスターで登場。にらみつける目は更にスゴさを増している。また、この時期から使い出したAKAIのオープンリール・テープレコーダーを改造して作られたエコー・マシーンがステージ横にしっかりセッティングされている。そして私の最も好きなベーシスト、グレン・ヒューズはお決まりのナチュラルにローズネックのプレシジョンベースで終始プレイ。このPBはサウンド調整なのかボディー下部のエッジが大きく削られているのが特徴。日本のメタルバンド、ANTHEMの柴田氏が使用している自身のシグネチャーモデルもこれと全く同じ仕様になっている。これは柴田氏がやはり強烈なグレン・ファンであることからだ。

 コンサート終盤、リッチー・オンステージの始まりはじまり〜!やはり最後にギターをぶっ壊しています。この時、トリのもめた事件があとをひき、しつこく追い回すカメラマンに対しリッチーは事もあろうかギターをカメラにブッ刺してしまう事件も起こる。そんな破天荒な狂気のリッチーがこの映像で見る事が出来るのだ。また、この時のステージの後方に”虹のオブジェ”がある。これがヒントでパープル脱退後に自身のバンドでもあるレインボーのステージセットに虹を使用したとも言われている。

 そして今年の4月、そのリッチーの居ないディープ・パープルがやってくる。オールド・ファンにとっては少し残念ではあるが、やはりギランの声で”スピード・キング”は聞いてみたい。しかも、ジョイントがイングヴェイ・マルムスティーンとはおそれいったな〜!長い間続けてきたこのコーナーですが次回の配信(3/19)で最終回となります。最後もお楽しみに!


[CALIFORNIA JAM / DEEP PURPLE]

1.Burn
2.Might Just Take Your Life
3.Mistreated
4.Smoke On The Water
5.You Fool No One
6.The Mule
7.Space Trucking

Richie Blackmore (Gt)
David Coverdale (Vo)
Glenn Hughes (Ba,Vo)
Jon Lord (Key)
Ian Paice (Dr)
DVDの裏ジャケは髪を振り乱したリッチー
DVDの裏ジャケは髪を振り乱したリッチー

CDも最近紙ジャケで発売(これは裏)
CDも最近紙ジャケで発売(これは裏)

柴田氏のシグネチャーモデルはこれ
柴田氏のシグネチャーモデルはこれ