Gibson NICK LUCAS Limited Edition 2001年製

プロフェッサー岸本によるギター重点解説 Gibson NICK LUCAS Limited Edition 2001年製

ギターのモデル名になっている“ニック・ルーカス”は1920~1930年代に活躍したアーティスト。ギブソンの長い歴史の中で初のシグネチャーモデルとして発売された。シグネチャーモデルといえば本人仕様の定型があるが、当時のニック・ルーカスモデルではボディー材はマホガニー材、ローズウッド材やメイプル材を使用し、またネックとボディーのジョイント部も12~14フレットなど、年式によって3タイプの異なるスペックとなっている。また、ボディー形状もロバート・ジョンソンで有名なL-1スタイル(後述のL-00スタイルよりやや丸い感じ)からL-00スタイルへと変更されている。

KUMIの愛用する2001年に発売された全世界25本限定盤では、ボディーはL-00スタイルのメイプル材で14フレットジョイント仕様となる1938年最終型と同様の仕様となっている。メイプルをボディー材に使用したギターは、主にジャズに使用するフルアコスタイルが多く、的確な音程とメリハリのある歯切れの良いサクサクとした音色に、心地よいサスティーンの寄り添うリッチなサウンドとなる。更に小ぶりなボディーサイズはレスポンスが良く、フィンガーピッキングにも最適である。

因みに、若き日のボブ・ディランも60年代にハーモニカを吹きながら、ニック・ルーカスモデルを演奏していた。彼のニック・ルーカスモデルは、ナチュラルフィニッシュのため、塗装を剥いで黒いピックガードが装着しているようだ。改造を施してまで愛用していたことから、よほど気に入っていたと想像する。それはL-00スタイルの13フレットジョイントでローズウッド材を使用したNICK LUCAS Specialと思われる。