Ishibashi Mail Magazine

Ishibashi Mail Magazine Vol.44

American Sound History [FENDER STRATOCASTER 1972-1973年LEFTY]

 今回は大変珍しい70年代の左きき用ストラトをご紹介致します。色焼けた白の塗装が黄ばんでおり、所々擦り減った部分からもとの色であろう白が見えその下にアンダーコートにクリアーのポリ塗装が顔覗かせている。塗装がはげた下にはアルダーボディが確認できます。

 ヘッド表面がネックの他の部分よりものすごく焼けやすいのは他の部分がポリ仕上げに対し、ヘッド面がラッカーで最終仕上げになっているからです。この仕様は70年代の特徴であります。

 メイプルネックは60年代後半よりオプションで復活したが1971年に標準仕様になりオーダー数も多くなったそうです。ブリッジを見るとサドルがダイキャスト製になっています。これは1972頃の仕様変更でトレモロユニットもブロックと一体型のダイキャストになりますが、今回のモデルはそれ以前のセパレート型のスチールブロックになっており、このブロックも71年頃存在するサイドが角張った物でした。ちょうど過渡期の頃のようです。

 ピックアップはこの頃のモデルですとポールピースが出た”スタガード”かフラットに並んだタイプの”フラットポールピース”かを見ますが、”フラットポールピース”に変わるのは1974年の事なのでまだ”スタガード”期のものです。中を開けてみますとイメージではグレーボビンがついていると思う方も多いと思いますが、色の濃いボビンでした。72年頃からグレーではなく色の濃い物もまざり巻いてあるエナメルはこの頃よりより一層濃く硬くなり、一度断線すると途中からの巻き直しが難しいといわれています。

 ネックデイトは0903 2823で09はストラトの意味で03はメイプルネック 28は28週目で、次の23は1974年頃まで入れ替わるケースが多いいですが年と曜日として判断されます。
 例えば1は月曜日2は火曜日という具合にです。最後の桁が曜日になるものが1973年以降に多く見られるともいわれていますがフェンダーはなかなか年式の幅が広く難しいところでもあります。

今回のギターは左きき用ですがわざと右利き用にする為ナットを代えストラップピンも反対側の角に取り付けてあります。うーんかっこいいですね。

 ネックの裏側は1972年より採用されています”ティルトアジャストネック”で、これでネックの仕込み角度が調整できる仕組みになっています。上の2本は木ネジを使用していますが下の太いネジはボディ側に丸いプレートが埋め込まれておりボルト式で締め付けて固定します。

全体的にラージヘッドであったりいかついイジョイント方法であったりして質感が重くなるにつれサウンドもヘビーなものになっていったのでしょうか。

このギターはとにかく弾く気にさせるカッコ良さがあり正にロックギターですね。オ〜ジミー!そしてオ〜アメリカン!!

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<デューク工藤:プロフィール>
プロフェッサー岸本に師事しただいま渋谷店にて勤務中。
数々のリジェンダリーを師匠と共に経験。
彼自身のフェイバリットミュージックは60年代から70年代の
ロック、ブルースとサウンド面でもヴィンテージサウンドに精通。
宝物探しのお手伝いを親切丁寧にいたしますので心より御来店
お待ちしております。