Ishibashi Mail Magazine Vol.38
昭和の人間に”井上 堯之を知っている?”と聞くと大半があの”「太陽にほえろ」のメインテーマの人ね”と答えるだろう。当時、人気のあるTV番組のメインテーマやサウンドトラックは殆どこの人が手がけているといっても過言ではないだろう。アーティストとしての始まりはグループサウンズの”スパイダース”。解散後、伝説のバンド”PIG”を結成。このバンドのヴォーカリストは沢田研二と萩原健一の2名なのは有名な話である。 その中でも有名なのが「太陽にほえろ」と「傷だらけの天使」である。この2番組のサウンドトラック・レコードは多分、TV番組のサントラとしては最も売れたものではないと思うくらい、当時の中高校生はみんな持っていたものだ。更にさかのぼると”ジュリー”こと沢田研二のヒット曲”危険なふたり”のイントロを弾いているのが何を隠そう、井上 堯之なのである。 そしてこのアルバムは1976年に発売されたソロアルバム第1作目である。前記の事から参加ミュージシャンもなかなかのものである。キーボードには大野克夫、もう一人のギターには速水清司が、そしてゲストヴォーカリストには”ショーケン”こと萩原健一が参加しているのだ。まさに「太陽にほえろ」に関わった人の総出演だ! まず1曲目の”一人”が私の最もお気に入りの1曲。この曲は前記の「傷だらけの天使」の最終回エンディングに使われている。主人公の木暮修(萩原健一)が風邪で死んでしまった相棒、乾アキラ(水谷豊)の遺体をドラム缶に押し込み、リヤカーで埋立地に置き去りにしていく別れのシーンにこの曲が使われている。当時、このアルバムに収録されている事は知らなく、テレビの音をテレコ(テープレコーダー)に録音していた事もあった。 とても悲しいシーンに物悲しい声がとてもマッチしていて、もはや効果音楽を超えていたに違いない。 そして4曲目の”Just A Man”は沢田研二に捧げた曲でもある。沢田研二と井上堯之はやはり切り離せないコンビではないだろうか。大げさだがストーンズのミックとキースのような関係で、やはりジュリーの曲には井上堯之のギターが一番似合うと思うのだ。 ギターリストが出したソロアルバムの中では、ギターばかり弾くアルバムと違い、メロディーラインや歌詞に非常にこだわっているところなどは、やはり作曲家としても活躍した井上堯之ならではないのかと思うくらいでもある。 今でも井上堯之はバリバリ現役である。アコギ1本で全国を廻っているようだ。少し前に宇崎竜童と”宇崎竜童 & RUコネクション with 井上堯之”というバンドを組み活動していた。このバンドのアルバムもかなり聞き応えのあるものなので合わせて聞くべし。とにかくこの一枚を聞け! |