1963 Gibson ES-355TD SV Cherry

  • Brand: Gibson
  • Model: ES-355TD SV
  • Color: Cherry
  • Year: 1963
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1963 Gibson ES-355TD SV Cherry

1958年に発売された[ES-335]に、バリエーション・モデルが加わるのが翌1959年。その中で最上位機種に位置するのが[ES-355]。

オプションであるフロント/リア・ピックアップのステレオ・アウトプットに加え、チョークコイルとキャパシターを組み合わせた“バリトーン・スイッチ”を搭載。その他、エボニー指板、マザー・オブ・パールによるブロック・インレイ、7プライのボディ・バインディング、5プライのヘッドストック・バインディング、マエストロ・ヴァイブローラ仕様など、最上位機種に相応しいスペックとなっております。

“バリトーン・システム”用のチョークコイルは、リア・ピックアップ・キャビティ直下に設けられており、この部分のセンター・ブロックにはコイルが入るスペース分のザグリ加工が施されています。この構造は“バリトーン・システム”を搭載しなくても良いはずの[ES-335]においても適用されている個体が混在しており、このことからボディ材を兼用していたことがわかります。

“バリトーン・スイッチ”は6ポジションのロータリー・スイッチになっており、合計18種類のトーンが作ます。ステレオ・アウトプット仕様の場合、出力端子をふたつ備え、Yケーブルを使えば、ステレオ効果を得ることができます。音色は6番ポジションが一番ホットなサウンドで、番号が減っていくごとに音はシャープになっていきます。  外枠全体に巻かれたバインディングは[ES-335]や[ES-345]と違い、ヘッド枠にも巻かれており、ヘッド自体の大きさもひと回り大きくなっています。さらにペグのツマミもプラスティックではなくメタル・タイプのため、ヘッドの重量感から芯のあるサウンドを生み出し、ここにエボニー指板の影響による、立ち上がりが速い、輪郭がはっきりした音色特性が加わり、分厚いサウンドになっているところが特徴です。  ヘッドの表面にはレス・ポール・カスタムと同様、上位機種の象徴である“スプリット・ダイヤモンド・インレイ”が施され、ヘッド裏には黒く塗られたウイドーズピークと、同年代の[J-200]にも見られる豪華な装飾が魅力です。

ビブラート・ユニットは当初ビグスビーが塔載されていましたが、1960年には“サイド・ウェイ・ヴァイブローラー”になり、1962年に今回の個体にも搭載されている“デラックス・ヴァイブローラー”になりました。しかし1960年代にはビグスビーオプションで選択可能でしたので、両者が存在します。  [ES-355]の生産数は[ES-335]や[ES-345]に比べて少なく、状態の良いものは貴重です。今回の個体は綺麗にチェリーが残り、とても鮮やかなルックスをしておりオススメです。

B.B.キング、フレディ・キング、オーティス・ラッシュ、チャック・ベリー、そして彼らに影響されたキース・リチャーズ、ロベン・フォードなど、エレクトリック・ブルース、ロックン・ロール系ギタリストに愛用されてきた[ES-355]。エボニー指板による張りのある音色、ヴィブラート・ユニットによるストップ・テイルピースとは違う独特な響きが彼らを虜にした理由となります。そして何よりも、このゴージャスなルックス! 発売から50年近く経った今でも多くのギタリストから愛用されている、まさしく名器です。

Written by デューク工藤

本連載を執筆していた当時は渋谷店に勤務し(現在は御茶ノ水本店FINEST GUITARS在籍)、プロフェッサー岸本が一番弟子と認めた存在。数々のレジェンダリーなヴィンテージ・ギターを師匠と共に見て触わり、オールド・ギターに関する知識を蓄積。自身のフェイバリット・ミュージックは60~70年代のロックとブルースで、音楽趣向においてもヴィンテージ路線は貫かれている。

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