Ishibashi Mail Magazine

Ishibashi Mail Magazine Vol.50

American Sound History [Fender Stratocaster Sunburst 1965年製]

 1965年フェンダー社はCBS時代に入りますがこれに伴い大きな仕様変更がありました。

 ストラトキャスターで言えばヘッドがラージヘッドになりますが1965年の初期まではそれ以前のヘッドが小さなスモールヘッドの物が存在します。この仕様の物を”Pre CBS”と呼ばれCBS以前の時代と同様の扱いがされることがあります。

 今回はPre CBSと呼べる1965年製ストラトキャスターをご紹介致します。
 まずヘッドはスモールヘッドですが1964年より採用されるトランジションロゴ、通称”トラロゴ”でこれはラージヘッドに切り替わる1965年まで採用されていました。

 トラロゴ以前はスパゲティーロゴ通称”スパロゴ”と呼ばれる物でしたが”トラロゴ”と”スパロゴ”の違いはロゴマークだけではなくヘッドの形状、厚さにも違いがあります。”トラロゴ”の方が”スパロゴ”よりナット部から6弦ぺグ部までの形状が変わり、間隔も少し長くなりヘッドの厚みも若干厚くなります。

 これはナット部の弦のテンション感が変わり音色に非常に影響が出るポイントでもあります。テンションは少し柔らかくなりサウンドはややマイルドになりますが1964年からのグレーボビンのピックアップによりブライトなサウンドで幅広いジャンルに愛されるサウンドです。

 そしてピックアップはなんと”アビゲイル・イバラ”が作成した物で現在でもカスタムショップでも活躍している彼女の原点がここにあります。当時と現在共通のAYのイニシャルがピック裏のボビンに書かれており感動します。1964年頃よりピックアップ裏にイニシャルと日付けが入り始め非常に貴重なピックアップといえます。

 ネックは1965年まではハカランダ指版を使用しており今回のストラトもギリギリハカランダ材でポジションマークはクレイドットとPre CBSの特徴が残っています。ハカランダ材は変更後のインディアローズウッドに比べ指版に艶があり色が濃く音色の立ち上がりもよいと評判があります。ネックとボディを固定するプレートの裏にはシリアルが入っていますが今回のはLシリーズと呼ばれる物でこのLシリーズが終わるのは1965で5桁の数字から6桁の数字に変わり大きなFの文字が入るFシリーズになります。

 このようにPre CBSの最後の特徴が残るストラトは大変人気があり今回の1965年製のようにサンバーストが綺麗に残る物は大変魅力があり貴重です。1年違うだけで様々な仕様変更が見られるのもフェンダー社の魅力で時代のトーンが個性良く出ています。オーアメリカン!

<お問い合わせ>
石橋楽器 渋谷店
TEL 03-3770-1484
shibuya@ishibashi.co.jp





<デューク工藤:プロフィール>
プロフェッサー岸本に師事しただいま渋谷店にて勤務中。
数々のリジェンダリーを師匠と共に経験。
彼自身のフェイバリットミュージックは60年代から70年代の
ロック、ブルースとサウンド面でもヴィンテージサウンドに精通。
宝物探しのお手伝いを親切丁寧にいたしますので心より御来店
お待ちしております。