Gibson Running Hoses J-185 2005年製

プロフェッサー岸本によるギター重点解説 Gibson Running Hoses J-185 2005年製

Gibsonアコースティックギターは、アメリカモンタナ州ボーズマン工場で製作される。ボーズマンは、豊かな自然を有するイエローストーン国立公園の北玄関に位置し人口約3万人。このギブソンモンタナ工場の前身がマンドリン製作などで有名なフラットアイアン社である。ギブソン社は。1989年にフラットアイアン社を吸収したのと同時に、ギブソンモンタナ工場のマスタールシアーとなるレン・ファーガソン氏を迎え入れることになる。彼のカスタムクラフトを行うスペシャルルームには”Gibson Artist Shop”と書かれた看板が配され、特別なギターたちがハンドクラフトによって生み出されていく。

Runnning Hoses J-185は、そのレン・ファーガソン氏が手掛けたギブソンを代表するカスタムメイドのアコースティックギターである。

そのスペシャルルームには、厳選された非常にレアでエキゾチックな木材のストックや、豊かなインスピレーションを醸し出すインレイワーク、音響特性を左右するブレイシング加工技術など手作業による別次元の職人気質が存在する。中でもアーティスティックなインレイワークはレン氏の真骨頂といえる。

また、ギブソンアコースティックに共通して特筆すべきことは、特有の箱鳴りを生成する“ドームドトップ”形状にある。トップは28 footラディアス、バックは12 footラディアスの計算された絶妙な膨らみを持っている。唯一無二の撫で肩のランドショルダー形状とドームドトップを合わせる事で、ギターの豊かな中音域と歌声の新たなハーモニーを奏でていく。

現在レン・ファーガソン氏は残念なことにギブソン・モンタナ工場から他ブランドのギター工場へ異動してしまったが、彼の遺した技術とスピリットは現在のギブソンカスタムビルダーへと受け継がれている。