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人間は同じ音程の音でも、楽器の種類や、
同じ種類の楽器の差までも聞き分けてしまう。
このように音を聞き分ける手がかりとなる音の特質を音色と言う。
音色は一般に倍音構造、強さ、立ち上がり、減衰によってきまる。 しかし人間の耳は、音色を精神的条件も含めて判断している。 このため、好みの音や音の印象などは人により様々である。 音色を表現する言葉としては、明るい、太さ、緻密さ、荒さ、 豊かさ、鋭さ、柔らかさなどがあげられるが、 主に低音成分の多い音に深みのある豊かな感じがし、 高音成分の多い音は明るく金属的な感じとなる。 それではこの音色を決定する要因である倍音構造、 音の大きさ、時間的特性について述べてみよう。 |
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●倍音 | ●音の大きさ | ●時間的特性 |
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各種楽器の基音の周波数範囲は左上の図のようになる。
しかし楽器の音は単純に基音のみで構成されているのではなく、
豊富な倍音がその音色変化を支えている。
その倍音を含めると各種楽器の周波数範囲は右上の図のようになる。 この倍音の構造を音響スペクトラムで表すとしたの図のようになる。 しかし、このスペクトルの差だけがその楽器の 倍音を決定しているわけではない。 この他に、倍音の不規則な時間的変化などが影響している。 倍音の音色に対する影響をさらにくわしく説明すると、 倍音の数、倍音の強さ、分布構造、調和と非調和は倍音、 フォルマントがあげられる。 倍音の数が多ければ音色は豊かに聞こえる。 倍音の強さは下の図に示す通りであるが、 楽器によって特定の音色と特に結びついたような倍音がある事が分かる。 |
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非調和倍音とは、基音振動数の整数倍である倍音以外の不規則な倍音であり、
これが楽器の音色を性格づけている場合もある。
非調和音は音色の清濁に関係し、シンバルや鐘、バイオリンの弓の軋み音、
電気ギターのアタック時のビリ音などにみられる。
人間のしゃべる声音は誰がしゃべっでも、またどんな音程でも
「ア」は「ア」と認識できる。 このように母音や子音の特長となっている 音色の倍音構成パターンをフォルマントという。 楽器にも同じようにこのフォルマントによる類似性があり、 弦楽器族、管楽器族などの識別できる。 |
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音の強さが分かると音色もある程度影響を受ける。
普通楽器は、強い音を発すると振動する部分が増え、
部分音が多くなり豊かなサウンドとなる。
生楽器の場合は聞く方でも弁別閾が小さくなり、
音色は豊かに聞こえる。 従って、その楽器の出せる範囲内のある限度までは、 大きい音の方が音色は豊かに聞こえる。 ドラムなどの打楽器では特に強弱での音色変化が大きい。 |
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前述のように音の時間的特性は音色変化に重要な影響を与え、
音色の弁別の重要な手がかりとなっている。 時間的に変化するのは、強さ、高さ、倍音の分布や強さである。 この中で最も大きな影響を持つものは音の強さの変化である。 打楽器、打弦楽器、撥弦楽器などはいずれも時間経過とともに 強さが減衰するのに対し、管楽器、擦弦楽器などは減衰しない。 また、エアー・オルガンなどは立ち上がりが鈍いのに対し、 ピアノ、ギターなどは鋭い立ち上がりを示している。 この事は、同じ楽器の操作を変える事で体験できる。 例えば、サスティンを長くしたギターはオルガン的ニュアンスを感じさせるし、 ピッキング後にボリューム・ノブを徐々にあげてゆくと バイオリン的ニュアンスになる事でも理解できる。 |
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