1938 Gibson L-Century Sunburst

  • Brand: Gibson
  • Model: L-Century
  • Color: Sunburst
  • Year: 1938
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1938 Gibson L-Century Sunburst

ギブソン社はマンドリン、アーチトップのフルアコなどを製作していましたが、1926年にフラット・トップ・アコースティック・ギターを製作し始めました。

最初のシリーズはスモール・ボディのタイプで“Lシリーズ”と呼ばれるものでした。使用ミュージシャンでは[L-1]を弾きブルースを歌ったロバート・ジョンソンや、[L-00]を弾きフォークを歌ったウディ・ガズリーらが有名です。そして今回ご紹介します[L-Century]もスモール・ボディの中では1933~39年までの短い期間製作された貴重なギブソンの名器です。 [L-Century]はシカゴ100周年を記念してギブソン社が1933年に製作し、アニバーサリー・モデルならではの豪華なデザインや素材が特徴です。トップ材はアディロンダック・スプルース、サイド&バックには見事なハードロック・メイプルを使用しています。ネックはホンジェラス・マホガニーで、指板にはパーロイド材を使用し、ポジション・マークのところにブラジリアン・ローズウッド(ハカランダ)材と、通常の発想と逆で作られており、とてもユニークです。

ギブソン社は2008年のNAMMショーで[L-Century]の復刻モデルを発表。それは[The Elvis Costello Century Of Progress]というソングライター・シリーズのモデルで、エルビス・コステロが所有する1936年製[L-Century]を実際に採寸して製作されました。

300本限定生産で、ハカランダ材は使用していないものの、それ以外はかなり当時のモデルに迫るものがあります。このモデルでも木目の詰まったハードロック・メイプルが使用されており、トップ材もアディロンダック・スプルースとスモール・ボディながらしっかり鳴る要素が入っております。

 [The Elvis Costello Century Of Progress]のネックは、エルビス・コステロの意見も取り入れながら丁寧に製作されています。ネック・グリップ形状は三角シェイプなのですが、1938年製のヴィンテージは同じ三角グリップでも不思議な形状をしており、弾いていて手に馴染むラインになっています。それはネック裏の三角の先端ラインが、ナット側はネックの中心になっているのですが、ボディ側にいくにつれ、1弦側へ徐々にセンターがずれていき、ハイ・ポジションでネックを握った時にもネック裏のマホガニーが手に馴染むような形状になっております。いろいろなポジションで握りながらネックを削っていった職人の試行錯誤が見えるところでもあります。  1938年製ですと、もう70年経過しており、その存在感に圧倒されます。フラット・トップ・ギターの原点がここにあり、当時の職人が新しいことを始めようとする意気込みや、このモデルに賭ける情熱も感じ取れます。

Written by デューク工藤

本連載を執筆していた当時は渋谷店に勤務し(現在は御茶ノ水本店FINEST GUITARS在籍)、プロフェッサー岸本が一番弟子と認めた存在。数々のレジェンダリーなヴィンテージ・ギターを師匠と共に見て触わり、オールド・ギターに関する知識を蓄積。自身のフェイバリット・ミュージックは60~70年代のロックとブルースで、音楽趣向においてもヴィンテージ路線は貫かれている。

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