リアルヴィンテージとは・・・
それを言い当てる正確な答えはないでしょう。
しかし、これぞリアルヴィンテージ、というギターは確かに存在します。
この個体もそんなドリームギターの一つです。
1952年製 Gibson J-45
これを読んでいらっしゃる方に今更基本的なことはよいでしょう。
今日はご自身のギターと見比べながらでも楽しく見ていただれば幸いです。
戦前?戦中の不安定なスペックがようやく落ち着いた40年代後期。
スモールガードJ-45のサウンドは、ある意味ようやく確定されていくと言えます。
繊細なサウンドも得意とし、決して荒々しくなく一音一音が奏でる音が逞しく、
ギブソンラウンドショルダーの礎となったスタイルです。
ヘッドはまだ僅かにテーパーがかかっている雰囲気を残しています。
これが51年ですと鮮明に確認できます。
ペグはオリジナルと同系の3連タイプ。
動作を考えればリプレイスメントは賢明な判断です。
このギターはこことリフレットだけオリジナルではありません。
ロゴはモダンスタイルのシルクスクリーン。
やや右側へ寄っているのが分かりますでしょうか。
これもオートメーション化されきっていない時代ならではのご愛嬌と言えます。（現行品で0とも言えませんが・・・）
ネックは太過ぎず一番グリップ感が安定している時代ではないでしょうか。
裏の艶も非常に綺麗に残っており操作性も申し分ありません。
指板です。
言うまでもなくブラジリアンローズウッドをなんの躊躇も無く使用。
美しい外観と素直なプレイアビリティを約束します。
ナットは塗装が乗っておりオリジナルなのですが、なんと下駄を履かしています。
画像で確認できるようにネックとの境目に一枚薄い板がインサートされています。
この辺りの当時のクラフトマンのさじ加減、判断もどういったものだったのか、色々想い巡らせます。
ブリッジですがショートサドル仕様です。
この年代ですとまだロングスリットタイプの筈なのですが、再接着された形跡も一切無く、これがオリジナルです。
既にこの時代に強度面への配慮が試験導入されたイレギュラースペックなのか、今となっては知る術はありません。
トップ面を真横から撮影したものです。
若干の膨らみがあることを見ていただきたいのですが、これは経年変化ではなくこの年代の仕様です。
この絶妙なドーム状のトップによりふくよかなJ-45サウンドが醸し出されるのです。
トップのサンバーストのグラデーションです。
長年醸造されたカラーリングでないと絶対成し得ないブラックとブラウンのコントラスト。
ただただ吸い込まれそうになりながら悦に浸るのみです。
ボディ内部です。
スキャロップされたXブレース。
先述のドーミングと相まって絶妙な音色を形成していることに間違いありません。
ブリッジプレートは細めで厚みのあるメイプル。
ここでしっかり振動を受け止めて骨太の基音を逃しません。
ネックブロック部のシリアルスタンプです。
マホガニーのネックブロックにzから始まる刻印。
この当時はやや小さめで比較的鮮明なスタンプです。
いかがでしょうか。
ギターの成熟期と言われるプリウォー、ウォータイムを潜り抜け進化を遂げてきたJ-45。
ここで一旦アコースティックギターとしての高次元での完成を迎えたと括っても語弊はないと思います。
その後、ミュージックシーンの移り変わり、ユーザーの要望にも上手く応じていった55年?60年代へ流れていく事になります。
そんな原点とカラマズー終焉とを結びつける歴史的なギターです。
ぜひ一度その手にとって見てください。
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