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POP’N’ROLL

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スーパースター不在の現代に君だけのHERO を。

結成20周年を迎え、さらに輝きを増したF-BLOOD。『POP’N’ROLL』は、稀代のポップHERO、藤井フミヤ・尚之兄弟による転がり続ける12 の物語だ。

前作から数えて9年という月日は、音楽を取り巻く環境を大きく変化させた。ロック・ポップスの歴史を彩ってきたアーティストが立て続けにこの世を去るなど、ネガティブなニュースも多い。そんな時代に、F-BLOODは力強いロックで、軽やかなポップスで、包容力のあるバラードで、音楽シーンに帰ってきた。『POP’N’ROLL』の12曲を聴いたらきっとあなたは思うことだろう、「こんなアルバムを待っていた」と。

キラー・フレーズ“快楽のNever land”もキマってるグラマラスなロックンロール「ROCK BAR」で幕を開け、先行デジタル・シングルとなったメッセージ・ソング「未来列車」、フミヤのボーカルと尚之のサックスが競うようにグイグイ迫る「THE FRUSTRATIONS」等、硬軟織り交ぜた楽曲はどれも個性的で、且つロカビリーやR&B といったルーツ・ミュージックへの敬意も感じさせる。

もちろん、遊び心も忘れていない。

尚之のリード・ボーカルによる「Want Chu」なんて、連呼される“Chu”にファンならずとも身悶えてしまいそうなキュートなポップ・ロックだ。「To be continued etc.」ではハワイアン・ミュージックに合わせて“悩んでたことも忘れちゃって 過去の過ちも許しちゃって”とスタッカート気味に歌うフミヤのボーカルも楽しい。

対照的に「孤独のブラックダイヤモンド」「Love is blind」とダークな音像が続く流れや、スロー・ナンバー「Make me」「Full moon night」と、聴きどころたっぷりだ。

歌の世界観にピタリと寄り添う巧みなアレンジを手掛けているのは、サウンドプロデューサーの大島賢治。

骨太なバンドサウンドとポップスの軽やかさを両立させ、兄弟ならではの息のあった楽曲の魅力を最大限に引き出している。

THE HIGH-LOWS、忌野清志郎&The 2-3’s 等、歌心あるロックバンドで活動してきた大島ならではの手腕が発揮されているといえるだろう。

ツイン・ボーカルを聴くことができるラスト・ナンバー「君だけのHERO」で“世界のどこにいようとすぐに飛んで行く君だけを守るHERO”と歌いアルバムは締めくくられる。

老成することなく、瑞々しく現在のF-BLOOD を表現したこのアルバム。

第一線で活躍し続けてきた彼らが満を持して完成させた9 年越しのネクスト・ステージがここにある。