楽器屋さんに聞けシリーズ in TURKEY ?イスタンブールシンバル探求の旅??

トルコツアー最終章、今回はBOSPHORUS!

2018-01-17 こんにちは、渋谷WESTの松岡です。

今回も前回に引き続き
トルコへのシンバルの旅の続編でございます!

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■3日目は、今回の工場ツアーのトリ、BOSPHORUS社への訪問です!

BOSPHORUS社は
Hasan Seker、 Ibrahim Yakici、Hasan Ozdemir の3名の職人により1996年設立。
3人ともISTANBUL社で修業を積み、働いていた職人であり、
ハンドメイドによる伝統的なシンバルづくりを熟知した巨匠であります。

個人的な印象では「BOSPHORUS」のシンバルは
薄く、粘りのあるシンバルといったイメージ。

今回の訪問では、その秘密に触れる事も出来ました。

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ISTANBUL2社に比べると市街地より少し離れた場所に位置するファクトリー、

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工場というほど大規模ではなく「工房」という印象。

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工場横には燃料となるマキの山がありました。

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工場内に数匹いるネコちゃん、みんな人懐こくて、肝が据わってます(笑)

規模としてはイスタンブールメメットの工場の半分程度、
普通の民家くらいの大きさの工場でシンバル作りが行われております。


こちらは入口すぐ横にある、製造されたシンバルにスタンプを押す部屋
職人さんの手作業でスタンプが押されております。


一番奥の部屋はいわゆるメルティングルーム

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地面に掘り込まれた穴に埋まった壺のような容器に金属の塊を入れ、
その上に真っ赤に燃えた石炭で覆い熱し、金属を溶かし合わせます。

ちょうど真っ赤に溶けた金属をインゴットに加工する作業が行われており、
その様子を至近距離で撮影させてもらえました。



とにかく熱がスゴイ、、、
夏場だったらより過酷な作業で有る事が想像できます。


赤熱したインゴットはすぐさまローラーで繰り返し延ばしていきます。


延ばした合金はこちらのオーブンで加熱→延ばしを複数回繰り返します。

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最終的に延ばされた合金は、
焼き入れ→水で急速冷却する事で、内部の「炭素」の抜く作業が必要。
そうでなければハンマリングに耐えられる「粘り」のある合金は生まれません。

そこで登場するのが、こちらの水槽。
ボスフォラスの最大の特徴である「粘りのあるシンバル」秘密はここにあります。

この水はなんと「オールドK」時代に使用していた水と
同系統の地下水を利用しているそうです。
ボスフォラスではこの「水」のために今の場所に工場を構えたそうです。

この冷却時に炭素が抜けると同時に、水のミネラル分が金属と混ざることで、
独特の粘りある合金が生まれてくるとのこと。
だからこそ「うちのシンバルは一番割れにくい!」と仰っていました。

こうして制作されたシンバルの合金を、
さらにハンマリングで薄く薄く延ばしながら成型。
これがボスフォラスの真骨頂か!と妙に納得したのであります。


伝統のハンドハンマリングによる成型、とにかく薄くする技術がスゴイ。


こちらはレイジングの作業、職人たちの真剣なまなざしが印象的でした。

工場見学を一通り終え、午後はお持ちかね選定タイム。
先ずは新製品やプロトタイプの紹介が始まり、、、、

見たこともない銀色のシンバルが登場!
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今の所、プロトタイプ「SILVER」という名称らしい新シリーズ。



ハイハットからライドまで各種類数枚あったのですが、、、
勿論争奪戦(笑) ここは公平にジャンケン大会!
しかし、ジャンケンはめっぽう弱い松岡、
肝心のライドは手に入れられませんでした(ショック)

また、選んだシンバルをその場で穴あけ加工もしてくれるのがボスフォラス流。

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こんな感じでマーキングして、


専用マシンで「ガシャン」 実に豪快な穴あけです。

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そんな感じでボスフォラスでは8枚ほどゲット!
※SILVERシリーズもHH等数枚入荷してましたが完売致しました。

■その中から売り切れ御免、激レアな2枚をご紹介!

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BOSPHORUS / Prototype 20インチ RIDE 1500g


ランダムなハンマリングの見た目がとても素敵。
なんと重さは1500g!20インチとしては相当薄いですが、
表面の特殊な仕上げにより、ピング音が粒立ちまとまります。
クラッシュ音も魅力的。アーシーでダークなサウンドは、
近年人気 のドライ系のシンバルとの組み合わせもGOOD!

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BOSPHORUS / Syncopation Series 23インチ RIDE SW-Sand Wash- 3040g


新作の「シンコペーション」シリーズ、
その中でも倍音をコントロールした「サンドウォッシュ」仕上げ。
どっしりとした印象の中に、繊細な倍音も感じられます。
粒のあるドライ系サウンドとダークでメロウな倍音が調和した逸品。
23インチは国内での流通予定が無いレアサイズです。

こんな感じでボスフォラスでの工場見学&選定会も終了。

今回は灼熱のメルティング、そして驚愕の穴あけ加工を間近で見れて非常に感激。
シンバル製造の過酷さを間近で体感することができました。

また、プロトタイプ祭りであった選定会も非常に興奮、
今後が楽しみな新ラインナップが続々と登場しそうです。

ボスフォラス社もまた、現代にのシーンに合わせた新たな方向性にチャレンジし、
新たなキャラクターを持つシンバルづくりに挑戦していることが窺えました。

これで3社にわたる工場見学&選定会が終了。
あっという間に過ぎ去っていったシンバルに囲まれた日々。

職人たちのシンバルへかける情熱を感じ取れた3日間、
どれもこれも素晴らしいシンバル達に出会えたことに感謝。


■4日目、トルコ市街を見学し帰途へと

これまでシンバル漬けの3日間でしたが、
4日目は飛行機の時間まで余裕がある為、
市内観光でトルコの文化に触れてきました。





トルコはちょうどアジアとヨーロッパの境目、
ヨーロッパ風の文化とアラビア系の文化が融合した建物や製品など、
トルコならではの街並みが美しく、魅力的。

宗教としてはイスラム文化を中心にしており、
街中には「モスク」と呼ばれる礼拝所がところどころに存在します。

そんな「モスク」の中でも最も美しいとされる
「ブルーモスク」と呼ばれるスルタンアフメト・モスクも訪問。



何せこの建物は1616年建造、
トルコで生まれたジルジャン社も1623年設立、
ちょうど同じくらいの歴史を持ちます。


因みにジルジャンの刻印に使われている解読不明な文字は、
このブルーモスクと同じ時代のアラビア文字だそうです。



まだまだ飛行機の時間まで余裕が有るのでトルコ料理を堪能し、
観光客でにぎわうグランドバザールや、
市内にあるアゴップ社の事務所などにお邪魔しました。

そして深夜2:00
再び日本に向けて10時間強のフライトで帰国、さらばトルコ!



とにかく、全てがあっという間でエキサイティングな時間でした。

治安が悪化しているイメージのあるトルコですが、
ものものしさもなく、意外なほどに平穏でした。

シンバルという楽器の作り方の原点をこの目で確かめることが出来て感無量。
とにかく手間もかかるし熟練を要する作業を昔ながらの製法で、
芸術的なシンバルを制作し続ける職人の情熱をこの目で確かめて来れました。

正直にまた行きたい、
そう思えるような素晴らしいファクトリーツアーでした!

そんなトルコファクトリーツアーの選定品はSHIBUYA_WESTに限定入荷!
※AGOP社とBOSPHORUS社分は入荷済みです。
※2018年1月末にMEHMETも追加入荷します、ご期待ください!


全てが本当に自信を持ってオススメしたい「良いシンバル」です。
是非是非店頭で「トルコの風」を感じ取ってみてください(笑)

それではまた!!



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■この記事を書いた人

松岡 武 Takeshi Matsuoka

中学生の頃突然ドラムに目覚め、そのままのテンションで音楽の専門学校に入学。卒業後よりお茶の水イシバシに勤務し13年、2016年6月より渋谷WEST勤務。20代のころはジョン・ボーナムにあこがれすぎて24インチのライドをバカバカ打ち鳴らしてました。豊富な現場経験を生かしたその人に合った楽器のチョイス、チューニングやメンテナンスポリシーで、様々なタイプのドラマーをサポート致します!


MATSUOKA