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●アコースティック・ギターの健康診断 アコースティック・ギターの経年によって起こりがちなトラブルについて書いて みましょう。 高級アコースティック・ギターをお持ちの方には、1本のギターを大事に長年に渡りお 使いになられている方も多いことでしょう。木材を使用して作られているギターは、長 く使っているとどうしても経年変化によるトラブルが発生することがあります。素材の 性質上避け難いものがありますが、定期的にチェックしてベスト・コンディションを維 持したいものです。 購入後しばらくして発生しがちなトラブルにネックの反りが挙げられましょう。出荷さ れて間もないギターは、ネックの湿度が安定しきっていないために反りが起こりやす くなります。もっとも大抵は当初調整が必要にあっても、水分が抜けるにしたがって 徐々に安定してくるものです。ネックの反りは弦高が高く感じるので気がつきます。そ してアジャスタブル・ロッドを内蔵したネックであれば、早く対処すればほとんど大き なトラブルとはならず修正できるでしょう。 しかし、同じように弦高が高く感じるトラブルで困りものは、ネックの腰折れやトップ材 の膨らみです。腰折れはネックの根元部分が反ってしまうもので、アジャスト・ロッド での修正が利かず、修理する場合は大掛かりになる可能性があります。またトップ 材のブリッジ部分が持ち上がってブリッジより下が膨らんでくるトラブルは修復が難し いものです。ブリッジを削って本来の弦高に戻すことになるでしょう。こういったトラブ ルはギターを購入してしばらく時間が経ってからおこることが多いです。弦高が高くな ったと感じたら、要チェックです。「ネックの反りならアジャストできる」とたかをくくって いると、あとで高い修理につくことが考えられます。 また、外見的にはわかりづらいトラブルもあります。表面板の力木の剥がれです。外 側からは見えないため、力木が剥がれていながらそのままになっているギターは意 外に多いものです。弦の振動を表面板全体に伝える大事な役割の力木が剥がれて しまうと、音にコシがなくなったりします。 購入から時間の経過しているアコースティック・ギターは、これからも末永くお使いに なれるよう、専門家のクリニックをうけるのが良いでしょう。 |