Ishibashi Mail Magazine Vol.51
ピンクフロイドやイエスなどに比べてしまうと日本での知名度はやや落ちてしまうが、70年代中期のプログレ・ブームにはしっかりと根を下ろしていたバンドである。デビューは73年と前記のフロイドやイエス、クリムゾン、ジェネシス等に比べると遅い。しかし、イギリスでは安定した人気を得ていたのがこのCAMELだ。 CAMELというバンドもプログレバンドによくあるメンバーの入れ替わりがよくあるほうである。中心人物であるギターのアンディー・ラティマーがいればCAMELといっても過言ではないと私は思うが、このアルバムでのメンバーが私は最も好きである。 このアルバムが発売された74年はプログレバンドのアルバム発売ラッシュでクリムゾンの「Red」、イエスの「Relayer」、EL&Pのライブ「Ladies & Gentlemen」、ジェネシスの「The lamb ries down on Broadway」とプログレファンにとってはたまらない年でもあった。その豊作の年に出したアルバムであったがやはり前記のバンドより日本では売れなかったであろう。しかし、音を聞けばそれが払拭できる。1曲目の”FREEFALL”で軽快+変拍子、そして最後に組曲”LADY FANTASY”と息の抜けない構成になっている。 また、CAMELは数多くのライブアルバムを出しているのも、他のプログレバンドと違うところ。オフィシャル・ブートレッグなどもあるが、その中でも「A LIVE RECORD 」は最強である。こちらも聞いてみるといい。 たしかにこのバンドにスタープレイヤーはいない。しかし、アンディー・ラティマーにしろ、キーボードのピーター・バーデンスにしろこの人でなければCAMELにはならない。このバンドにリック・ウェイクマンのようなスターキーボードはいらないのである。地味ではあるがそれぞれの個性がぶつかり独特のCAMELサウンドを作り出しているように感じる。また、ギターのアンディ・ラティマーはフルートも吹く。ジェスロタルのようなサウンドの広がりも兼ね備えている。 確かにソロパートでミニムーグ・サウンドがバリバリもいいのだが、間奏にフルートが鳴っているだけで非常に高貴な感じがするのは私だけであろうか。ただCAMELの黄金期は非常に短い。本来なら76年頃に見たかったのだか、初めてCAMELをこの目で見たのは79年の来日時であった。この時にはこのアルバムのサウンドとは少々違っており、楽曲そのものもよりPOPになっていたと感じる。80年に入るとバンドは衰退していき、90年頃にはほぼ活動をしているのか解らないほどであった。そして2002年にキーボードのピーター・バーデンスが他界。この時点でオリジナルメンバーでの復帰はなくなってしまった。残念ではあるが出来るだけこの時代のメンバーでの再演が望まれる。再結成ブームに乗って蘇ってしまえ。とりあえずこの1枚を聞け! |