Gibson B-25-12N Extra Edition

  • Brand: Gibson
  • Model: B-25-12N
  • Compare: 1963 | 1965 | 1968
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Gibson B-25-12N Extra Edition

今回はギブソンのアコースティック12弦ギターの代表モデルでもあるB-25-12Nを3本、年代ごとに比べてみようと思います。まずはその歴史からおさらいをしてみると、1962年にギブソン社はスモール・ボディの名器、B-25モデルを発表。これに併せて同シェイプの12弦ギターも同年にリリースしたことが起源となっています。

■1963

 今回集まった3本中、最も古い年代のものが1963年製。他の2本と比べて明らかに違う箇所がブリッジの仕様です。1960年代前半はアッパー・ベリー・ブリッジを採用。1965年からトラピーズ・テイルピースが搭載され、それに伴いブリッジがレクタンギュラー(=長方形)シェイプのものに変更されました。 ッパー・ベリー・タイプとレクタンギュラー・タイプを比べると、前者は後者より倍以上の幅があり、ブリッジ自体の質量が大きくなっております。加えて弦の張り方もトラディショナルなスティール弦フラット・トップ・アコギと同じ、弦をブリッジ裏から通すスタイルのため、テンションは総じて強めで、その影響から高レスポンスで、張りのあるサウンドが持ち味となっています。この他の初期モデルの特徴としてあげられるのが薄いピックガード。表板に直に貼り付けられるパーツゆえに、トップの振動のことを考えると、薄い方がに有利なのはお分かりいただけるかと思います。

■1965

 続いて1965年製モデルを見ていきましょう。前述しましたが、この年からレクタンギュラー・ブリッジ+トラピーズ・テイルピースが採用され、さらにヘッド角度が17度から14度になったことも、大きな仕様変更だったと言えましょう。  ブリッジ側とヘッド側の双方向でテンションが弱められたことにより、フィンガリングしやすくなり、音色面では、さらっとしたキレイな12弦サウンドを響かせててくれます。  ちなみにトラピーズ・テイルピースはニッケル・メッキ仕様で、ピックガードは薄いタイプのものが使用されています。

■1968

 最後に1968年製モデル。ブリッジとテイルピースの仕様は1965年製と同じですが、ピックガードは厚みのあるタイプになり、表板にネジ止め方式でマウントされています。さらにボディ・サイド&バックとネックの着色方法を変更。 フィーラーを使っていましたが、60年代後半頃からブラック・フィーラーを使用するようになります。1963年製と1965年製を例にするとチェリー・レッド・カラーで仕上げられているのに対し、1968年製はウォルナット・カラーとなっているのが確認できます。  1968年製の音色ですが、タイトで音の粒がそろい、クリアなサウンドが特徴です。

■総評

 ブリッジは3本ともアジャスタブル・タイプのため弦高の調整が可能で、素材にローズウッドが使用されており、とてもナチュラルな響きがします。こうして3本を見ていくと、ブリッジの大きさやテンション角度、あるいはピックガードの厚みなど、年代ごとにそれぞれで異なった仕様を持っており、各スペックが音色の違いとなって表われてきます。実際に弾き比べてみると、そうしたキャラクターの違いを発見でき、非常に面白いです。 B-25-12は、ギブソン・ヴィンテージの中でもリーズナブルなモデルなので、コレクターのみならずプレイヤーの方でも手にすることができるでしょう。また1年に1回くらいは12弦ギターを弾きたいなと思っている方にもオススメです。年代によって、これだけの違いがあるんですから、是非とも複数本を弾き比べてみて、お気に入りの1本を見つけてみてはいかがでしょう。

Written by デューク工藤

本連載を執筆していた当時は渋谷店に勤務し(現在は御茶ノ水本店FINEST GUITARS在籍)、プロフェッサー岸本が一番弟子と認めた存在。数々のレジェンダリーなヴィンテージ・ギターを師匠と共に見て触わり、オールド・ギターに関する知識を蓄積。自身のフェイバリット・ミュージックは60~70年代のロックとブルースで、音楽趣向においてもヴィンテージ路線は貫かれている。

御茶ノ水本店FINEST GUITARS

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