Ishibashi Mail Magazine Vol.28

Chapter:22 EMERALD AISLES / GARY MOORE

 ゲイリー・ムーアを知ったのは大好きなバンド”THIN LIZZY"に加入した頃であった。LIZZYは
アルバム「BLACK ROSE」を発売し、ゲイリーと一緒に日本に来日することになっており、公演ポスター
などは一部ゲイリーの写真入りで宣伝していたほどであった。しかし79年、実際に来日したのは
違うメンバーであり、直前にゲイリーはLIZZYを脱退していたのである。同じ年に来日したスコーピ
オンズもマイケル・シェンカーを加入させ来日することになっていたが、実際に来日したのは
新加入のマティアス・ヤプスであった。当然、この2公演はブーイングの嵐であったのをはっきりと
憶えている。

 そしていくつかのセッションや幻のバンド”G-FORCE”を経て、82年に代表作「CORRIDORS OF POWER」
を発売することとなる。このアルバムは初回UK盤にはボーナス・シングル盤が付いており、その曲は
過去の代表曲「BACK ON THE STREETS」のライブであったため、何としても入手したく、当時の輸入盤
の代表店、「新宿レコード」に予約しにいったのが懐かしい。そして針を落としたとたんぶっ飛びま
した!こんなに速く弾けるギターリストがいるのかと・・・(今はもっと速いのがゴマンといますが)

 翌年、初の来日公演を向かえ渋谷公会堂まで見に行きました。イヤン・ペイスもドン・エイリーも
上手いが、ボーカリストのジョン・スローマンの力量がどうも納得いかなかった。そしてこの公演は
ライブ・レコーディングまでされ、「LIVE IN JAPAN」というアルバムにもなった。このころから
ゲイリーの人気はうなぎのぼりで、雑誌はこぞって特集を組み、アメリカでも注目されるように
なってきている。しかしゲイリーはロック界の中でも同じメンバーと長く活動を共に出来ないので
有名である。この後、それが如実に現れてくるのである。

 そして84年にアルバム「VICTIM OF THE FUTURE」を発売。この映像のTOURへと突入していく。
そしてこの年、2度目の来日であったが、このとき既にヴォーカルのジョン・スローマン、ドン・
エイリーの姿は無く、代わりにヴォーカル&キーボードとして元UFOのニール・カーターでの来日公演
であった。しかも場所は武道館!ゲイリー人気はますます上がっていました。
この映像はその来日公演が終了した84年の暮れに収録された物で、映像でのメンバーは来日のメンバー
からさらに変化している。ベースは元レインボーのボブ・デイズリーに、そしてドラムのイアン・ペイス
はデイープパープルの再結成へ向けて旅立っていき、元ロキシー・ミュージックのポール・トンプソン
に変わっている。

 映像はドキュメンタリーとライブで構成されており、母国アイルランドの紛争のことにも触れて
いる。前半はPVであるが中盤からはライブシーンへと変わっていく。以前、初来日の時にはトレード
マークの61年製の赤いストラトを使用していたが、この映像の中では白のストラトを使用している。
しかもよく見るとヴィンテージではなさそうで、映像の中には同色の3本のストラトが出てくる。
このうち1本にはリアにハムバッカーのピックアップが搭載されているのがわかる。そして後半に
旧友、フィル・リノットの登場と共に59年のレスポールの登場なり、名曲”PARISIENNE WALKWAYS"
を演奏する。相変わらず泣きまくったサウンドは正に脱帽です。そして足元にはBOSSのDS-1も
見え隠れしています。

 今見るとあり得ない衣装でプレイしているし、会場には殆ど女子の姿が見られない男臭いライブ
ではありますが、ギミックなしに弾きまくっているゲイリーの姿は正にギターリストなのです。
そして最近のギターリストには余り見られない”顔でギターを弾く”人でもあるのです。
しかし最近のゲイリーはブルースに目覚め、この時代の自分を恥じているような発言も見られます。
私もブルースは非常に好きですが、やはりゲイリー・ムーアはハードロックを弾いているのが
とても似合うと信じております。来日お待ちしております!


[EMERALD AISLES / GARY MOORE]

1.OPENING
2.OUT IN THE FIELDS
3.EMPTY ROOMS
4.ROCKIN' EVERY NIGHT
5.WISHING WELL
6.VICTIMS OF THE FUTURE
7.MURDER IN THE SKYS
8.SHAPES OF THINGS
9.PARISIENNE WALKWAYS
10.NUCLEAR ATTACK
11.END OF THE WORLD
12.BACK ON THE STREETS

Gary Moore (Gt,Vo)
Neil Carter (Key,Gt,Vo)
Bob Daisley (Ba)
Paul Thompson (Dr)

Special Guest
Phil Lynott (Ba,Vo)


LD盤ジャケット。衣装が派手です。

この当時、ゲイリーのこのポーズをした時の腕のしなりが話題だった。(笑)

83年初来日の際のチケット。この公演はライブCD化になった。

84年、この映像のツアーでの来日。遂に武道館に!

この当時イシバシでもチケットを売っていた。その名も「TICKET INN」!


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