Ishibashi Mail Magazine

Ishibashi Mail Magazine Vol.56

この一枚を聞け! [FOCUS AT THE RAINBOW / FOCUS]



 今回はオランダが生んだプログレバンド、フォーカスのライブアルバムを紹介しよう。70年に「FOCUS PLAYS FOCUS」でデビューを果たすが全く売れずに、その後ヒットナンバーに恵まれたため、新たにその曲を入れてアルバムを発売し直すという奇妙なデビューの仕方である。

 バンドの形態といえばキーボード、ギター、ベース、ドラムという最小限度プログレ編成である。しかし、このバンドにはキーパーソンになる人物が二人いる。その一人がキーボードのタイス・ヴァン・レアである。キーボードに加えヴォーカルもとるのだが、この声がまた渋い!全編ではないがヨーデルで歌う部分があるのだ。そうです!あのヨ〜ロロィロイルレ〜というあれなんです。この時点でダメだという人が居るのですが、それだけではないのです。フルートも吹いてしまいます。それもジェスロ・タルのイアン・アンダーソンのように”喋っているように吹く”という特徴あるサウンドを出すんです。

 もう一人はギターのヤン・アッカーマンである。この時代にこれほど難解なフレーズや速く弾いたのは非常にショッキングであった。イエスのスティーブ・ハウも注目されていたが、ロック・テイストがあるサウンドではアッカーマンの方が凄いと感じる。バンド・サウンドはジャズ、クラシックとロックの融合という最も好きなパターンで、特にこのライブアルバムではその意味がしっかり解るようになっている。

 収録時期は1973年の5月、大ヒットアルバム「FOCUS V」が発売された頃のツアーの模様で、当時のロンドンでの名門ホール”レインボー・シアター”でのライブである。日本の昔で言う”渋公”、今で言う”国際フォーラム”みたいな感じでしょう。アイルランドの英雄、THIN LIZZYもここでライブ収録をしているのでも有名である。

 そして当時のプログレバンドのアルバム・ジャケットは非常に凝った作りになっていた。EL&Pの「Brain Salad Surgery」もそうであるが、このアルバムも豪華な見開きジャケットになっている。しかも両面開きの変形版でアートな部分でも話題騒然であった。

 バンド自体は7年間の活動で6枚のアルバムを残しているが、注目されて居たのはこのうちの数年であった。最後のアルバムには確かジャーニーでドラムを叩いていたスティーブ・スミスも在籍していた。77年に解散後、幾度か再結成されたようだがその後の活動は定かではない。しかし、このライブアルバムはイエスの「YESSONNGS」、EL&Pの「WELCOME BACK MY FRIENDS TO THE SHOW THAT NEVER ENDS... LADYS AND GENTLEMAN 」(長ッ!)に肩を並べるくらい凄いライブアルバムと言えよう!最近、リマスター紙ジャケ仕様でこの特殊ジャケットも再現されています。とにかくこの1枚を聞け!