1969 Gibson SG Custom Walnut

  • Brand: Gibson
  • Model: SG Custom
  • Color: Walnut
  • Year: 1969
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1969 Gibson SG Custom Walnut

1960年代のギブソン・ギターの名器[SG]。その名は“Solid Guitar”の略であり、カスタム、スタンダード、スペシャル、ジュニアの4つのモデルが存在する。今回は最上位機種のカスタムを紹介しよう。

もともとはシングル・カッタウェイのレス・ポールをダブル・カッタウェイ・シェイプにすべく、1961年に発売されたモデルで、諸事情により“レス・ポール”の名前が使えなくなったことに伴い、1963年に[SG]の名前が誕生した。カスタムは3ピックアップの仕様で、配列はセンター・ポジションの時にミドルとリアPUが逆位相/並列配線となり、低域が抑えられた抜けの良い音が魅力的である。

マイナー・チェンジは他のモデル同様、年代ごとにあり、共通点はかなりある。まず大きな変更部分はネックの角度が1965年より17度から14度になり、ピックガードはスモール・ガードからラージ・ガードに変更される。ピックガードについては、カスタムには白/黒/白の3プライで、スタンダードは黒/白/黒のものが用いられた。指板は、カスタムにはエボニー、スタンダードはローズウッドと使い分けられている。

何よりカスタムの象徴は豪華なヘッド・デザインにある。インレイに“スプリット・ダイヤモンド”が入り、大きめなヘッドの外周には5プライのバインディングが施されている。そして指板にはブロック・ポジション・マークが入るなど、上位機種ならではの装飾類で飾られた。

ボディ厚はSG各機種とも共通で、マホガニーの単板材が用いられている。サウンドの秘訣は薄いボディだけではなく、ピックアップの配置も関係がある。他のモデルに比べ、SGのダブル・カッタウェイ・デザインはネックのセット部の接着面積が狭く、強度を得るためにフロントPUの位置をブリッジ方向にずらしてある。そのため指板エンドとフロントPUの間に隙間があり、この微妙な距離感が他のモデルと違う弦振動を拾い、独特な太いサウンドを生み出している。もちろん板バネ式アームもサウンドに物凄く影響を与えている。

ウォルナット・カラーは1969年からSGで採用された(本器は初年度モデル)。ネックはこの年から採用された3ピース・マホガニー。プライされている分、強度の面で安定している。シリアル・ナンバーは、1966年と1969年に使用されていた並びだが、ヘッド・デカールの[Gibson]ロゴの“i”にドットがないことから、1968年以降のものということが分かる。さらにポット・デイトが1968年52週目。この2つを踏まえて、本器は1969年製と判別することができる。

 [SG]といえばアンガス・ヤング、エリック・クラプトン、ピート・タウンシェンド、ジョージ・ハリソン、デュアン・オールマンなど、多くのミュージシャンが使用。ロック・サウンドに欠かすことができないギターで、多くの名作をこれまでに生んできた。

近年では60年代製のギターが市場で数が少なくなっている。その理由はやはり人気があり、かつ良い音がすると世界中で認められているからでしょう。見つけたらまず音を出し、その歴史とサウンドを体感してみてください。多くのミュージシャンが使用した理由が肌で分かるかもしれません。

Written by デューク工藤

本連載を執筆していた当時は渋谷店に勤務し(現在は御茶ノ水本店FINEST GUITARS在籍)、プロフェッサー岸本が一番弟子と認めた存在。数々のレジェンダリーなヴィンテージ・ギターを師匠と共に見て触わり、オールド・ギターに関する知識を蓄積。自身のフェイバリット・ミュージックは60~70年代のロックとブルースで、音楽趣向においてもヴィンテージ路線は貫かれている。

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