フェンダーカスタムショップの設立30周年の節目にあたる2017年、満を持してエリック・クラプトン・シグネチャー・ストラトキャスターの最新仕様がイシバシ楽器に入荷!2016年来日公演のフライヤーでおなじみですので、このときを心待ちにしていた方は多いのではないでしょうか。
2015年5月1日から行われたニューヨークのMSG(Madison Square Garden)公演にて、お披露目となったサンバーストのストラトキャスター。同月中旬から70歳を記念して行われた「SLOWHAND AT 70 LIVE AT ROYAL ALBERT HALL」でもメインで演奏されました。照明の当たり具合で木目が見えにくかったこともあり、当初は「ブラウニー?」という声もありましたが、実際はアッシュボディのNEWスペックでフェンダーカスタムショップからECに手渡された新製品でした。
エリック・クラプトン・モデルは、1987年のSUMMER NAMM SHOWにて公開された、フェンダー初のアーティスト・モデルで、ゴールドリーフ・ストラトキャスターや、クラッシュによるグラフィック・ペイント、ダフネブルー、ECグレイといったバリエーションが記憶に新しいところです。しかし、正規にアッシュボディを採用したのは今回が初。2カラーサンバーストとエイジドホワイトブロンドが製作されることになりました。
2015年のポストモダン・シリーズを皮切りに追加された、比較的軽微なエイジング・パターンのレリックが施されております。「ジャーニーマン」という単語には、「厳しい修行をこなしてきた一人前の職人」といったような意味合いがありますが、やはりECファンにとっては、1989年11月に発売された名盤「Journeyman」が想起させられますね。新品でありながら、既にオールドのような風格を漂わせております。
アルダーボディと比較して硬質な木材で、輪郭の整った煌びやかなサウンドを奏でてくれます。またクラプトンモデルは、通常ウレタンで塗装されておりますが、今回はニトロセルロース・ラッカーによる塗装で、ヴィンテージのような温もりのある質感・音色がお楽しみいただけます。遠目に見る分には伝統的なルックスですので、その変幻自在なサウンドでオーディエンスを「あっ」と驚かせてみてください。
元マスタービルダーのジョン・サーによるアイディアも反映されたヴィンテージ・ノイズレス・ピックアップを搭載。アルニコ5マグネット/スタックコイルによって、ハムノイズを低減したクラシックな音色が実現されました。バックキャビティに9ボルト電池が入っており、手元で25dbのミッドブーストが可能。ゲインを上げたときにも高域の抜け感がコントロールしやすいTBXトーン仕様です。
アームは一切使わないけれど、ハードテイル(ノントレモロ)では、理想とするストラトキャスターのトーンとは異なってしまうというクラプトン本人の意向を汲んで、イナーシャブロックが木片で固定されたトレモロを再現。シンクロナイズド・トレモロならではの美しい広がりのある倍音とともに、安定したチューニング、ウッディなサスティーンを両立している隠し味的な要素のひとつに挙げられます。
ネックを握り込んでベンドやビブラートを多用するブルース系のプレイヤーに特に人気が高いソフトVシェイプのネックグリップ。ヴェテラン職人の手作業によって丹念に成型されたもので、月並みな表現ですが、まさに左手に吸い付いてくるようなフィーリングで病み付きになります。クラプトンのサインプリントが、カスタムショップのVロゴとともにヘッドストック裏面に慎ましげに輝いております。