Ishibashi Mail Magazine Vol.32

FENDER JAZZBASS 1976年製 BLK/M
1960年フェンダー社はプレシジョンベースのデラックス版としてジャズベースを発表する。
ベース市場の拡大の為レオ・フェンダーは1958年に登場したジャズマスターの”オフセット
ボディ”と名前の一部をとりジャズベースが誕生した。ピックアップは二つと音のバリエー
ションを増やし、ネックはスリムでプレシジョンベースよりもスムーズに弾けるよう設計
されたレオの力作である。

 ピックアップは一本の弦に対し二つのポールピースが対応し、音の輪郭を安定させる
画期的なアイデアでプレシジョン用のピックアップと共に現在でも使われている方法である。
60代、70年代と大きくマイナーチェンジがありますが、今回は70年代の仕様変更について
ふれてみます。
 
 70年代の大きな顔としてフェンダーのヘッドロゴがあります。1969年フェンダーロゴは、
それまでの”トランジションロゴ”から大きめな”モダンロゴ”に変わりよりいっそうモデル名が
はっきりとし目立つようになります。そしてデカールは保護の為、最後にラッカーでフィニッ
シュしてあり、ヘッド表面以外はポリエステルでフィニッシュしてあります。その為、ヘッドの
表面だけ焼けているのをよく見かけると思います。
 82年からは全てポリになるためこの仕様は70年代の特徴ともいえます。ボディに関しては
下地はポリ塗装で、最後にラッカーフィニッシュしてあり、60年代までのオールラッカーと違い
表面の塗装が剥がれるとポリ塗装のクリアーラッカーが出てきて木の保護をします。見た目は
ボロボロになりにくく、コンディションは保ちやすいが使い込んだ味はでににくなります。

 70年代に入りますとメイプル指板も標準仕様として復活し、プレベシジョンベースですと
スリムなネックとして登場します。もちろんローズ指版のモデルも同時に生産されていました。
今回ご紹介致します1976年製のJAZZBASSは、メイプル指版に白のパーロイドの”ブロックポジ
ションマーク”で、(70年初期のものは黒のバインディングに黒のポジションマークであった)
”ブレット・トラスロッド”と3点止めの”ティルト・アジャスト”というネック角度が調整
可能なタイプのネックで、これは1974年の後期からスタートし(ストラトキャスター、テレキャ
スターベースに採用されるのがそれ以前の1972年)1975からは標準仕様となる。

 1976年から今回のジャズベースのようにフェンダーのロゴが一回り小さくなり、ロゴの下に
いままでネックヒールにスタンプされていたシリアルナンバーが移ります。サウンド面で最大に
影響があったマイナーチェンジといえばピックアップの位置が上げられます。いままではピック
アップ間の間隔は3.6インチであったが、1970年から1971年にはリアピックアップがブリッジ側に
移動し4インチの間隔に広がった。
 これによりトーンが変わり70年代サウンドを作る決め手になった。(1982年にビンテージリイ
シューが発売された時は以前の狭い間隔で生産された)サドルも1970年より今までの細かい溝の
入ったものから、弦がのる部分だけ溝が掘られたステンレスタイプに変わり激しいスラップ、
ピッキングでも弦がサドルよりあまりはずれなくなっている。

 近年1970年代のモデルは人気が高まりつつあり、ビンテージの仲間入りになりだしてきた。
70年代新品で買ってずっと愛しつづけているプレイヤーがいるのと、そのサウンドを聞いて育った
いまのプレイヤーがちょうどベースと生まれ年が同じなのもブームのきっかけになっており、
今後は70年代のエレキは目を離せなくなってきた。
 力ずくで弾きこなす70s’Rockにはやはりその年代の楽器で弾くのが一番である。
たまには指を痛めつけながらスラップするのも良いのではないでしょうか。
心と指がしびれるでしょう...オ〜アメリカン!



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石橋楽器 渋谷店
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shibuya@ishibashi.co.jp





<デューク工藤:プロフィール>
プロフェッサー岸本に師事し今年渋谷店勤務5年目
数々のリジェンダリーを師匠と共に経験。
彼自身のフェイバリットミュージックは60年代から70年代の
ロック、ブルースとサウンド面でもヴィンテージサウンドに精通。
宝物探しのお手伝いを親切丁寧にいたしますので心より御来店
お待ちしております。












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