Ishibashi Mail Magazine Vol.52
ラウンドショルダーボディーの代表作サザンジャンボ。1942年にJ-45と共に誕生したギブソンサウンドの名機として今現在でもミュージシャンに愛されています。当時はハンク・ウイリアムス、ウディ・ガズリーらの使用で有名ですが近年では山崎まさよしさんが使用していることでも人気があります。 登場した1940年代初期は材料不足などから材料の選定が贅沢に出来ない時代でもありました。今回のサザンジャンボもその時代背景が見られます。1940年代前半まで第2次世界大戦の影響で資材の調達が困難な時期でもあり、金属パーツが不足していました。この影響で通常ネックに仕込まれている金属のトラスロッドが使用できず、エボニー材を使用し補強していました。今回の1944年製はまさにこの時期のものでヘッドにロッドカバーが無いのが見られます。サウンド面ではマーチンでもロッド調整可能なアジャスタブルタイプとロッドアジャスト無しのスクウェアータイプとありますが、金属のロッドが入った物に比べ補強材を仕込んだギターの方が音のダイナミクスさは有り、好みにもよりますが力強い低音が出ます。 ヘッドの表面を見ますともう一点目立つ特徴があります。それはONLY A GIBSON IS GOOD ENOUGH というバナーで(満足出来るのはギブソンだけ)という文字が入っており、1940年代のフラットトップギターの特徴でもあります。このバナーヘッドは1946年にはなくなり翌年にはスクリプトのギブソンロゴもゴシックスタイルに変更されます。また初期から52年頃までのギターのヘッドはヘッドの先端にいくほどヘッドの厚みが薄くなりますが、根元のほうは厚くなっておりネックの強度を高めています。 このスクリプトロゴでバナーヘッドのモデルは大変人気があり、初期のギブソンアコースティックの象徴です。現在でも初期仕様のギブソンアコースティックを復刻する際でもこのスタイルを取り入れています。 現在生産されているトゥルービンテージ、モダーンクラシックのサザンジャンボといえばネックにもバインディングがありますが、今回のサザンジャンボはバインディング無しのネックです。これは初期のサザンジャンボはバインディングが無く,バインディングが採用されるのが1940年代後半からでこのスタイルは現在、ウディ・ガズリーのシグネーチャーモデルで採用されています。バインディングの巻き数だけでも音色に影響があるとマスタールシアー(*)のレン・ファーガソンは言っており、確かに弾比べますと音色の響き方に影響があり面白いチェック部分です。 年代によりネックの厚みであったりブリッジスタイルの違いがありギブソンのアコースティックはなかなか興味深いものがあります。次回もギブソンアコースティックギターの魅力に迫りたいと思います。オ〜アメリカン! (*):ギブソン・モンタナ工場のカスタムショップ部門での製作者重鎮 <お問い合わせ> 石橋楽器 池袋店 TEL 03-3980-1484 ikebukuro@ishibashi.co.jp
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