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![]() | 人間の耳は恐ろしいほどの性能を有している。 種類の違ったギターはもちろんの事、 同種ギター2本の音色差までも探知してしまう。 ギターについて述べる前に、 我々の耳の性能と性質について述べてみよう。 |
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●聴覚器官 | ●聴覚 |
我々は常に何らかの音を聞いている。
そして無意識にその音の方向や音質を判断し、
もし危険な音であればそれに対処しようとする。 音の源が何であろうとも、意志に関係なく感じている場合、 自分から聞こうとする会話や、鑑賞の場合など、 聴覚に直接関係のあるのは耳であり、大脳の聴皮質部分、 そしてそれらを結ぶ多くの神経である。 |
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上の図は人間の耳の断面ある。外耳は集音と音源の方向決定に
重要な役割を持っている。 外耳にたどり着いた音波は外耳道に侵入する。 外耳道は日本人の平均で長さ25mm、直径5mmであり、 音波を鼓膜に導く役目をする。 外耳道を片側が閉ざされた管と考えると、 その寸法によって決定する基本周波数は3000Hzぐらいである。 この共振現象はこの周波数付近の音を 聞き取りやすくする要因であると考えられている。 鼓膜までを外耳と呼び音波は外耳道を経て鼓膜を振動させる。 鼓膜の振動は、中耳腔に存在する3つの小さい骨(耳小骨)に伝わる。 この耳小骨は強い音に対しては減衰させ、弱い音に対しては 増幅する働きをする。 つまりこの部分は、電気的な増幅と音量調整を自動的に制御する コンプレッサーと同様な機能を備えていると言える。 振動は前庭に伝わり蝸牛に到達する。 蝸牛は「かたつむり」の殻に似た形をしており、 ラセン状に巻かれている。 この蝸牛は周波数分析器でもある。 下の図は蝸牛をまっすぐ引き延ばしたものである。 |
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蝸牛の内部には基底膜が存在し、
その膜の振動の最大振幅の位置は周波数によって異なり、
周波数が高いほど、前庭窓に近く、周波数が低い程奥になる。 基底膜は蝸牛中を仕切っており、 それを横切る方向の多数の繊維からなっていて、 蝸牛の奥にゆくに従って繊維の長さは長くなっている。 これらの繊維はそれぞれ神経がつながっていて 周波数に応じた位置の神経が大脳にパルスを送る。 その結果、多数の周波数の成分を含む複合の音の場合は、 それぞれの周波数に対応する部分が振動し、 それぞれの位置に存在する神経抹消からパルスが発生し、 周波数分析を行って周波数の成分の強さ、 即ち周波数スペクトルが脳に伝えられる。 この様な意味において人間の耳は非常に有能な フーリエ変換器をも備えていると言える。 |
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一般に人間の耳に聞こえる周波数範囲は
約20Hz〜20kHzであると言われている。
これは振動周波数についてであって、
音の大きさに関してはその表示がどのように
なされるかをまず考える必要がある。 一般に音の大きさはdBと言う単位で表し、 その音波のの圧力を音圧と称している。 人間の聴覚は約0.0002μbar、即ち大気圧の 50億分の1という極めて小さい圧力を聞く事ができ、 これを音圧の基準値としている。 また時間的に変化する音圧を瞬時音圧と呼ぶが、 取り扱いを簡単にするために実行音圧と言うものが定義される。 瞬時音圧をp、実行音圧をPとするとそれらの関係は 次の式のようにあらわされる。 |
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Pはpの二乗平均値であり、種々の測定器などにはRMSと
表示されていて実効値の事を表している。 たとえば、人の声、またはギターアンプから出た 音の実効音圧がPであったとすると、 基準値との比の常用対数を取ったものの20倍を音圧レベル(SPL)といい、 次の式で表される。 |
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人間の感じる音の強さや、音の高さなどはその尺度を対数を
用いて表せば人間の感覚量とほぼ一致する。 簡単に説明すると下の図は1000Hzを基準としていて、 前述の0.0002μbarは1000Hzで0dBとしている。 そして、1000Hzのそれぞれの音圧レベルに対して 同じ感覚を示す各周波数を表したものが下の曲線である。 |
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たとえば、1000Hz、0dBと等しい感覚量を与えるのは
100Hzでは約37dB、1000Hzでは約8dBである。
同じように1000Hz、50dBと等しい感覚量を与えるのは、
100Hzでは約66dB、1000Hzでは約62dBであることがわかる。
この図は多くの人の平均特性であるが、上限、下限には個人差があり、
17〜18kHzの音を何ら感じない人もいれば、
それ以上の極端に高い音を聞き分ける人もいる。
さらに高齢になると徐々に聴力は低下し、
特に高い周波数の音は著しく聞き取れなくなる。 その他、耳の疾患やストレプトマイシンなどの薬の多用、 過大な騒音の中に長時間さらされても 最高可聴周波数の低下が見られる。 上の図を見ればよく分かるように、7800Hz〜5、6kHzの帯域が最も聞き取りやすく、 それよりも周波数が高くなっても、また低くなっても 聞き取りにくくなっていることがわかる。 これらは音圧レベルが低い場合は特に著しく、 高い場合にはほとんど直線的である。 これらの感覚量が我々の身近に用いられている例を示そう。 ステレオ・アンプにLoud-ness(ラウドネス)と言うスイッチがあるが、 そのラウドネス・スイッチをonにすると低音域と高音域がいくらか増大する。 即ちラウドネスは、小さい音で聞く場合に、以上のような 人間の聴覚の特性を補正しようというものである。 それでは我々の周囲に存在するような音は一体どのような 音圧レベルを示すのであろうか。 下の図に現実に我々が感じている音とその音圧レベルとの対比を示す。 |
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