プレイヤーとマウスピースについて 【サックス】

こちらの記事は以前あったサックス特集ページの再掲載です

2014-12-11

プレイヤーとマウスピースについて


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 『好きなプレイヤーと同じようなサウンドを出したい!』と
皆さんも一度は思われたことがあるのではないでしょうか。

 ここでは、主だったプレイヤーの使用した、
マウスピースや楽器・リガチャーの組み合わせの紹介をいたしますのでご参考にしてください。

 ただし、各プレイヤーの独自の奏法や練習の積み重ねによってサウンドは確立されているものですから、
必ず似た音が出せるとは限りませんのであしからず。





ジョン・コルトレーン


 ソプラノサックスは、楽器がセルマーのマーク6で、
マウスピースはセルマーのメタルを使用し、
深めのアンブシュアでエッジを効かしたサウンドを出しています。


 テナーサックスは、
楽器がアメリカンセルマー(以下アメセル)のスーパーバランスアクションで、
マウスピースはオットーリンクのトーンマスターが主な組み合わせだったようです。
サウンド追求のため、マウスピースには相当こだわったようで、
自らマウスピースのカットをしたりチェンバーの容積を変えてみたり、
色々研究されたようです。
フラジオ(高域音)を多用していた時期はチェンバーにチューインガムを詰めていたなどという、
嘘か本当か分からない話もあります。
(確かにチェンバーの容積を狭くすれば高域は出しやすくなります)





デヴィッド・サンボーン


 アルトサックスは、楽器がアメセルのマーク6で
マウスピースはデュコフのD8番、
リガチャーはハリソンハーツが主な組み合わせです。
ソリッドでエッジの効いたサウンドと、
ソウルフルでハートフルな奏法は個性あふれています。
フラジオ音域でも実に歌わせる奏法はピカイチで素晴らしいの一言です。

 彼自身のアルバムの他、スタジオワークやサイドマンとしても、
素晴らしい演奏を残してしており、ロック、ポピュラーなどの味のあるサックスソロが多く録音されています。





伊東タケシ


 初期のT-SQUAREのサックスサウンドがこの方です。
現在の本田雅人さんと比較するとサウンドの違いがよく分かるかもしれません。

 アルトサックスがセルマーのスーパーアクションやアメセルのマーク6で、
マウスピースはデュコフのD8番、リガチャーはハリソンハーツと、
だいたいサンボーンと同じ組み合わせです。
親しみやすいメロディーラインや都会的なアドリブラインに
デュコフのサウンドが良くマッチしています。
またこの方はウインドシンセの草分け的存在とも言える人物で、
ウインドシンセに興味のある方ならご存じのリリコンの時代から、
実際にレコーディング、ライヴで使用。
YAMAHAやAKAIのウインドシンセの開発やアドバイスにもかかわった人です。




ケニーG


 楽器はソプラノサックス、アルトサックス、テナーサックスすべてアメセルのマーク6を使用。
実物を目の前で見たわけではないので絶対とは言えませんが、
ライヴビデオなどで見る限り、ソプラノはサムフックが本体に直付けの前期のマーク6のようです。
アルト、テナーも13万番台以前の味のあるサウンドが出る楽器を使用しているようです。

 マウスピースはソプラノがデュコフとロブナーリガチャーの組み合わせで、
硬質でありながらソフトなサウンドになるような組み合わせです。 

 アルトのマウスピースはビーチュラーのエボナイト製の
「ダイヤモンド・インレイ」と呼ばれる菱形の模様が入ったタイプで、
明るいサウンドの中に柔らかさも出るタイプです。
テナーのマウスピースはRIAと言うあまり見かけないタイプですが、
これも明るめのサウンドを持ったマウスピースです。

 ポップスファンをも魅了した美しいトーンとメロディーラインは一聴の価値があります。




マイケル・ブレッカー


 テナーサックスは楽器がアメセルのマーク6(主に9万番台を使用しているようです)で
マウスピースはガーデラのブレッカーモデル。
それ以前はデュコフの使用が多かったようです。
テクニック抜群でサイドマンとしてもひっぱりだこ。
ウインドシンセ・AKAI EWIを駆使した超技巧も聴き応えがあります。




ウェイン・ショーター


 テナーサックスはセルマーの多分マーク7のGPだと思います。
マウスピースはオットーリンクのエボナイト。
マイルス・デイヴィス・バンドやウエザーリポートであまりにも有名で、
作曲面でも実力を発揮しています。




デクスター・ゴードン


 テナーサックスは、若い頃はコーンの10Mでその後はアメセルのマーク6。
マウスピースはオットーリンクのメタル。
テナーらしい豪快なサウンドで演奏されるスタンダードナンバーは、
これぞジャズといったところです。




渡辺 貞夫


 アルトサックスはセルマースーパーアクションGP。
マウスピースはメイヤーのエボナイト。
リガチャーは色々と変えているようです。
チャーリー・パーカーのメインストリート・ジャズから
ボサノヴァ、フュージョン、数多くのオリジナル曲を手がけ、幅広い活躍をされています。
オーソドックスなサウンドでありながら、
ちょっと聞き込んだ方ならすぐに『あ、これはナベサダの音だ』
と分かってしまうような個性を持っています。




ジャッキー・マクリーン


 アルトサックスはアメセルのマーク6。
マウスピースはベルグラーセンのエボナイト。
ビリー・ホリデイに捧げたバラードが有名で、
ちょっと無骨なサウンドの中に哀愁が漂うような、いい感じのサウンドです。
何かのインタビューで、リードはバリのプラスチックリードを使用しているような事が出ていました。




ポール・デスモンド


 アルトサックスはアメセルのスーパーバランスアクション。
マウスピースはグレゴリ ーのエボナイト。
このマウスピースは現在は作られていません。
メイヤー系でもう少しソフトなサウンドです。
ポールデスモンドを知らない方も多いかも知れませんが、
テイク・ファイブと言う有名な曲の作曲と実際プレイしているサックスのサウンドは、
おそらくどこかで聞いていると思います。
非常にスイートでクールな都会的な洗練されたサウンドが魅力です。




本田 雅人


 アルトサックスはセルマーのマーク7。
マウスピースはヤナギサワのメタル。
伊東タケシの後任としてT-SQUAREのサックスと、EWIを担当しています。
テクニック抜群で、パワーとマーク7の持ち味である音のねばりのようなものが良く出ているサウンドが特長です。




沢井 ゲンジ


 ソプラノサックスはセルマーのマーク6シルバープレート。
マウスピースはセルマーのエボナイト。
アルトサックスはアメセルのマーク6。
マウスピースはクラウドレイキーの5番でリガチャーはロブナー。
スピードのあるエッジの効いたサウンドが特徴で、
今井美樹をはじめ著名ミュージシャンのツアーバンドやTVショウなどのサイドマンで
サックスソロパートをよく演奏しています。
なお、教則ビデオ『沢井ゲンジ最新サックス奏法』は
非常に分かりやすい解説と実演で現代の奏法がマスターできるので
お奨めのビデオ教材です。




土岐 英史


 ソプラノサックスはセルマーのマーク6。
マウスピースはセルマーのエボナイトでオールドのソロイストモデル。
アルトサックスはセルマーのマーク7。
マウスピースはクラウドレイキーでリガチャーはハリソンハーツ。
チキンシャックでのソフトでクールなサックスサウンドが魅力です。
上記の沢井氏と同じクラウドレイキーのマウスピースを使用していますが、
まったく対照的なサウンドとなっており、奏法の違いが良く分かります。




その他のプレイヤー


 メイヤーを使ったプレイヤーでは、
キャノンボール・アダレイ、グローバー・ワシントンJr.、
エリック・ドルフィー、フィル・ウッズなど
アルトサックス・プレイヤーに多く見られます。
オットーリンクを使ったプレイヤーでは、ベニー・ゴルソン、
ベン・ウェブスター、ジョニー・グリフィンなどテナーサックス・プレイヤー
に多く見られ、メタルの使用頻度が高いようです。


 ジャンルで見たマウスピースの傾向は、
フュージョン、ロック系では電子楽器に負けないサウンドということからか
エッジ、スピード感のあるはっきりした音が出るデュコフ系のハイバッフルのマウスピースが多く使われています。
ノーマルなジャズではメイヤー、オットーリンク系の音の太さが出るマウスピースがよく使用されています。





ONO

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イシバシ楽器名古屋栄店

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