1950s Martin D-28 Extra Edition
- Brand: Martin
- Compare: 1953 Martin D-28 | 1957 Martin D-28
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1950s Martin D-28 Extra Edition
今回は1953年製と1957年製のD-28を紹介します。
この1953年製にはレスター・フラットばりのインパクトのある大きなピックガードが貼られています。このピックガードは恐らく1950年代後期にファクトリーにて交換されたものと思われます。
1953年製ですと、ペグはクルーソン・シールドバックで、マイナス・ネジで固定されています。これに変更されたのが1949年からなので、この点から1950年代前半製と分かるポイントでもあります。
50年代前半はネックが太めでしっかりしており、低音の迫力はこの年代ならではのものがあります。
もう1本の1957年製は同じ1950年代の中でも独特な年代です。弾いてみて気がつくのはネックのシェイプがVシェイプでやや薄めに仕上げられていることです。この部分で連想させるのはフェンダー・ストラトキャスターで、同モデルも1957年製のネックがVシェイプで、やや薄めなものが多いです。
パワフルでありながらも、シャープでキレがあるところが特徴で、さらにこの個体はペグが交換されているため、サウンド的にも新たなキャラクターが付加されています。もともとはクルーソン・ペグが搭載されており、本器にもネジ跡が残っているのですが、1958年製から採用となったグローバー・ペグに交換。
おそらく前オーナーは意図的に交換したのでしょう。重めのロトマティック・ペグの搭載により、音の輪郭が際立ち、レスポンスも早くなったと感じられます。 50年代後半からピックガードの先端が少しシャープになり、この個体にもその特徴が出ています(60年代からはまた元の形に戻りました)。
ボディ材に使用されているローズウッドも“これぞハカランダ”と言える、濃い杢目のラインが出た素晴らしいもので、何とも言えない美しさを醸し出しています。 ブラジリアン・ローズウッドが使用されているマーティン・ギターは非常に人気があり、入荷すると必ず注目を浴びます。なぜハカランダが人気あるのか、なぜ50年代のマーティンは良い音がすると言われているのか。その理由は今回の2本を弾き比べれば納得すると思います。
Written by デューク工藤
本連載を執筆していた当時は渋谷店に勤務し(現在は御茶ノ水本店FINEST GUITARS在籍)、プロフェッサー岸本が一番弟子と認めた存在。数々のレジェンダリーなヴィンテージ・ギターを師匠と共に見て触わり、オールド・ギターに関する知識を蓄積。自身のフェイバリット・ミュージックは60~70年代のロックとブルースで、音楽趣向においてもヴィンテージ路線は貫かれている。
御茶ノ水本店FINEST GUITARS