1954 Martin OO-21

  • Brand: Martin
  • Model: OO-21
  • Year: 1954
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1954 Martin OO-21

今回紹介するのはダブル・オー・サイズの00-21。古くは1800年代後半より存在しており、マーティン・スモール・ボディの中でも人気のあるモデルです。

ダブル・オーは000(トリプル・オー)より小さめなボディを持ち、一般的なクラシック・ギターと同サイズとなっています。12フレット・ジョイント・モデルを例にすると、トリプル・オーのボディ全幅が15インチ(381mm)なのに対して、ダブル・オーは14 1/3インチ(約364.1mm)サイズになります。トリプル・オーは別名“オーディトリアム(公会堂の意味)”と称されているのに対し、ダブル・オーは“グランド・コンサート”と呼ばれています。

ダブル・オー・シリーズでは00-18と00-21が有名です。スタイル18はボディにマホガニー材を使用していることもあり、甘くふくよかな中低域と美しい高域が両立し、全体的に軽やかな音のイメージ。一方の00-21はブラジリアン・ローズウッド(ハカランダ)が使用されているため、立ち上がり良く、コシのある音が特徴。どちらもマーティン・サウンドの魅力が詰まっており、大変人気があります。それでは今回採り上げた1954年製00-21のコンディションを診断してみましょう。

まずボディ・トップの塗装はオーバー・スプレーなどもなく、オリジナルの状態を保持。ピックガードもオリジナルのべっ甲柄のものが付いています。マーティン特有のクラックもなく、ボディ・トップの膨らみや変形もほとんど見受けられず、かなり良い状態が保たれています。

ボディ1弦側サイドの、ちょうどレス・ポールのジャックが付いているあたりに破損した跡があり、6cm×1.5cmほどのサイズで補修用の木が埋め込まれています。オリジナル材と似た木目の補修材をきっちりと選んで修理を行なっており、比較的きれいにリペアされている印象。ただこの修理が行なわれたせいで、サイド部は1/4周ほど、研磨した上で塗装を吹き直しております。

ボディ1弦側サイドの、ちょうどレス・ポールのジャックが付いているあたりに破損した跡があり、6cm×1.5cmほどのサイズで補修用の木が埋め込まれています。オリジナル材と似た木目の補修材をきっちりと選んで修理を行なっており、比較的きれいにリペアされている印象。ただこの修理が行なわれたせいで、サイド部は1/4周ほど、研磨した上で塗装を吹き直しております。

バックはクラックもなく、大変綺麗な状態。サイド&バックに用いられているハカランダは、50年代ならではの目の詰んだ綺麗な柾目材が使われています。ヘッドの付き板にもハカランダが使用されている影響で、顔つきがとても艶やかで雰囲気があります。この個体はかなり弾き込まれたプレイヤーズ・コンディションのため、ネック裏のオリジナル塗装は見事になくなっており、全体的に薄くオーバー・ラッカーが施されております。

ペグ本体はオリジナルですが、ツマミが収縮/劣化してしまったため、1弦のみがオリジナルのツマミで、残りの5個は同じタイプのものに交換されています。  その他、ナットとサドル、フレットは交換されており、中でもリフレットしたばかりのようで、ほとんど減りは見受けられません。弦高は12フレット上で、6弦側が2.6mm、1弦側が1.9mmと、大変弾きやすい仕様にセットアップされています。ただ、この弦高にセットアップするために、ブリッジのサドル下が削られています。

通常ブリッジを削る場合、全体的に薄く削るのが一般的ですが、この個体ではブリッジのお尻の方から前に向けて、斜め方向で削ってしまったため、ブリッジを真横から見ると、ブリッジの表面がネック側に向かって、斜めに傾いているように見えます。とはいえペタペタというほど薄くはありませんので、パッと見の違和感はないと思います。  あと細かいことですが、弦穴が長年の使用で少し広がってきており、普通に弦を張ると、弦の巻き返し部分がサドルに乗っかってしまいます。そのため現在はボールエンド部に、もうひとつボールエンドを噛ませて、弦を張っております。

サウンドですが、熟成されたハカランダ材を使っているからこそ生まれる音抜けの良さと、スロッテッド・ヘッドによる強めのテンション、そして12フレット・ジョイントならではの倍音豊かなメロウな音色が融合され、この時代のこのモデルでしか味わえない素晴らしい音がしています。やはり50年代のギターは良いですね。デュークも今回、グッときました。

Written by デューク工藤

本連載を執筆していた当時は渋谷店に勤務し(現在は御茶ノ水本店FINEST GUITARS在籍)、プロフェッサー岸本が一番弟子と認めた存在。数々のレジェンダリーなヴィンテージ・ギターを師匠と共に見て触わり、オールド・ギターに関する知識を蓄積。自身のフェイバリット・ミュージックは60~70年代のロックとブルースで、音楽趣向においてもヴィンテージ路線は貫かれている。

御茶ノ水本店FINEST GUITARS

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