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●弦のお話し 今回は、これまでお話してきた内容と多少重複する部分もあるかと思いますが、弦 とそれに関連したメンテナンスのお話をしてきたいと思います。 弦は「正しい」状態で使わないと、良い音色、良い音程が得られません。例えば、 パッケージから出すときに乱暴に扱って折れ目をつけてしまったりすると、ビレの 原因となったり、正しい音程を得られなくなってしまう可能性があります。丁寧にほ どき、慎重にギターに張っていきましょう。 また弦をペグ(糸巻)のポスト(軸)に巻いていくとき、巻き数の目安は三回程度です。 巻き数が少ないと、摩擦が少なく、弦がすべって正しく張っていけないことがありま す。逆に巻き過ぎて、ダンゴ状態にしないようにもしたいものです。遊びがあるとチ ューニングの狂いの原因になります。ついでながら、ケガを防ぐため、余り弦は 切るか、丸めるようにしましょう。 なお、弦を交換していて、ナットの溝に弦が挟まるような感触があった場合、溝を弦 に合わせて調整する必要があります。このように、ブリッジやナット部分で違和感 があった場合は、リペアの道を究めようという野心がない限り、専門家に相談する のが良いでしょう。デリケートな作業を要求されるからです。 次に弦の交換時期についてです。弦を切れるまで張りっぱなしにされる方もいらっ しゃいますが、切れなくとも定期的に交換するようにしましょう。最近普及してきた コーティング弦でも同じです。お使いになる方によよって個人差(汗のかき方や演 奏スタイル)がありますが、コーティング弦でない一般的な弦の場合で、交換時期 の目安は弦を張ってから2〜3週間、もしくは3〜4週間といったところでしょう。 ちなみに、幸いにして弦が切れずに、また錆びもなく、長持ちしているように見えて も、あまり長く張っていると音程が合わなくなってきます。特にプレーン弦にその傾 向が強く見られます。正しくチューニングをしても、ハイ・ポジションに行くにした がってどんどんとフラットしてしまうのです。アコースティック・ギターを演奏され る方の中には、さほどハイ・ポジションを使用しない方もいらっしゃるので、それに 気づかれないこともあるようですが、リード・ギター演奏時にハイ・ポジションを 多用するエレキ・ギターでは目立ちます。もし、ハイ・ポジションで音程がフラット すると感じられたら、弦が古くなっている可能性があります。こんなとき、弦を張 りかえる際に一度に全部の弦を外してしまわずに、一本ずつ換えて古い弦と新しい 弦を比較してみると、古い弦の劣化のほどを知ることができます。 夏は、汗や湿度により、弦の劣化が早い時期でもあります。演奏後は乾いた布で、 汗、汚れを拭き取るのはもちろんですが、弦の交換時期についても、乾燥時期と 同じというわけには行かないかもしれません。音程にも影響を与えますので、「正 しい」状態を維持するよう心がけてください。 |