Ishibashi Mail Magazine Vol.32

Chapter:26 SERIOUS MOONLIGHT CONCERT 1983 / DAVID BOWIE


1983年に発売されたデビッド・ボウイのアルバム、「LET'S DANCE」にあわせて
行われたツアーがこの映像になっている"SERIOUS MOONLIGHT TOUR"である。
アルバムはMTVブームに乗って瞬く間にナンバー1アルバムになり、今までも人気は
あったがこのアルバムでデビット・ボウイは不動の人気を手にいれたと言っても
過言ではないアルバムである。

 そしてこのアルバムが当時話題になった理由のひとつとして、ギターにスティーヴ・
レイ・ボーンを迎え入れたことがあげられる。当時無名の白人ブルースギターリストで
あったレイ・ボーンを全面に押し出し、ポップミュージックにブルースを取り入れたと
音楽雑誌は挙って話題にしたものだ。70年代後半までのデヴィッド・ボウイはブライアン・
イーノ等の影響で、ダークなイギリス受けする志向であった。実際、78年に来日した際の
ツアーメンバーには現キング・クリムゾンのエイドリアン・ブリューも参加するなど、
少しPOP路線とは縁遠いスタイルであったと思う。

 そして「LET'S DANCE」が発売されるとバンド・スタイルも一気に変更し、ダンサブルに
なった事で困惑したファンも少なくなかったと思うのだ。ホーン・セクションも増え、
コーラスの男性もボウイ同様、ミュージカル仕立ての演技をしながら歌っているほど・・・。
当然だが、ギターやベースも踊りながらプレイしているのであるから、これまたファンは
ビックリである。そのボウイのバンドでギターを弾いているのがカルロス・アルマーと
アール・スリックである。

 対照的な二人のギターリストであるが、カルロスはカッティングに命をかけるような
タイプで、アールはこの時代によくいたタイプのサウンドでソロを弾くギターリストである。
当然、カッティングを中心としたカルロスの後ろにはフェンダーのアンプとJC-120が
積んである。この時代のスタジオ系の音を出す者は殆ど、JC-120を使用していた。
また、アールのほうは弾きまくりギターリストのため、当然ストラトにフロイド・ローズを
搭載している。アームユニットの中でも特に激しいアーミングが出来ることで80年代の
ミュージックシーンには欠かすことの出来なかったギターパーツのひとつであったことは、
間違いないと思う。当然、キーボードの中にも80年代のアーティストはみんな使っていた
ピアノのYAMAHA・CP-80もセットアップされているのが解る。

 また、この映像の中でのボウイの出方も非常にカッコイイ!1曲目の"LOOK BACK IN ANGER"
が始まると後ろ下がりで歩いて出てくる。そして一番のサビ前まで後ろ向きで歌い、サビで
一気に前に振り返り歌いまくるボウイに、会場は大盛り上がりなのである。その辺のパフォー
マンスも彼ならではのモノで当時、ショー的要素の低いライブが多かった時代ではズバ抜けた
ライブだったに違いない。
 
 そしてこのTourで当然のことながら日本にもやって来た。アルバムに参加したレイ・ボーンが
ツアーに参加するのではないかと噂されたが、それは叶わなかった。しかし、前回来日公演の
武道館から更にステップアップし、開催は横浜スタジアムとなった。また、チケット料金も
\4,500平均であったこの時代に、ロッド・スチュワートと同じも¥5,000であったことも話題に
上った。今のチケット代から比べるとほぼ半分くらいだった良い時代なのである。

 そんなデビッド・ボウイは今でも現役である。先日、一番新しいツアーのDVDをしたが、ぜんぜん
ポテンシャルが落ちていないのである。わたしの大好きなエーチャンも同じである!カッコよく
歳をとったロック・アーティストというのは万人に受け入れられるのではないかと思うのは、
私だけではないはずである。最近、この映像もDVD化されているので是非見て欲しい!


[SERIOUS MOONLIGHT CONCERT 1983 / DAVID BOWIE]

1.LOOK BACK IN ANGER
2.HEROES
3.WHAT IN THE WORLD
4.GOLDEN YEARS
5.FASHION
6.LET'S DANCE
7.BREAKING GLASS
8.LIFE ON MARS
9.SORROW
10.CAT PEOPLE
11.CHINA GIRL
12.SCAREY MONSTERS
13.REBEL REBEL
14.WHITE LIGHT,WHITE HEAT
15.STATION TO STATION
16.CRACKED ACTOR
17.ASHES TO ASHES
18.SPACE ODDITY
19.YOUNG AMERICANS
20.FAME
21.BOWIE INTERVIEW(ONLY LD)

David Bowie (Vo)

Carlos Alomer (Gt)
Earl Slick (Lead Gt)
Carmine Rojas (Ba)
David Lebolt (Key)
Tony Thompson (Dr)
Steve Elson (Horn)
Steve Harrison (Horn)
Lanny Pickett (Horn)
Frank Simms (Vo)
George Simms (Vo)


LD版ジャケット。若いッ!

この時代よく出ていたボウイの写真集。スーツ決まりすぎ!

78年来日公演のチケット。エイドリアン・ブリューがギター。

83年、シリアス・ムーンライト・ツアー東京公演チケット。



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