Ishibashi Mail Magazine Vol.31

Fender Jaguar 1963年製

1960年代初頭フェンダー社は新モデルとしてジャガーを発表する。同時期に発表された
モデルではジャズベースがニューモデルとして登場した。ジャガーは58年に発表された
ジャズマスターの要素を含んだミディアムスケールギター(24インチスケールで通常ジャズ
マスター、ストラトなどは25.5インチスケール)として当時流行していたサーフミュージック
の流れで開発され、広告の仕方もサーフィンをする若者をモチーフに、当時の裕福な白人の
若者をターゲットにしていた。

 こうした時代背景のなか登場したジャガーだが、60年代後半になるとエリッククラプトン、
ジミーヘンドリックス、ジェフベックなどのギターヒーローがストラトキャスターを
使用し始め、人気は逆転した。音楽のスタイルにより必要とされる楽器が変わり70年代に
なるとジャガーは生産中止になり、80年代にはジャズマスターも生産中止となる。

 90年代に入ると新しいロックスターが登場し再び注目を浴びるきっかけになるのが、
カートコバーンなどのグランジロックそしてオルタナティブ、ネオサーフのミュージック
シーンが生まれたからである。今日では日本のバンド、ボーカリストなどが好んで持つ姿を
よくみるが、これも90年代に登場したロックスターのリスペクト、サウンドの使い方の
進化である。クリーントーンからクランチまで幅広く使える音として、これからもジャガーは
愛され続けられるでしょう。

 今回はこのジャガーについてご紹介致します。写真のジャガーは1963年製で、ラウンド
貼りの”クレイドットポジションマークネック”のスタイルである。1962年に登場したときは
スラブボードでジャガーのロゴは最初からトランジションロゴでした。ボディーシェイプは
”オフセットウエストシェイプ”のボディで、立って持った時くびれたボディのラインが
垂直に重なるとてもバランスの良いシェイプである。アームは”フローティングトレモロ
システム”でジャズマスターと同様である。中にスプリングが入っており表側のプレートの
ネジを回すとアーミングのバランス調整がとれる。

 もう一点ブリッジ機能でトレムロックというアームを固定する機能がついていて、構造は
プレート表側の丸いツマミをボディーエンド側にスライドさせると中のアームプレートが
アームアップする事が出来なくなり、先程のアーミング調整用のネジを締め付けていくと
アームはほぼ固定される仕組みになっている。
 アッセンブリー関係は”プリセットスイッチシステム”がジャガー、ジャズマスター共に
ついており、これはスイッチを上に上げるとボリュームとトーンコントロールがフロントの
ピックアップのみ調整が可能で、ポットの抵抗値の違い等から音色はオンの時の方が音は
太目で甘い音色がする。スイッチオフの時は、それぞれのピックアップのオンオフスイッチが
ついており、更にその横にローカットスイッチがついていて、これをオンにすると”シャキッ”
とした鋭い音になる。

 ピックアップはジャガー独自のユニークな構造をしておりピックアップサイドに”ヨーク”と
いう鉄の板をはさむ事により、ピックアップの磁束を変形させ音色を歪ませる特性を持っている。
このピックアップから出る独特な歪みサウンドはこの構造による効果である。
 今回のジャガーで一番驚くところはコンディションの良さである。ほとんど使用されていなく、
これが本当のクローゼットクラッシックではないだろうか。
 ケースはこれもまた綺麗なホワイトトーレックスで、おそらく40年間ケースの中にしまい
環境のよい場所で保管されていたのであろう。この感動はまさにタイムマシーンにのって
40年前に戻ったような不思議な感覚になる。

 是非機会があれば渋谷店にまで足を運び見る価値はあると思います。
それではフェンダー万歳! そしてオ〜アメリカン!!



<お問い合わせ>
石橋楽器 渋谷店
TEL 03-3770-1484
shibuya@ishibashi.co.jp





<デューク工藤:プロフィール>
プロフェッサー岸本に師事し今年渋谷店勤務5年目
数々のリジェンダリーを師匠と共に経験。
彼自身のフェイバリットミュージックは60年代から70年代の
ロック、ブルースとサウンド面でもヴィンテージサウンドに精通。
宝物探しのお手伝いを親切丁寧にいたしますので心より御来店
お待ちしております。









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