1969-71 Fender Custom Telecaster Sunburst

1969-71 Fender Custom Telecaster Sunburst

1959年に発表されたカスタム・テレキャスター。元来、テレキャスターのボディにはアッシュ材が用いられるが、本器を含むサンバースト・フィニッシュのものが例外で、アルダーが採用される。よって通常のアッシュ・ボディのテレキャスターとは違い、本器は甘くブルージーな音色を兼ね備えている。1959年というとローズウッド指板仕様のストラトキャスターが登場した年であり、前年には3トーン・サンバーストが採用されるようになった。

ちなみに初期の3トーン・サンバースト(1958?60)は、現在“ハニー・バースト”と呼ばれている。その理由は、この頃のものは褪色しやすく、特に中間の赤味の色が抜けて2トーン・カラー風になるものが多く、それらの見た目がハニー・サンバーストのようだったから、この愛称が付けられた。

ヘッド・デカールについては、初期のスパゲティ・ロゴからトランジション・ロゴに変わるのが、ストラトの場合は1964年だったのに対し、カスタム・テレキャスターは1966年に行なわれた。デカール・ロゴの変更は全モデル一斉に行なわれておらず、モデルごとに若干ずれがあるので、覚えるのに厄介だ。

ちなみにカスタム・テレではスパゲティ・ロゴの時から金文字のロゴが使用されていた。今回紹介する年式のものは、モダン・ロゴが採用されている。この時期のものには、モデル名がないものも存在する。

カスタム・テレキャスターの一番クールで目に惹く箇所は、やはりボディ外周を白バインディングで巻いたスタイルであろう。これはアコースティックでは当たり前のスタイルだが、ソリッド・エレキに採用することにより、サンバーストが引き締まり、見た目も渋くなった。

また意外に知られていないのがボディの厚みで、通常のテレキャスターよりもボディ厚が1/8インチ(約3mm強)薄いものも存在する。

この薄いボディのものは独自の音色を持つことから固定ファンがおり、見つけたら衝動買いする方も多い。

実はフェンダー社にこの仕様でオーダーをしてみたこともあるが、工場側のボディを削り出す機械の設定を変える必要があり、少量オーダーの場合、その設定変更はできないという理由で実現しなかった。

1969年頃には貼りメイプル指板のものも存在する。ちなみに渋谷店では一度、この貼りメイプル指板+薄ボディのものが入荷したことがあったのだが、もちろん即売されたのは言うまでもない。

カスタム・テレキャスターは1972年に生産中止となるが、近年ではそのルックスの渋さからフェンダー・ジャパン、あるいは本家フェンダーUSAからも復刻モデルが発売されるほど、人気が高い。見慣れたルックスだが、当時の本物はほとんど見ることが困難な、フェンダー社の中でも貴重なモデルである。

Written by デューク工藤

本連載を執筆していた当時は渋谷店に勤務し(現在は御茶ノ水本店FINEST GUITARS在籍)、プロフェッサー岸本が一番弟子と認めた存在。数々のレジェンダリーなヴィンテージ・ギターを師匠と共に見て触わり、オールド・ギターに関する知識を蓄積。自身のフェイバリット・ミュージックは60~70年代のロックとブルースで、音楽趣向においてもヴィンテージ路線は貫かれている。

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