Ishibashi Mail Magazine Vol.7

Chapter:1 YESSONGS / YES

 今回からスタートする「映像の中の楽器達」。音楽史の中でも絶賛するに値する
映像の中からアーティストが使用する楽器にスポットをあててみます。

 1回目は「YESSONGS」。イエスが73年に発売した初のライブ映像である。72年に
発売したアルバム「危機」の直後のツアーでロンドンのレインボーシアターでの
演奏を映像化したものだ。この年、ドラムのビル・ブラッフォードがキング・クリ
ムゾン参加のため、バンドを脱退。後釜として加入したアラン・ホワイトがドラム
となった。しかも凄いのはこの年バンドはアメリカにも進出していた為、過酷な
ツアースケジュールの中、アランは10日間程で難解なイエスの曲を1ステージ分
覚えたと言われている。

 この映像と同名で発売されているライブアルバムも名盤で、当時3枚組みLPと
してはELPの「LADIES AND GENTLEMEN」と並び、リスナーにとっては高価なLPだった。
しかし、アルバムの方はアメリカ公演の演奏も含まれており、ブラッフォードが
叩いている曲も収録されている。映像の仕上がりとしてはこの時代としては最高の
ものではあるが、現代の映像と比べたらブートレッグと思えるような部分もある。
しかしそこは歴史的価値のある映像として見てもらいたい。

 さてこの中でギターのスティーブ・ハウがメインで使用しているギターが、ギブ
ソンのES-175Dである。ロックバンドではソリッドギターがメインだったこの時代に
唯一、箱物を使用していたアーティストと言えよう。彼が使用している175は1964年
製の物で、ほぼ現在でもトレードマーク的に使われている。本来の175のサウンド
のイメージとは違い、とてもトレブリーで攻撃的な音のようにさえ感じられる。
ライブ中の曲「AND YOU AND I」の中でも、その多彩な音色を聞くことができる。
また、スティーブ・ハウのソロパート曲「THE CLAP」の中ではマーチンのOO-18が
使用されている。この時代の楽譜にはTAB譜などというものは存在しなかったので
良くこの映像からどの様に弾いているのかを、このギターを見ながら研究したもの
である。ちなみに1953年製。私も持っているが10年ほど前、スティーブ・ハウが
所有しているギター・コレクションが写真集となってアメリカで発売され、内容が
非常に良くわかるよう解説されている。

 このほかにもクリス・スクワイヤーのリッケンバッカーや、リック・ウェイクマン
のMoog等、紹介したい楽器がこの映像の中にはたくさん存在する。バンドはこの映像
が世に出た翌年、1973年3月に初来日を果たす。当然私は小学生であったため、見ては
いないが、批評等を見るとアルバムと変わることのない演奏力で圧倒されたと絶賛
されている。あと2年早く生まれていれば見れたのにな〜!
この映像、確かDVD化は輸入盤のみしか存在していない。筆者は未だにレーザーディスクでよく見ております。





「YESSONGS / YES」
1.EXCERPTS FROM "CLOSE TO THE EDGE"
2.I'VE SEEN ALL GOOD PEOPLE
3.THE CLAP(HOWE/SOLO)
4.AND YOU AND I
5.CLOSE TO THE EDGE
6.EXCERPTS FROM THE "SIX WIVES OF HENRY Ⅷ"(WAKEMAN/SOLO)
7.ROUNDABOUT
8.YOURS IS NO DISGRASE
9.CLOSING CREDITS:STARSHIP TROOPER EXCERPTS

Jon Anderson (Vol)
Steve Howe (G)
Chris Squire (B)
Rick Wakeman (Key)
Alan White (Dr)



レーザーディスクのジャケット


当然裏面もロジャーディーン作。


アメリカで出版されたスティーブハウギターコレクション本より。


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