トランジション・ロゴの入ったラージ・ヘッドストック。

クルーソン・ペグを搭載。

ネック・ポケットには、シムが入っている。

「4 MAR 65 B」と印字されたネック・デイト。

ネック・プレートに刻まれたシリアル・ナンバーは、L64147。

1965 Fender Jazzmaster 3 Tone Sunburst

  • Brand: Fender
  • Model: Jazzmaster
  • Color: 3 Tone Sunburst
  • Year: 1965
  • Serial Number: #L64xxx
  • Neck Date: 4 MAR 65 B
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Detail of 1965 Fender Jazzmaster 3 Tone Sunburst

ジャズマスターは1958年中期、ストラトが主流だった時代にフラッグシップ・モデルとして発売。レオ・フェンダーと共にフェンダー社を支え、その時代にレオの右腕とされていた副社長のフォレスト・ホワイトが立案。そのことがきっかけとなってフォレストがフェンダー社に入社できたという歴史的な1品。この時に持ち込まれたアイディアのひとつが「プリセット・トーン」。フロント・ピックアップに別回路を作り、スイッチひとつで瞬時に音色や音量を変えることのできる画期的な回路で、後継モデルのジャガーにも搭載された。

ジャズマスターの名の由来は、文字通りジャズ・ギタリストをターゲットにしていたためであっが、実際にはベンチャーズなどのサーフ・ミュージックに多く使われたことで有名になった。前記のプリセット・トーンもフォレストは元々ジャズ・ギタリストが好む甘いトーンを再現したかったために生まれたものだ。そもそもジャズマスターは立奏用ではなく、座って弾くことを前提に設計されている。座った時に重心がピッタリくるように、オフセット・コンタード・ボディというクビレ位置が左右でズレた新デザインが採用された。

ピックアップはシングルコイルではあるが、ストラトと違い音圧を上げ、柔らかなジャズに向いたサウンドを作り出すことが可能。これに対してジャガーは、限りなくストラトに近いシャープなサウンドが特徴だ。ブリッジなども1964年から発売となるムスタングに応用されたり、ジャガーのネックはスケールが同じであったムスタングに流用された(24インチ)。これは当時不動の人気であったストラトキャスターに対し、ジャガーはフラッグシップ・モデルだったにも関わらず、売上が伸びずにパーツが他のモデルに流用された時代背景が見え隠れする。

ネック・デイトは「4 MAR 65 B」。頭の「4」はジャズマスターの番号、1965年の3月に製作されたこと、「B」は標準ネック(メルマガ1号参照)を表わすネック・ポケット部の黄色とサンバーストが分かれている部分は、当時ボディ塗装をハンドルを使って塗装をしていたため、ハンドルを取り付けた跡が塗装されずに黄色のまま残っているためだ。また、ポケット部に付いている黒い板状のものは「シム」で、最終調整時にネック角度調整のために取り付けられている。「シム」は数種類存在し、1本1本違うものが付いていていたりする。テイルピース部の中心に付いているヘソのようなものは、トレモロの固定スイッチだ。これをオンにすることによって、トレモロ・アームが利かなくなり、例えば弦が切れた際などにチューニングの狂いを未然に防ぐことが可能だ。1967年にザ・ベンチャーズ、1990年初頭には改造ジャガーを故カート・コバーン(ニルヴァーナ)が使用。日本でもチャーやレミオロメンが愛用し、時代を超越しているギターと言える。

Written by プロフェッサーKenny 岸本

平成8年入社。ヴィンテージ・ギターに関しての知識はイシバシでNo.1! プロ・ミュージシャンのお得意様も多く、彼のマインドに惚れ込み、多数お店に通っていただいている。また、英語力もまずまずのため、直接ギター工場のマスター・ビルダーたちと話し合いすることも。彼自身のフェイバリット・ミュージックはカントリー・ロック、ブルーグラスなど。