ウインドシンセサイザーの歴史

こちらの記事は以前あったウインドシンセサイザー特集ページの再掲載です

2015-02-19 サックスの運指とマウスピースを模倣した作りで、リリコンというウインドシンセサイザーが市販で実用に耐えるものが 最初のウインドシンセです。

アメリカのコンピュートーン社と言う会社から出ていたと思います。(現在は製造されていません)

トムスコットや、初代T-スクエアの伊東タケシさんがレコーディング、ライヴに使用していたので、 そのサウンドを聴くことが出来ます。

音源はアナログ音源で暖かみのある素晴らしいサウンドでしたが、暖まるまで音程が安定しない、 コントローラーの接点不良を起こしやすいなど、なかなか手の掛かる楽器で、 しかも100万円近くもする大変高価なものでした。

時代はデジタルテクノロジーが進化し、ヤマハのDX7、MIDIなど 新しい技術を応用したシンセへの転換が始まりました。

当社もMIDIでコントロール出来るウインドシンセを開発し、販売していた時期もあります。 和音も出せる結構画期的なものでかなりヒットしました。
(※おそらく、「IGS」名義のBIAS MIDI BREATH CONTROLLER MXB-I&MXB-IIの事だと思われます。社内でも実物に触れたことのある方はごく僅か・・・どこかに残ってないかしら?)

この頃は数社からリリコンを模倣したものやMIDIでコントロールするものなど何機種か市場に出ていました。

そんな中でヤマハがDX7のコントローラーとして開発したブレスコントローラーを応用して、 WX7というヤマハ初のウインドシンセを開発しました(正確にはウインドMIDIコントローラー)。
多くのMIDI音源を使用できるタイプのコントローラーとしてヒットしました。

その後を追うようにアカイがスタイナーホーンを独自に改良、研究開発し、EWI1000が登場しました。


これはマイケルブレッカーや伊東タケシなどプロの高度な演奏に追従出来る素晴らしい機能と演奏性能を持ち、 若干の仕様変更、音源モジュールの開発などが行われ、アカイEWI3020に受け継がれています。
(※AKAI EWI3020は既に廃番となっております)

ヤマハも3回ほどのモデルチェンジが行われ、現在のWX5のモデルに引き継がれています。

そして、2016年。
満を持してRolandからDigital Wind Instrument 「Aerophone AE-10」が登場!
これまでに登場したウィンドシンセサイザーを踏襲しつつ新しさも取り入れた、新感覚なモデルです。

-用語説明-

*ブレスコントロール
MIDI情報の一種で管楽器のニュアンスを出せるように連続してピッチ情報や音量情報などが 信号として送れるようになっています。
管楽器では吹いた最初の音よりも少し遅らせて 音を大きくしたりと言う演奏法が頻繁にありますが、鍵盤でこれを再現使用と思うとボリュームペダルで 音を大きくしたり、エクスパンジョンペダルで音色を変えたりと結構大変な作業になります。
ブレスコントロール情報はこれらの情報を連続して送ります。ですからMIDI情報としてはかなり大量のデータを 絶えず送っていることになります。
容量の少ないシーケンサーなどはすぐにメモリーフルになってしまいます。 それだけ管楽器の演奏はシビアで繊細と言うことですね。

*アナログ音源
発振器から出た音(波形を色々と加工して様々な音を作る仕組みでデジタルではなかなか表現しにくい、 ナチュラルな響きや音の太さのようなものが得られますまが、発振器から出るノイズや外からの刺激が 実際の音に影響してしまう欠点もあります。
ちょうど昔のレコード盤に傷が入ると、 その傷の部分の音もいっしょに増幅されノイズとなって聞こえてしまうのと似ています。

一方デジタル方式はCDに例えれば、1秒間の横軸が44.1kHz(44100)の編み目で縦軸が 16bit(2の16乗なので65536)の編み目を持つ方眼紙に座標で波形をトレースしていく方式です。
ですからCD自体に多少傷が付いても座標を読みとる目印さえ読みとれれば傷がノイズとなって再生されることが 無い仕組みです。

ただし生音の波形をいくら細かく方眼紙に読みとったとしても、 細かい波形の揺れなどはカットされてしまいます。
その微妙な違いが、暖かい音だねとか、クリアーだねとか、太い、冷たい、平べったいとかのニュアンスで 人間の耳には聞こえてしまうのです。
人間の耳は奥が深いですね。

*MIDI
ミュージカルインストゥルメントデジタルインターフェースの略で 楽器どうしを共通のデジタル信号で演奏させたり、テンポを合わせたり、音色を切り替えたり、 ステージの照明を曲に合わせて切り替えたりと様々な用途で使われるフォーマットの事です。
信号には色々な種類がありますがピアノで例えればまず、鍵盤を押したと言う情報(ノートオン)、 どの鍵盤を押したかと言う情報(音程)、どの位の強さで押したかと言う情報(ベロシティー)、 鍵盤をはなしたと言う情報(ノートオフ)でひとつの音が鳴って消えたと言うことになります。
さらにシンセサイザーだと何の音色を使ったか(プログラムチェンジ)などたくさんの情報があります。 MIDI対応のデジタル楽器の取り扱い説明書には必ず、MIDIインプリメントチャート表が記載されています。
これにはどんなMIDI情報が送れて、受けられるかが記載されています。 実際の信号はビットで送られ2進数なのですが8ビットをいちいち10011001などと書くと大変なので 16進数表記になっています。


※古い記事のため一部内容を変更させて頂いております。予めご了承下さいませ。

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