Ishibashi Mail Magazine Vol.0
前号のピンクフロイドのライブアルバムを記事にしていたのが9/10ころであった。12日に配信したその3日後、リックライトの訃報が入ってきた。ピンクフロイド・ファンにとってはかなりショックであった。 ライトはフロイドのオリジナルメンバーである。大学在籍中、ドラムのニック・メイスン、ベースのロジャー・ウォータースと共に”ライト6”と言うバンドを組んだのが始まりであった。その後、奇才シドバレットを加入させ64年にピンクフロイドと名乗るようになる。60年代のフロイドはサイケデリック・ロックといわれ皆が知っているプログレのフロイドではなかった。68年にギター、デイビッド・ギルモアの加入により大きくバンドは変化していく事となる。 数多くの超ミリオンヒットアルバムを出し、83年にフロイドは解散。その4年後の87年に数々の問題の中、ウォータース抜きで再結成され話題を呼んだ。このアルバムの時期に来日も果たし、その目で見たステージは今までに無い感動を与えてくれたのだ。そして94年に最後のスタジオアルバム「THE DIVISION BELL」を発売。リックのこのアルバムはこの時期に作成されたアルバムとなっている。 参加しているアーティストもたまらなく渋い!ドラムはピーター・ガブリエルのツアーにも参加しているマヌー・カッチェ、ギターにはスティングの右腕ともいえるドミニク・ミラーとフロイドのツアーにも参加したティム・レンウィック、そしてベースは現在THE WHOのツアーメンバーでもあるピノ・パラーディノである。また、ゲスト・ヴォーカリストとして話題多き歌姫、シンニード・オコナーも参加しているのだ。 サウンド的には「THE DIVISION BELL」の延長的サウンドにも聞こえるが、その辺を考慮したうえで聞いてもイケテル作品だと思う。決してキース・エマーソンやリック・ウェイクマンのように前に出るサウンドではない。しかし、ライトにしか出せないサウンドを持っている。”Shine on you crazy diamond”のイントロは彼でなければ出せないし、”The Great Gig in the Sky”は正に彼そのもののサウンドでもある。 彼の死はプログレ界にとっても大きな損失である。今後、彼のようなキーボーディストも現れないであろう。「ピンクフロイドの再結成は無い」とギルモアは言っていたが、ソロ・ツアーにゲスト参加してくれるなんていう望みもファンは持っていたに違いない。今はただ彼の冥福を祈り、このアルバムをじっくり聞くとしたい。とにかくこの1枚を聞け! |