ブリッジ周りが大袈裟ところも特徴的。リア・ピックアップ真下にミュートがあり、フローティング・サウンド・ユニット(画像では外されている)、スペース・ローラー・ブリッジ、ビグスビー・ビブラートが付く。

中央にはネーム・プレートが入り、トラス・ロッド・カバーがゴールド・スパークル。0フレットは1962年頃からの仕様。

フィルタートロンPUのカバーを外した様子。

伸縮自在のテレスコープ(顕微鏡)アーム。

巷では座布団とも呼ばれているバック・パッドを外した様子。

ミュート機構とそのスイッチを繋ぐ2本の金属アームが見れる。

グレッチが60年代後半頃に発明した別名「フローティング・サウンド・ユニット」。ハーモニクスやサステインが増すという触れ込みであったが……。

1969 Gretsch White Falcon White

Detail of 1969 Gretsch White Falcon White

メリカを代表するトラディショナル・ブランドとして忘れてはいけないのがグレッチ・カンパニー! その創業は古く、ドイツからの移民として、創業者のフレッド・グレッチがブルックリンに渡ったのが1883年。そのおよそ100年後の1933年よりアーチトップ・ギターを作り始め、古き良きアメリカを感じさせる独特な意匠により、トップ・ブランドの仲間入りを果たし、現在も継続中の名門ブランドです。

数々のトップ・アーティストに愛用され、特にチェット・アトキンスの名を冠したシグネイチャー・シリーズは大好評で、50?60年代のグレッチの人気を不動のものとしました。ところが1967年にボールドウィン社、1978年にはカスタム社による買収があり、苦難な道を歩むことになります。繰り返される買収により、商品解体が行なわれていく運命を辿ります。

ホワイト・ファルコンが誕生したのは1955年。ホワイト・カラーに彩られた17インチ・ボディにはゴールド・パーツがふんだんに用いられ、グレッチの最高機種に相応しいゴージャスなルックスに仕上がっております。

今回ご紹介するホワイト・ファルコンは1966?69年まで採用されていた[Tuning folk bridge]という、ブリッジ下部が音叉(何と440khz)になった構造を持ち、弦振動を受け止めた際にこの音叉が共振する仕組みとなっております。

また、ピックアップは1958年から採用されているフィルタートロン・ピックアップがマウントされ、パンチの効いたロック・サウンドを繰り出します。

ホワイト・ファルコンを愛用するアーティストとして代表的なのがニール・ヤングでしょう。彼は黒のレス・ポールがトレードマークとなっていますが、実は初期の頃はホワイト・ファルコンをライブで、よく使用していました。二ール・ヤング以外のところでは、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのジョン・フルシアンテが58年製のものを愛用。

またグレッチ全体で見れば、若手ギタリストたちから脚光を浴び、人気となっています。現在、入手できるヴィンテージもギブソンやフェンダーに比べて安価で入手可能なところも魅力でしょう。アメリカン・サウンドを追求するには、なくてはならないマスト・アイテム。

Written by デューク工藤

本連載を執筆していた当時は渋谷店に勤務し(現在は御茶ノ水本店FINEST GUITARS在籍)、プロフェッサー岸本が一番弟子と認めた存在。数々のレジェンダリーなヴィンテージ・ギターを師匠と共に見て触わり、オールド・ギターに関する知識を蓄積。自身のフェイバリット・ミュージックは60~70年代のロックとブルースで、音楽趣向においてもヴィンテージ路線は貫かれている。

御茶ノ水本店FINEST GUITARS

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